2022.06.13

オーバーパッキング2大大国!? 日本と中国のパッケージングについて

こんにちは、クリエイティブの井上です。

5日間の予定でスタートした上海のロックダウンですが、もうすぐ2ヶ月になろうとしています。このロックダウンで、さまざまな業務が滞り困っているという方も多いのではないでしょうか? 1日も早く日常が戻ってくることを切に願っております。。。
(この記事が公開される頃には解放されていると良いのですが。。。)

さて、4月1日から(浦東はもう少し前でしたね)始まったロックダウン。1週間もすれば食料や日用品が尽きてきて、「買い物したいー!!!」ってなりましたよね?そんな頃4月11日から京东が動き出すというニュースが流れ、喜んであらゆるものを買い漁ったわけですが。。。

一向に届かない!

よく考えれば当然ですよね。隔離された2400万人の需要を、ほんの一部の動き回れる物流業者が満たすわけですから。。。

期待を裏切られた消費者からのキャンセルオーダーが相次ぐ中、化粧水が切れそうだった私は忍耐強く待つことに。
1週間待ち、2週間待ち、旅行用にとっておいたミニボトルにも手を出しはじめ、「手作り化粧水」なんて検索し始めたぐらいのタイミングで、やっと届いたパッケージ。
最高にワクワクするお届け物です!

消毒は面倒でしたが、何層にもなるパッケージを開けていく作業にはちょっとした職業病を発症してしまいましたよね。
どうしてこの段ボールにしたのか。どうしてこの箱のなのか。内容物に対してこの箱が適当なのかなど色々考えるきっかけになりました。

そんな訳で、前振りが長くなりましたが、今日は日中のパッケージング文化について考えてみたいと思います。

日中のパッキング文化

海外で生活していてたまに日本に帰ると、パッケージの量に驚かされます。
例えば、アイライナー一本を売るにしても、商品を細長い箱に入れて、それを吊り下げる穴が空いた台紙に固定して、それをさらに薄いプラスチックでラッピングして、お店によってはRFIDなどのチップがついていることもあります。両手に持ちきれないほど買い物を抱えて帰ってきても、パッケージを外すと5分の1ほどの体積になることも。

個人的には資源の無駄遣いはやめるべきだと思っていますが、日本の市場のお作法が変わらない限り、メーカーはこういう趣向を凝らして商品棚で目立っていく必要がありますよね。(もちろん、商材や販売チャネルによりますが。)

みんなで「せーのっ!」でやめればいいのに。。。と心の中で思ったりしています。

では、中国はどうでしょう?
Eコマースが圧倒的に発達している中国では、「商品棚で目立つこと」が日本ほど重要ではありません。オフラインで購入される場合でも、情報の接点はオンラインの場合が多いので、サイズの小さな商材を目立たせるために大きなパッケージを作るなどといった工夫をする必要性が低いのです。伝えたい情報はオンラインの商品紹介ページに情報を記載すれば済むのですから。
そのため、日本のパッケージに比べるとマーケティングよりブランディング志向の強い比較的簡素なパッケージングが目立ちます。

一方で、ECで販売したものを届けるためのギフトボックスは、消費者のオフライン体験をリッチにする貴重な機会として、より重要視されるようになってきました。
オーバーパッキングであることは間違いないのですが、日本のそれと同じく「やらなければいけないお作法」になりつつあります。

中国におけるギフトボックスの役割

もちろん、ギフトボックスの最大の役割は、パッケージを開ける瞬間の演出です。
ECプラットフォームにはブランド直営店以外に、様々な代理店やハンドキャリーをしている個人事業主などがひしめいています。直営店より安い価格で販売している業者も多々ありますよね。

そんな競争の中、直営店で買い物をするモチベーションの一つになるのが、安心感。
「これ、ちゃんと本物なのかなぁ」なんて心配する必要もないし、輸送で傷ついたボロボロのものが送られてくることもなかなかないので、私のような面倒臭がりは色々お得情報を探すよりも、もっぱら旗艦店に直行。という選択になるわけです。

ギフトボックスはその「安心感」や「品質」を、より強く感じていただくための演出として機能していると言えそうです。

もう一つ、綺麗なギフトボックスを作る利点としてありそうなのが、お客さまのお家に長期的に居座ることができる、という点です。

今回のロックダウンで、同じ団地に住む人々との交流が活発になり、様々な物資や食料を分けてもらうなど、隣人愛を感じる機会に恵まれました。その際、お裾分け品を様々なブランドの紙袋やギフトボックスに入れて届けてくれる人が多くいらっしゃいました。

今まで考えたことはなかったですが、贈り物が好きな中国人は、こういうちょっとしたお裾分けやプレゼントのために、ギフトボックスを取っておいたりすることが多いのかもしれないなぁ、なんて思いました。

中古品を売るプラットフォームでは、ギフトボックスを販売している人もいました。

こうやってブランドロゴのついた綺麗な箱を、2次的に利用していただけると長期的なエクスポージャーが得られていいですよね!

