2021.12.20

2021年中国ネット流行語TOP10

流行語を見れば、その年のトレンドや社会が垣間見れると言います。日本でも流行語大賞は話題になりますが、中国においても「国家语言资源与研究中心(国家言語資源研究センター)」が2021年のネット流行語TOP10を発表したのでご紹介していきます。

1、觉醒年代(jué xǐng nián dài)

「觉醒年代」は中国共産党創立の歴史を描いたドラマです。中国近代歴史の情勢を再現し、中国人民がどのように共産党を支持してきたかについて詳しく描写し、放送開始とともに人気が高まり、共産党の史学教育の教材にもなりました。2021年は共産党創立100周年ということで、党に関する情報発信や、共産党に関わるコンテンツが非常に多く、様々な場面で話題となった1年でしたが、それを色濃く反映した流行語と言えます。

2、YYDS

「YYDS」は「永远的神(yǒng yuǎn de shén)/永遠の神」のピンインの頭文字を取って使われるようになった言葉で、自分の好きな人やモノに対して、これに敵うものはない、という意味で使われる言葉です。普段から使われるワードとなりましたが、特に2021年の東京オリンピックの時期は、金メダル獲得時や中国人選手が素晴らしい成績を収めた時など「YYDS」という投稿やコメントがたくさんなされました。

3、双减(shuāng jiǎn)

「双減」は中国版の「ゆとり教育」のようなもので、2021年に中国政府から発表された政策の中で社会に対して大きな影響を与えたものの1つです。小学生の宿題や、学習塾など学外教育の負担を軽減をすることで、本質的な教育の質を高めていこうというものです。勉強の負担が減った分、スポーツや芸術活動、読書、家事などを通して、人間的な成長をすることを奨励しています。

また、学習塾の新設を許可せず、既存の学習塾は非営利組織とすることを求めており、学生の週末や長期休暇に塾で教えることや、就学前の児童に英語などを教えることも禁じられ、教育業界に大きな衝撃を与え、学習塾の倒産も続きました。

4、破防(pò fáng)

「破防」はゲームの中で、敵の防御を打破するという意味の「破除对方防御」を略した言葉で、相手のHPを減らすことを意味します。最近ではSNSを中心に、心理的なショックを受けたり、心が傷ついた状態を表現する言葉として使われるようになってきています。また、他人に起きたことを自分の事のように悲しむ時にも使われたりします。

5、元宇宙(yuán yǔ zhòu)

「元宇宙」はFacebookが公開したメタバースや、XR(クロスリアリティ)、つまり現実と仮想世界を融合させて、現実にはないものを知覚できる技術のことを指します。デジタルツインやブロックチェーン、AIなどの技術で作られた、ネットと現実社会をバーチャルで融合させたものです。現在は発展途上にありますが、中国でも大きな注目を集めています。

6、绝绝子(jué jué zǐ)

「絶絶子」はネット番組の中で、ファンたちが選手を応援する際に「絶絶子」を使ったことから流行した言葉です。多くは何かを賛同する場面で使用され、「やばい」「すごい」など、人や物事の状態がとてもいい、すごく良い、ということを表す言葉です。

7、躺平(tǎng píng)

「躺平」は直訳すると横たわる、寝そべるという意味ですが、最近では、全てをあきらめ何も反抗しない態度を指すようになりました。これは特に若者にみられる一種のストレス軽減方法で、どうすることもできない事実や取り巻く環境に抗うのではなく、そういうものだと考え、頑張らないことで楽になろうとする現象で、党がこういった態度に批判的なコメントを出す等、社会的にも話題となった言葉です。

8、伤害性不高,侮辱性极强(shāng hài xìng bù gāo , wǔ rǔ xìng jí qiáng)

ネット動画の中で2人の男性がご飯をよそい合い、同じ机にいた女性が放置されたシーンがありました。これをきっかけに、ネット上で「伤害性不高,侮辱性极强(傷付けてはないが、屈辱的だ)」と嘲笑されたことから流行った言葉です。

画像内の「请小朋友们监视家长 别乱扔垃圾(両親がゴミを捨ててないか子供みんなで監視してください)」という看板も、「伤害性不高,侮辱性极强(傷付けてはないが、屈辱的だ)」ですね!

9 、我看不懂,但我大受震撼(wǒ kàn bù dǒng , dàn wǒ dà shòu zhèn hàn)

「我看不懂,但我大受震撼(よく分からないが、衝撃を受けた)」は、国際的にも著名な台湾の映画監督である李安の「打扰伯格曼(2013)/Trespassing bergman」というドキュメンタリーの中で、李安自身が語った名言です。

視聴者がドキュメンタリーで語られている内容を理解できないことから、このコメントをそのまま使って「我看不懂,但我大受震撼(よく分からないが、衝撃を受けた)」という投稿が多く集まりました。そこから、ある出来事に対して理解していないが、驚いたときのネタのような言葉として使われるようになりました。

10、强国有我(qiáng guó yǒu wǒ )

「强国有我」は天安門広場で行われた共産党100周年の記念式典で、青年達による「请党放心,强国有我(共産党は安心してください、強い国には私たちがいます)」という宣言に由来した言葉です。中国の新時代に対する青年達の意気込みや意欲が表明されました。

さいごに

上記TOP10を見ると、中国の政策やパフォーマンスから生まれた単語が多いことが分かります。中でも、100周年を節目に対国内、対国外ともに国力を示すような動きが多かった1年だと言えます。さらに、今後新たな時代に向けてどのような政策がとられるのか注目です。

また、この中国の勢いとは逆に、若者の間では「躺平」が広がっているなど、政府と国民の意識や考え方にギャップが生まれていることも事実です。今後の時代を担っていく若者たちの動向もしっかり追っていきたいですね。

今年私は、メジャーリーガーの大谷翔平選手に注目していました。投打二刀流を遂げたり、満票でア・リーグ最優秀選手のMVPに選ばれるなど、本当に絶絶子(すごい)でした。やっぱり大谷選手はYYDS(永遠の神)ですね!

皆さんもシーンに合わせて流行語を使ってみてください!

参照:https://baijiahao.baidu.com/s?id=1718505497011045296&wfr=spider&for=pc