海底捞が新消費シーン「After Party」を開発

海底捞と言えば、中国の消費者ならまず思いつくのはおそらく「美味しいかどうか」ではなく、海底捞が提供する「ユニークでディープなサービス」ではないでしょうか。この火鍋専門店は、中国で最も優れたサービスを提供しているブランドだと言っても過言ではありません。席を待つ間、お茶を運んで来てくれたり、靴を磨いてくれたり、ネイルサービスまでしてくれます。食事中には、寄り添いぬいぐるみやヘアゴムも無料で提供してくれます。

上記以外にも、以下のような多くの隠れサービスがSNS上で広がっています。

１、カップルの顧客が食事中に喧嘩した場合、スタッフは「取り込み中」のスタンドをそっと置いてくれて、カップルが邪魔されないように二人だけの空間を確保してくれます。

２、顧客から食べきれないスイカのスライスを持ち帰りたいという要望があった場合、お客様がお帰りになるときに、スタッフはスライスの代わりにスイカを丸ごと一個手渡しし、「スイカを切るのは面倒だから一つまるごとお持ち帰りください」と説明してスイカをプレゼントするのです。このような心に残るサービスやサプライズに喜ばない人はいないでしょう。

海底捞の「お誕生日会」サービスUGCがインターネットで広がった

さまざまなサービスのうち、最も広く知れ渡ったのは何といっても海底捞のお誕生日会でしょう。これは海底捞が開発した新しいサービスの一つであり、大きな成功を収めました。お誕生日会に「誕生日ライト+スタッフのお祝いダンス+麺のばしパフォーマンスショー」などを提供してくれるので、エンタテインメント満載です。このようなユニークなサービスを体験すると、人付き合いが得意で社交的な「社牛型※」の人はさらに気持ちが膨らみ、一方で「社恐型^※」の人はとことん困惑する結果となるでしょう。サービスの好き嫌いはともあれ、エコノミークラスの料金でビジネスクラスのサービスが受けられるので、コスパ最高ですね。投稿数やいいね数、コメント数から、ユーザーはこのようなUGCを大変楽しんでいるように見受けられます。

※「社牛」とは、インターネットスラングで「社交牛逼症」の略語で、社交的で臆せず、他人とのコミュニケーションに自信があり、他人の視線を気にせずにスムーズにコミュニケーションをとる人を指します。
※「社恐」とは、「社交恐怖症」の略語であり、「社牛」とは対照的で、社交が困難でコミュニケーションを避ける傾向がある人を指します。社交的な環境や人混みの中にいたくない、注目されることを嫌うなどといった特徴があります。

コンサート後のアフターパーティーも海底捞が開発した新サービスの一つ

今年のライブ・エンターテイメント市場は非常に活況で、海底捞が開発した新しいサービス「アフターパーティー」が話題となっています。コンサートが終了すると、海底捞は観客に火鍋を楽しんでもらうために、無料送迎バスでお店まで送迎しています。メディアの報道によると、7月23日の貴州音楽フェスが終了した直後、海底捞のスタッフは既に会場外で待機しており、無料送迎バスの前でメガホンを持ってお客さんの呼び込みをしていました。観客は「すぐバスに乗るから、冗談抜きで！」ととてもユーモアのある返し方をしたそうです。誰もがこれを客引き行為だと思っていなく、心温まる送迎サービスだと受け取っているようです。ネットユーザーによれば、海底捞のスタッフは送迎バスでかける音楽まで丁寧にピックアップして楽しい雰囲気を作り上げ、サービスを徹底していました。

なぜ消費者は海底捞の呼びかけに応じたのか

まず多くの場合、大型エンターテイメント会場は市の中心部から遠く離れているため、観客はコンサート終了後の混雑や帰りの際にタクシーが全然つかまらないなどといった問題に悩まされることがよくあります。加えて、コンサートで体力消耗し、疲労感と空腹感がどっと押し寄せてきます。そんなとき、誰かが迎えに来てくれて火鍋を食べに行くというアイデアはまさに助け舟です。これ以外にも私の個人的な見解ですが、ファンたちがアイドルのコンサートを楽しんだ後は余韻が続いており、引き続きその感情を解放できる場所を求めているという深層的なニーズが一番の原因ではないかと考えています。これは、送迎バスやお店で楽しい時間を過ごす場面を見れば明らかであり、海底捞はその瞬間をファンたちと一緒にはしゃいで、盛り上がっています。

このような消費シーンには消費者の真のニーズが隠されており、その結果多くのトラフィックをもたらしました。トラフィックは売上に比例しないかもしれませんが、実際はオフラインでの消費行動とオンラインでのクチコミやホットな話題につながっているのです。ハイレベルな商戦やトップクラスのアートと同様に、まさに「看山不是山，看水不是水（山を山として見ず、水を水として見ない。宋代の禅僧の言葉、禅の修行の三段階のうちの一つ）」という境界なのです。優れたビジネスは競合他社の想像力を超え、大きなビジネスは消費者の想像力を超え、そして、成功するビジネスは市場の想像力を超えた意外なところにあるかもしれません。