因みに井上家には、おもちゃをそこら中に散らかす怪獣が住んでおりますので、その攻撃から身を守るために、某スキンケアブランドのギフトボックスを利用させていただいております。蓋が本体と一体になっているので、「ふたがないー、さがしてー」なんて騒がれることもないですし、重宝しています。

この箱で遊んでいる小さな怪獣には、このブランドが「おかぁさんが使っていたブランド」として認知されることでしょう。
それがポジティブなのかネガティブなのかは、私がどう歳をとるのかにかかっていますが。。。

箱制作で使える中国語

バルコニアもブランディングのお手伝いをさせていただいておりますので、ギフトボックスのデザインをさせていただくことがございます。

今日は、いろんな箱のスタイルの呼び名をいくつか紹介しておしまいにしようと思います。

「折叠盒(ジューディエフー)」と「成型盒(チェンシンフー)」

「組み箱(折叠盒)」は、平らな紙を折り曲げて組み立てる箱のことを言います。比較的安価に短期間で製造できる上、平面の状態で保管できるためかさ張りません。
ミニマリスティックなブランドさんや、エコで売っているようなブランドにおすすめです。

一方「貼り箱(成型盒)」は、芯となる厚紙に、貼り紙と呼ばれる薄い紙を綺麗に張り合わせて仕上げる箱のことです。機械での製造が可能なものもありますが、手作業で製作されるものも多く、単価は比較的高くなります。強度と耐久性に優れており、見た目も美しいので、高級感を訴求したいブランドにおすすめです。

形状の名称:天地盖盒(ティエンディーガイフー)

「天地盖盒」は、一般的な蓋つきの箱で、組み箱でも貼り箱でも制作可能です。一般的な形なので量産性は高く、コストも抑えられます。
組箱の場合切れ目が見えてしまうのが難点ですが、強度も高く、糊付けなしで組み上げることができます。

貼り箱の場合でも、機械で作業できる場合が多く、他の形に比べて量産性が高いのが特徴です。

形状の名称:天地盖盒 ver.2

先に紹介した「天地盖盒」は日本語で「かぶせ」と呼ばれる形状なのですが、そのほかに日本語で「印籠」と呼ばれる形もあります。下にくる方の箱の内側にもうひと枠設け、蓋と身を同じ寸法にするもので、「かぶせ」に比べてもスッキリと収まりがよく、高級感をより演出できます。

組み箱・貼り箱どちらでも製作が可能ですが、貼り箱で制作されることが一般的。「かぶせ」に比べてひと枠構造が多いので、より強度が高く、また単価もその分高くなります。

中国語ではどちらも「天地盖盒」となってしまうのですが、こういう箱に挑戦したい場合は、以下の写真を手に印刷業者にお問い合わせいただければと思います。

形状の名称:书本盒(シューベンフー)

「ブック(书本盒)」は、文字通り一見すると本の様に見える形状です。本でいうところの表紙の部分がふたになっています。
組み箱でも貼り箱でも製作可能ですが、組箱の場合蓋が閉まるように、差し込み用のタブを付ける必要があります。
貼り箱で作る場合、小さい磁石を用いて蓋を固定するような方法がとれるので、より高級感がでますが、表紙部分は手作業が必要になるためコストが高くなりがちです。

Blank white flat square gift box with open and closed hinged flap lid on white background. Clipping path around box mock up. 3d illustration

形状の名称:翻盖盒(ファンガイフー)

「ヒンジ(翻盖盒)」は、印籠タイプの蓋と身がくっついたもので、基本的に貼り箱で製作されます。台紙やリボンをセットするなど、様々な意匠を凝らすことができオリジナリティが出しやすいのが特徴です。
ジュエリーなど高級品を入れる用途に使われることが多いため、高級感を演出しやすく、陳列性も高くなっています。
ただ機械で製作することができないため、コストは割高になります。

印刷会社が持っているプリンターによって、「できる、できない」は変わってきますし、コストも当然違ってくるので、詳しくは御用達の印刷業者にお問合せいただく必要がありますが、ギフトボックスなどの箱を製作される際に、ぜひ参考にしてみてください!