2022.01.09

2021年11月のウェイボー・ホットトピック

こんにちは。皆様に中国大陸の事情をもっと身近に感じて頂きたいという思いから、中国版“Twitter”とも言われる微博(ウェイボー)で話題となったハッシュタグの中から、面白いトピックを厳選して月次でお届けします。内容に関する簡単なご紹介はもちろん、私たち独自の視点もあわせて発信させて頂きますので楽しんで頂けると幸いです。早速ですが、第1回目のコンテンツはこちらです。(すみません、年末年始を挟んでちょっと時間がたってしまいました・・・次回からはもっとタイムリーに発信していきます!!)

#経験値よりも学歴が重視されるのか?#(#学历真的比经验更重要吗 #)

中国大陸地区で話題となったテレビドラマ《星辰大海》の主人公簡愛さんは、名門大学の卒業生よりも実務経験が豊富で、個人能力は評価されているものの、低学歴のため就職・転職の際や仕事でうまくいかないことが多々ありました。中国大陸では簡愛さんのようなケースは決して珍しくなく、多くの方々が彼女と同じ経験を持っています。経験豊富にも関わらず、学歴フィルターによりキャリア形成が難しくなります。

中国で生活している肌感覚として、大企業においては985/211と呼ばれる中国の重点大学や、トップテンの名門校卒でない限り、面接の機会さえ与えてもらえないことが多いです。つまり大企業は、学歴「プラス」経験を重視していると言えます。一方、中小企業は学歴よりも実務経験や個人の能力を重視しているところが多いようです。しかし、多くの志望者もしくはその親が大企業を志望するために、学歴志向が高まり、中国で激しい学歴競争が起こる要因となってきたと言えます。

#李佳琦、薇娅がロレアルとの取り引き停止#(#李佳琦薇娅暂停与欧莱雅合作#)

今年のダブル11のプレセール期に、中国におけるトップライブコマースKOL(インフルエンサー)の李佳琦と薇娅は、どちらもロレアルのフェイスパックを、50枚・429元の価格で紹介しました。ロレアルオフィシャルサイトでも、これは“年内の最安値”だと発信していました。ところが、ダブル11終了後すぐに、ロレアルオフィシャルサイトのライブコマースで更に安値で売り出されていました(最低価格が257元)。2人はすぐさまこれに抗議しましたが、ロレアル側も問題はなかったと発表するなどトラブルは長引き、2人はロレアルとの取引き中止を宣言するに至りました。

图片来源微博

今回の事件で大勢の消費者は李佳琦と薇娅を支持していたようです。ただし、ロレアル側の言い分としては(客観的に見ても)、実際の価格設定は李佳琦、薇娅の価格を下回るものではなく、ECプラットフォームのクーポンを利用していくと結果として李佳琦、薇娅のライブコマースの価格を下回るというもので、ロレアルに同情を示す消費者も少なくはありませんでした。
いずれにせよ、今回の事件は、数億人民元規模で売上をあげるトップライブコマースKOLとブランドの力関係を示すケースであると言えます。
まずはブランドに対して、かなり強い態度を堂々ととる、トップライブコマースKOLの影響力の強さが見て取れます。同時に、ブランド側もライブコマースKOLへの依存から脱却しようとしているのでは?という姿勢が読み取れました。これまでブランド側は、相当なインパクトをもつライブコマースKOLにおんぶにだっこ状態であり、おそらく今回のようなケースが起こったとしてもすぐにライブコマースKOLの要求通りの対応をしていた可能性が高いです。ただ、ここ数年は低価格でたたき売りが行われるライブコマースに対する疲労感及び、私域流量(プライベート・アクセス)と呼ばれるようにKOLやプラットフォームに依存しないブランド独自のアクセスを獲得する動きが強くなってきたこともあり、それが今回のロレアル側の比較的強い態度に表れているのではないかと思います。

そうこうしているうちに、12月に薇娅が脱税でスキャンダルを起こし、新たに大きな話題となっています。KOLとブランドの力関係がどうなっていくのか、これからも要注目です。

#レッドブック、半年で8787件の炫富(富を見せびからす)コンテンツを取り下げ#(#小红书半年处置8787篇炫富笔记#)

11月18日、レッドブック(小紅書)はこの半年で、“炫富コンテンツの取締り”を行ったと発表しました。5月から10月の間に、同プラットフォームは炫富コンテンツ、つまり富を自慢するような内容のコンテンツ8787件を処理し、240個のアカウントを処分すると同時に、AIアルゴリズムを活用した該当投稿の識別能力を向上させました。
レッドブックは中国大陸の若者層がライフスタイルを記録する最大の“植草(購買意欲の植え付け)”
アプリとして知られていますが、そのコンテンツの質に対しては何度も議論が起こっています。例えば、アップされた写真の風景や商品と、実物が全く異なる、といったようなことです。

图片来源微博

今年の5月に、当局は各プラットフォームに対して炫富(富をみせびからす)、拝金主義、贅沢や快楽追求、同情を買う、非行的な思考など、未成年者に不健全な影響を及ぼすコンテンツの防止・抑制を要請しました。レッドブックが実施した炫富コンテンションの処理は、こういった要請に応じるアクションであり、プラットフォームを維持していくための措置であったと見えます。

#陈漫道歉#(#陳漫氏の謝罪#)

2021年11月12日、上海で《ディオールとアート》の展示会が開催され、イベントプロモーションでは、撮影業界のホープとも言われるカメラマン陳漫氏の作品が起用されました。ところが、写真が公開され、多くの人の目に触れるうちに争議が巻き起こりました。

图片来源微博

この写真は「中国人を侮辱した表現である」とネットで炎上し、激しい指摘が次々となされました。欧米人にある「アジア=つり目」というステレオタイプを助長するものであり、ディオールはアジア人を揶揄しているのだと見なされました。
そして徐々に怒りの矛先は写真を撮影した陳漫氏へと向けられたのです。それまで、陳漫氏は芸能界での知名度が非常に高く、業界のトップの1人とまで呼ばれていました。今回のディオール事件の影響を受け陳漫氏への批判が殺到し、ウェイボーで本人が謝罪をすることに至りました。
ここ数年、中国文化や国民性を揶揄・貶めるような表現に対して、一般の消費者が非常に敏感になってきています。そういった傾向が表れる事件であったと思います。

今回の内容は以上です。ご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください、お待ちしております。