2023.09.04

寺院こそが中国の若者を最も理解している

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最近の若者に人気なデートスタイルはお寺でコーヒーを飲むこと

「さあ、お寺に行ってコーヒーを飲もう!」 これは最近の若者の間で流行っているデートスタイルなのです。今年2月以降、寺院入場チケット予約者のうち、1990年代後半生まれや2000年代生まれが約50%を占めており、寺院関連の景区チケットの販売数も前年比310%増加しています。夏休み期間中、その数はさらに増加するでしょう。

実は、お寺カフェは珍しいことでもなんでもないのです。日本の多くの寺院に「コーヒーコーナー」が設けられており、一部では「仏教入門」などの講座も開催されています。中国国内の寺院の景区内にもカフェができました。2012年スターバックスは灵隐寺に進出しましたが、当時の消費者はこれをただの観光地カフェとしか見ておらず、あまり注目されませんでした。ところが、2022年に「和尚売咖啡(お坊さんがコーヒーを売る)」というキャッチフレーズを打ち出して以来、「慈杯咖啡」(杭州永福寺のコーヒーブランド)を代表とするお寺カフェが本格的にブームになりました。2023年上半期には、上海、北京、杭州、厦門、台北などの都市でますます多くの寺院が独自のコーヒーブランドを展開しています。
お寺で飲む一杯のコーヒーには目を覚す、リラックス効果だけでなく、心を静めてお祈りする、善行を積む、心を清めて善い行いをするなどといった意味合いも含まれています。これだけ多くのマジカルワードが組み合わさると、若者たちが夢中になるのも当然でしょうね。

寺院のコーヒー
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寺院は一見世間から離れて、実は人間を最も理解している

寺院は若者の真のニーズを理解しており、非常にうまく対応しています。昔なら寺院に入る際にかかる費用は入場料とお香典だけでしたが、今は「慈杯咖啡」も楽しめるのです。さらには、お香典念珠をお招きして、禅の修行が体験できるキャンプにも参加できます。多くの寺院では宿泊や精進料理の提供以外にも、動物たちと触れ合ったり、禅師の教えを聞いたり、お悩み相談など、精神的な支えや場面体験サービスまで総合的なイベントが行われています。

また、寺院は若者が親しみやすい方法で仏法を広めることに非常に長けています。灵隐寺はショート動画のアカウントを持っており、龙泉寺はアニメーションIPの活用、南京大報恩寺ではサイバー礼佛イベントを行っています。他にもインターネットで流行っているデジタル木魚など、新奇なスタイルが数多くあります。寺院は静かで俗世間から離れたように見えますが、実は人間を一番理解しているかもしれません。

※風水学的観点から説明すると、念珠を購入することは神像をお招き寄せると同様に、「お招きする」という言い方をします。念珠を一つお招きすることを通じて、神聖なるものに対する敬意を表します。

左図:北京の雍和宫にある仏具ショップ
右図:雍和宫でお招きした瑠璃念珠
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禅の修行キャンプに参加する都会の若者がますます増えている
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アニメイベントで、子どもたちと一緒に遊ぶ北京龍泉寺IP賢二
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大衆の情緒は常に変動するものですが、ブランドは理念を堅持すべき

未知なる答えを見つけようとすることは人類の伝統だと言えます。今の若者たちは卒業や就職、大学院進学、公務員試験、結婚、子育てなどといった様々なストレスに直面しており、その焦りや不安を解消するための捌け口が必要なのです。もしその一杯のコーヒーが少しでも癒してくれるのなら、これが修行でなくてなんでしょうか。

しかし、情緒は常に変動するものです。ここ数年間、感情に関するキーワードはリラックスやストレス解消なのですが、数年後には全力疾走や奮闘に変わっているかもしれません。流れに従うよりも、ブランドは理念を持ち、積極的に消費者とコミュニケーションを取りながら今のトレンドに適合した対応を取るなど、ブランドのコアを堅持すべきでしょう。そして、ある日振り返ってみたとき、活気に満ちたマーケティングを実現していたかもしれません。