2022.05.13

中国「キャンプ」ブームにおけるビジネスチャンス

中国におけるキャンプブームの到来

中国では、コロナ禍の影響も受け2020年頃からキャンプを中心としたアウトドア・レジャーが徐々にメジャーになって来ており、2020年は「キャンプ元年」とも呼ばれています。今最も注目を集めているレジャーの選択肢であり、都市生活から離れ、大自然に触れる手段として若者中心に人気です。
中国では、キャンプはだいたい伝統式、手ぶら式とグランピングの三種類に分けられます。伝統式キャンプはキャンプ用具を全てバッグに詰め込んで行く苦行の旅。手ぶら式キャンプは、その名の通り用具は全てキャンプ地側が準備してくれて、本人達は手ぶらで現地に行き、そこでキャンプを楽しむスタイル。そして、アウトドアの楽しみ及びライフスタイルの融合と言われるグランピング(Glamping)は今中国のSNSで最も注目を集めているキャンプスタイルです。グランピングは、キャンプ地側がキャンプ用具のみならず、シャワー・トイレが完備された宿泊施設や、シェフによる料理などのサービスも提供するものです。都市内の公園、周辺の農場や芝生、あるいは郊外の山野、さらには西北部の砂漠など、デスティネーションはさまざまです。

自ら体験してみた

2021年の春、ブームに乗って「手ぶら式キャンプ」を体験してみました。ホテル宿泊同様、バッグ一つでチェックインするだけでした。
キャンプ地に到着後、ビーチにある全ての装備、デコレーション、キャンプ用具は若者の好みに合わせてセッティングされており、豊富なフルーツやソーダ水、バーベキューやビール、そしてロマンチックなかがり火プロジェクターライト、どこを撮ってもSNS映えする光景です。
個人的には「テントの張り方レクチャー」がとても気に入りました。テントシートやフレームを組み立ててとんがり帽子のようなテントにしていくプロセスにはセレモニー感と参加感が感じられ、このような体験設計に感服させられました。

撮影:筆者

キャンプブーム、その人気ぶりは?

中国国内の有名な旅行プラットフォーム「馬蜂窝」が発表した《2022年キャンプ品質研究レポート》によると、2021年1月から2022年3末までの「ドライブ旅行キャンピング」の人気は同期比240%も上昇しています。

データ出典:《2022年キャンプ品質研究レポート》

若者に人気のSNSであるレッドブックのキーワード検索で「キャンプ」を検索すると、352万を超える関連記事がヒットします。また、「レッドブックキャンピング・シーズン」というイベントセクションが設けられ、香港出身のスター陳偉霆(William)をアンバサダーにして、各大都市付近にあるキャンプ地および使い勝手の良いキャンプ装備などに関連した内容をおすすめしています。

出典:レッドブック

キャンプに夢中な人ってどんな人?

《2022年キャンプ品質研究レポート》の、キャンプレジャー愛好者を見ると、女性がリードするブームであり、デジタルネイティブや親子旅行者などが主要なユーザー層になっていることが分かります。
2021年のキャンプ消費者のうち、女性がキャンプ旅行や消費の決断者である場合が多く、その割合は64%を占めています。
消費者性別と年齢分布では、自然を愛し、トレンド好きの90年代生まれ~2000年代生まれの若い旅行者や子供の体験式教育を重視する80年代生まれが2大主力層となっています。キャンピングは健康的な過ごし方とリラクライゼーションの2大ニーズを満たしているのに加え、親子関係を良くする親子キャンプが若い親たちから注目を集めています。

データ出典:《2022年キャンプ品質研究レポート》

✔ キャンプブームを支えるのは都市生活から離れらない「新中産階級」の支持

一級、新一級都市の生活者がキャンプの主なユーザーです。キャンプは心地よさをもたらしリラックスできるため、若い中産階級の注目を集めています。彼らにとってのキャンピングは寝場所が変わるだけでなく、騒がしい生活から逃れ、心を休ませてくれるものでもあります。

データ出典:《2022年キャンプ品質研究レポート》

✔ キャンプは同行者を伴う場合がメジャー

旧友を誘うもよし、新しい友に出会うのもよし、キャンプピングは今や若者たちの間で人気の社交の1つだと言えます。データによると、キャンプ旅行同伴者のメインは友人で約40%の割合を占めています。
ただし、長引くコロナ禍の影響により、友達との割合は減少傾向にあり、家族で参加する親子キャンプやカップル参加者数が明らかな上昇を見せています。
また、一部ではソロキャンプを楽しむ層も見られ、自由気ままに好きな事をして、お一人様タイムを楽しみながら自分を癒す時間を大切にしている様子がうかがえます。

データ出典;《2022年キャンプ品質研究レポート》

✔ キャンプブームで立ち上がる「キャンプ経済」

キャンプブームによる「キャンプ経済」の立ち上がりは、多くの企業に大きなチャンスをもたらしました。まずはもちろんキャンプ用テント、バッグ、アウトドアジャケットなどのアウトドア装備を取り扱っている企業が好調です。アウトドア用品のOEMメーカーである「浙江自然」の直近3年間の純利益は8千万人民元から1.59億人民元に急拡大していると報じられています。プロジェクター、調理器具、折り畳みテーブルとチェアの販売量も大幅に増加しています。
次いで、ポータブル式多機能家電メーカーもその恩恵を受けています。彼らは賢くターゲット顧客であるシングル客や小家族をアウトドア愛好者へと変えて来ています。
また、食品業界では発熱式火鍋、インスタント食材、レトルト食品、缶詰などの商品をキャンプ文化に合わせて、多くの商品が開発、リニューアルされています。
キャンプブームの中で、車、アウトドアカラオケ、バー、コーヒーセット、キャンプ関連メディア、撮影などなど、多様な業界が「キャンプ ×(かける)」をキーワードに面白いコンテンツを生み出して来ていますし、今後も新しい動きが期待されます。

最後に

いかがでしょうか。
中国国内でキャンプがブームになっており、大きなビジネスチャンスとなっていることを感じて頂けたでしょうか。上手くこの風を掴めれば、ブランドを大きく成長させるチャンスとなるかもしれません。
本記事の内容にご興味のある方や、もっと色んなトレンドが知りたい、という方は是非お気軽にご連絡下さい。新しいチャンス獲得につながるかもしれません。