2023.12.05

都市の若者たちに人気の新たな癒しスポット「サウンドヒーリングクラブ」とは

出典:RED

「サウンドヒーリングクラブ」や「钵音セラピーセンター」といった癒しの場所が最近よく話題になっています。これらの場所は神秘的な雰囲気に包まれ、ストレスの緩和や睡眠の質向上に効果があると言われています。ソーシャルメディア上でも「サウンドヒーリング」に関するコンテンツが増加しております。

左:大众点评appにある「鉢音ヒーリング」関連の検索結果が約87,548件。出典:大众点评
右:REDの「鉢音ヒーリング」体験の関連話題も熱い。出典:RED

声音疗愈(サウンドヒーリング):さまざまな音を通して身体と共鳴し、リラックスした雰囲気の中で体と精神状態を改善する効果があると言われています。

※颂钵療愈(鉢音ヒーリング)は音楽療法の一つで、钵の共鳴音が細胞やエネルギーポイントに響き、緊張感やストレスを解放してくれます。リズムに沿って深いリラックスと静けさを感じ取ることで、不眠や焦り、身体の疲れ、集中力が続かない、身心の不調などといった症状の改善が期待できます。

サウンドヒーリングの体験料金は決して安くありません。60分の少人数リラッククラスの料金は約250元で、1対1のプライベートレッスンの場合、割引後の料金は799元となっています(下左図)。ユーザーレビューでは「面白い」「とても新鮮」「よく眠れた」といったコメントが多く寄せられています(下右図)。

出典:大众点评

つい最近では、リアリティ・バラエティ番組「很高兴认识你(あなたに会えて嬉しい)」がトリガーとなり、「鉢音ヒーリング」を一気に広めました。「鉢音ヒーリング」に参加した人気女優周迅(ジョン・シュン)さんは、その場ですぐに眠りに入り、鉢音の癒し効果と快適さをリアルに実演しました。その後、「周迅が体験した鉢音ヒーリング」というキャッチフレーズが各メディアで見かけるようになりました。

※周迅(ジョン・シュン):中国語圏の女優、流行歌手。絶世の美女とは言えないかもしれませんが、優れた洞察力と察知能力は彼女の魅力を最大限に引き出しています。特に中国語圏映画では誰もが認める演技派女優であり、数々の話題作でさまざまな役を演じてこられました。

バラエティ番組「很高兴认识你」のスクリーンショット
出典:RED

「后浪研究所」(若者を研究対象にしたアカウント)は、2人の体験者にインタビューを行いました:

一人は一線都市で金融業に従事するホワイトカラー女性で、仕事が終わると急いで地下鉄に乗り込み、サウンドヒーリングクラブに向かっています。友達を誘ってセラピストの演奏を聴きながらリラックスした状態で1時間ほど横になるそうです。今まで彼女たちにとってストレス解消やリスレッシュといえば、映画を見たり、展覧会に行ったり、或いはショッピングや食事に行くことでしたが、最近、サウンドヒーリングという新しいリラックススタイルを発見したそうです。彼女の体験談によれば、「まるで海辺に横たわって、砂浜に打ち寄せる波の音を聞いているようで、その間仕事のことを忘れさせてくれるのです」と語っていました。

そして、もう一人は探究心が強く、新しいことにチャレンジし続ける90年代生まれの女性で、昔は刺激を通じてストレス解消をしていたようです。例えば、ホラー映画を見たり、カラオケをオールしたり、友達と出かけたりすることが好きだったのですが、加齢につれて静かな場所で気持ちを落ち着かせたり、リフレッシュすることを望むようになったそうです。彼女はサウンドヒーリングについて「まるで『真夏の夜の夢』を見ているような感じだった。柔らかな黄色い光と豊かな音色に包まれて、心身ともにリラックスできた。」と話していました。

お2人の経験談からは、都市の若者にとってサウンドヒーリングはカラオケ、映画、お酒、フィットネスに続く、もう一つの感情の捌け口になりつつあることが見て取れます。音楽を聴くことによって人々は抑圧された感情を解放したり、ポジティブな感情を強化し、ネガティブな感情を排除したりして、身体のストレスや不安、緊張状態を和らげ、自己治癒力を引き出すことができるのです。

サウンドヒーリングが国民健康保険の対象に

最近では、四川省医療保障局が音楽療法リハビリを新医療保険の対象項目に追加することを発表しました。この公表は多くの人々を新しい分野に導き、ヘルスケア産業の発展にも新たな機会をもたらしています。

新聞記事「音楽療法を四川省医療保険の対象に追加する」のスクリーンショット
画像出典:RED

なるほど、社交メディアで音楽ヒーリング体験だけでなく、セラピストのトレーニングコースも増えているのはこういうことだったのですね。

音楽療法セラピストトレーニング関連の投稿
画像出典:RED

せわしい都市で生活する人々にはストレスの緩和やリフレッシュが必要です。政策的支援も加わり、サウンドヒーリング分野において更なる発展が期待できるでしょう。しかし、今の若者の生活スタイルも日々変化しており、またすぐに新しい感情ケア法が現れてくるかもしれないので、何よりも大切なのは、若者の動向を注視しながら彼らを理解し、分析し、そして近づけていくことではないでしょうか。