2024年春節における日用消費財業界8つのトレンド

2023年の年末が近づいており、時代の変化とともに中国人の年越しの過ごし方も変わりつつあります。REDのビジネス連携型コンサルティング会社「睿丛」は「RED・2024年春節(中国の新年)マーケティングトレンド」を発表しました。この報告書では、祝祭日における人々の関心や習慣の分析を通じて、若い世代の年越しの過ごし方及び新たなトレンドについて述べています。
トレンドその 1: 日常の満足を超えた、五感も楽しむ贅沢
普段からカロリーコントロールに励んでいる若者たちは、一年間頑張ってきて、旧正月こそ「合理的に贅沢したい」と考えている人が多いようです。
益索普(イプソス)の2024年春節調査データによると、若者の年越し用品リストには、各種アルコール飲料、スープ鍋、ソーダ、ドリンク、クッキー、チョコレートなどが上位にランクインしており、「ドーパミン美食※」がトレンディなトピックとなっています。
※ドーパミン美食:チョコレート、炭酸飲料、ケーキなど、ドーパミンを分泌させる食品。

画像出典:RED
ハッシュタグ「毎年恒例の年越しグッズショーコンテスト」の総閲覧数は前期比435%増加、「新年のおやつ」の総閲覧数も1.1億回となり、622% 増加しました。「食べたいだけ食べる」というのは春節ならではの「スペシャル特典」なのです。
トレンド その2: 無邪気な心に戻り、子供時代の思い出が蘇る
普段は敏腕社員だったり、素敵なパートナーや穏やかな友人だったり、「大人」のペルソナをしていますが。春節になると瞬時に童心に帰ることができるのです。データによれば、35%の消費者が「子供時代の思い出の味」を再購入したいと願っており、切り絵、手作り餃子、冰糖葫蘆(サンザシの実などをタケ串に刺し,煮とかした砂糖の中につけて衣を着せた菓子)、砂糖絵などが新年の「新しい遊び方」となる可能性が高く、トピック「子供時代の思い出が蘇る」が多くの反響を得ています。

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トピック「子供の頃の思い出のおやつ」の閲覧回数が 3.7 億、「子供の頃の年越し」が1.2 億 回閲覧され、前期比 551% 増加しました。昔を振り返ると、子供の頃の思い出が一気に蘇ってきた気がします。
トレンドその 3: すべてが良い兆候
新しい一年を迎える際に、人々は昨年溜まったストレスや迷いを一気に払拭して、気持ちを切り替えて良い年となることを願っています。特に就職や生活、恋愛、メンタルなどさまざまなプレッシャーに直面する中、アプリでのお祈りや寺院で数珠を買うことが若者の心の支えとなっています。

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ここ3ヶ月、「デジタル功徳」、「縁起」、「数珠」等のキーワード総閲覧数は28億回に達しました。鯉が龍に変身するのは幸運の象徴だと信じているので、若者たちは辰年には必ず幸運が訪れると考えています。
トレンドその 4: 思い出作り、若者の世界を親に体験してもらう
若者は親にも自分たちが普段楽しんでいる美食や生活を体験してもらうことを推めています。Z世代はまさに「ジェネレーションギャップ」や「階層の壁」を打ち破り、新たな家族の思い出を創り出そうとしているのです。彼らはペットを連れて帰省し、大晦日の支度を手伝ったり、家族と一緒に新年メイクをしたりするなど、「ようこそ!マイワールドへ」をアピールしているかのようです。

中:お父さんと一緒に寅年限定メイク
右:ペットを連れて帰省
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トピック「新年メイク」と「ペットの年越し」は合計 5.1億回閲覧され、前年比 6539% 増加しました。年齢を重ねると、年越しへの関心が高まり、この世代の若者はこれまでとは違った新しいスタイルで家族と一緒に新年を迎えようとしているのです。
トレンドその5: ギフトが進化、健康と友情がアップグレード
健康が再び注目されるようになり、若者が新年の贈り物をする際に、家族、友人、そして自分の心身の健康に焦点を当てています。セレモニー感を重視した、言葉では表現しきれない「贈り物」を通じて祝福を祈っています。
46%の消費者がお正月用品を購入する際にいちばん重要視しているキーワードは「健康」だと話しており、「親の健康状態のアップグレード」が若者たちの「新しい形の親孝行」となっているようです。
また、友人に贈り物をする際に「オリジナルバージョン」や「手作り」にこだわる若者も増えています。これは「温かみのあるギフト」だけでなく、個性のアピール及び独自の理解を物語っています。 「友達への手作りプレゼント」もその一つの利用シーンです。

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トピック「年越し用品の贈り方ガイド」が注目を集めています。前期比21,459%増加しており、年越し用品の贈り物に関連する記事が4万件を超えました。年越し用品は、春節中にエネルギーを補充して、元気な姿で新しい一年のスタート切るための大事な「健康サプリパッケージ」なのです。
トレンドその 6: 旅を楽しむ
旅行で重要なのはゴールではなく、一緒に年越しする人がいることではないでしょうか。若者たちは旅行先で新年を迎えることを楽しんでいるようです。違う町で年を越すことが2024年の新しいトレンドとなるでしょう。今度は郷土料理ではなく馴染みのない地域のご当地グルメも食べてみたいものです。

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「お正月どこ行くの?」に関連するトピックの総閲覧数は2.1億回に達しています。旅行先にいても、新年の雰囲気に溶け込み、ご当地グルメや地元の年越し料理を楽しんだり、寺院を訪れたりするなど、街の雰囲気に浸ってみたいと思っている方が多くいらっしゃるようです。
トレンド7: セレモニー感満載の盛宴、民俗文化の集団共鳴
若者は「お正月の雰囲気」を求めて、文化の美しさに深く浸り、集団で賑わう年越し体験を楽しんでいます。大人数で盛り上がるお祝いイベントは2024 年もブームが続きそうです。
龍舞や獅子舞、花火や爆竹など、伝統的な市場で行われていた祝賀行事が今や若者の間で人気となり、「お正月の花火大会」の関連キーワード閲覧数は前年比1,733%も増加しています。

出典:RED
「お正月の龍舞と獅子舞」、「飾り灯籠」などの関連トピックは累計5.4億回閲覧されました。五感を刺激する盛宴で、人々は来る年への願いを込めて、打ち上げられる花火を見上げています。
トレンド8: 舌で味わう文化体験
人生で一番大事なものは故郷であり、大晦日の晩ごはんはそれとおなじくらい重要なのです。人々は故郷のルーツからアイデンティティを獲得し、心強さを得ています。郷土料理は故郷への想いにつながっています。
トピック「我が家の大晦日晩ごはんをお見せします」は非常に共感を呼ぶ話題であり、各地に散らばっている人々にとって、故郷への思いを伝えるのに最適なタイミングでもあります。

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「故郷美食」の総閲覧数が2.9億回に達し、人気トピック「大声でご当地推しメシ」の閲覧数が4.5億回、関連記事は3.4万篇アップされました。
これらのトレンドの背後に見える共通の方向性は、若い世代のライフスタイルの変化とそれに伴うより細分化されたニーズであります。急速に変化する市場環境の中で、消費者のニーズと好みは絶えず変化しており、トレンドも日々変化しています。ブランドが春節マーケティングでチャンスを掴むためには、細分化された人々のニーズに適応したマーケティング戦略を迅速に調整し、先見的な戦略と計画を立てる必要があるでしょう。