2019.04.29

スーフィーの物語と砂の話:価値観を変える物語との出会い

balconia Shanghai 総経理の久保山です。私たちは「これまでの価値観から自由になろう、新しい未来を描こう」をコンセプトにしている会社です。今日の話は「スーフィーの物語」。すごく価値観を変えさせられる物語でしたのでご紹介します。

■スーフィーの物語とは?

スーフィーというのはイスラム教の一つの宗派のようなもので、アラーに近づくための修行僧を言います。すごくこの宗派がユニークなのは、彼らの教えを「物語」で引き継いでいる点です。
スーフィーの高僧が語る物語を弟子が聞き、最初は一面的な解釈を教えます。弟子が成長してくると同じ物語の別の解釈を伝え、2つ目、3つ目、と深い解釈を伝えていくことで教義を伝承するそうです。私たちが座学で理屈を学ぶより、ケーススタディでディスカッションしながら理解を深めていくのと同じですね。それを千年以上も前に、宗教の教義の中で使っているところが面白いですよね。

■砂の話

その中から私がすごく本質的なことに気がつくことのできた物語をひとつご紹介します。今手元にないもので少し細かな点違ったらご容赦くださいませ。

主人公は山から下ってくる小川です。小川は森を超え、畑を超え、どんどん下っていくのですが、砂漠にぶつかってしまいます。砂漠はどうしても超えられなくて泥になってしまうんですね。そこで砂漠は言います「おまえは水蒸気になって風に運ばれるんだ。そうでないと完全に泥になってしまうぞ」
でも小川はそのことを簡単に受け止めることができません。自分以外のなにかに変わってしまうなんて無理だ、と思います。
でも、とうとう、自分が泥になってしまったらそれも変わってしまうことなのだと思い切って水蒸気になって風に運ばれます。それはとても気持ちの良い体験で「ああ自分は何度も風に運ばれてきたんだ、本当の自分はむしろこうだったんだ」と自分の本質に立ち返る、というお話です。

■中国市場で感じたこと

私はこの話を読んで、自分もそうだったなぁ、と思いました。海外でビジネスをする時、いつもこれまでの価値観が邪魔をして「違うやり方なんてできない。みんなが日本のやりかたでは勝てないと言ってもどうやって変えたらよいかわからない!」といつも思っていました。
変わってみるとどこまでいってもやっぱり自分で、自分らしいやり方でしか物事を変えていくことはできない。自分を変えることは怖いことですが、なにもせずに泥になってしまうのではなく、思い切って変えてみることの大切さを考えさせられます。

さて、こんな私の解釈にスーフィーの僧たちはどんな2つ目の解釈をするんでしょうね。
考えるだけで楽しくなってきます。

参考文献:スーフィーの物語:ダルヴィーシュの伝承
ご紹介した物語集です。1つ物語はそれぞれ2〜3ページの短編で読みやすいです。中には本当に不思議で何が言いたいのかわからないものもたくさんあります。どこか気持ちの良い場所でのんびり思索にふけってみてはいかがでしょう?既に絶版になっているのですが中古で購入してみてくださいね。
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久保山