2023.12.28

「都市でかくれんぼ」や「仕事のあと、夜間学校へ」――【若者の間で最近流行っている遊びは何か】VOL.1

画像出典:RED

2023年11月30日、REDは月次生活インスピレーション特集として「ライフスタイルトレンドリスト」を初めて発表しました。このリストにはフレッシュなインスピレーションが集まっており、面白いアイデアがぶつかり合っています。これらのインスピレーションはREDコミュニティから生まれたもので、人々が今試みている楽しいことばかりです。ユーザーに生活を豊かにするインスピレーションや新しい生活スタイルを実践するためのヒントを提案しています。

また、ブランド・マーケティング関連の従事者にとっても、このリストは非常に価値の高いものであり、最先端のトレンドリサーチレポートとも言えるでしょう。筆者は共通点のある2つのトレンドをピックアップして、ここで皆さんにご紹介したいと思います:

1. 都市で「かくれんぼ」
2. 大人の夜間学校

1. 新しいソーシャルゲーム:都市で「かくれんぼ」

端的に言うと、これは実写版「トムとジェリー」のオフラインゲームです。

基本的な遊び方は、公園などの屋外スペースで地図アプリのグループ共有リアルタイム位置情報機能を使用して、オフラインで「ネズミ」をリアルに捕まえることです。「ネズミ」が捕まると今度は「猫」に変わります。ゲーム終了時に、捕まらなかったネズミの勝ちとなりますが、すべてのネズミを捕まった場合は、猫の勝ちとなるというルールです。

左:ゲームプレイ時の地図APPスクリーンショット
右:蛍光リングをしてゲームに参加
画像出典:RED

この位置情報共有機能を使った「かくれんぼ」ゲームはもともと大学のキャンパスで始まったものです。開始から半年を経て、中国国内の各主要都市に広がるようになりました。若者が集まるソーシャルプラットフォームであるTikTok(抖音)やREDなどでは、関連トピックの閲覧数が激増し、議論で盛り上がっています。若者たちはソーシャルプラットフォームで投稿をしてチームを組むなど、ゲームの攻略や体験を共有しています。参加ユーザーたちは、子どもの頃のクラシックなゲームを再体験するのはとても面白く、数キロメートルを一気に走ることで目標の運動量も達成できるし、健康にとても良いと話しています。また、このゲームはすでに海外にまで広まっており、シンガポール、東京、ニューヨークでも関連する投稿が増えています。

左:ゲーム参加者募集の投稿
右:ゲーム体験後の投稿、よい体験をしたとのコメント。
画像出典:RED
左から右の図は、それぞれシンガポール、東京、ニューヨークにおける「かくれんぼ」の投稿
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この流行の背後にはいくつかの理由が考えられます。まず、新鮮でシンプルなゲームでありながら、異なる背景やライフステージの人々が誰でも簡単に参加できるようになっていることです。次に、「ゲーム+運動」という設定は大変面白く、気づかないうちに体を動かし、運動になるという点です。そして、GPSやソーシャルグループなどが組み合わさった新技術は、ゲームのインタラクティブおよび報酬をよりタイムリーにし、体験価値を高めています。最後に、私が最も重要だと思うのは、その「ライトソーシャル属性」なのです。ストレスフルな社交場面がなく、ゲーム中のインタラクティブによって「楽しい」と感じるドーパミンが分泌され、これは人間関係を円滑に進めるための重要な要素にもなっています。

筆者の考え:「かくれんぼ」ゲームは、「Citywalk」やフリスビー、マーダーミステリーゲームなどと同様に、若者たちが常に求めている社交シーンであります。アウトドアスポーツ+ライトソーシャル属性をベースとしているため、若者の間で急速に広がり、トレンドとなったのです。

2. 仕事のあと、夜間学校へ

「かくれんぼ」以外にも、仕事のあと夜間学校に行っている若者もいます。昔のように学歴ロンダリングを目的とした成人夜間学校とは異なり、現在流行っている市民夜間学校では、茶芸、コーヒーアート、美容・コスメ、ワインテイスティングなどを習うことができます。さらに、相撲、書道、ダンスなどの伝統的な習い事だけでなく、ボタン製作※1、藍染※2、クロワゾネエナメル※3等の無形文化遺産もあります。経験豊富な講師陣、多彩なコース、1回のレッスンは1時間半、週1回で1学期に10〜12回の授業が受けられて学費はわずか500元です。

※1 盤扣(パンコウ):中国伝統服装に使用される一種のボタン。
※2 藍染:藍染は古代の染色技術で、最も早いものは秦漢時代にさかのぼります。
※3 掐丝珐琅(キアシーファラン):中国の伝統的な工芸品で、エナメル工芸の一種です。

左:夜間学校の科目一覧
中:無形文化遺産の夜間学校宣伝ポスター
右:撮影に講師を務める新華社の契約カメラマン
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今年、美团と大众点评で「夜間学校」の検索数は前年比980%増加しました。一番人気の上海の夜間学校(上海市民芸術夜校)では、開講時に65万人が同時に申し込み、人気コースはわずか1分で満員となりました。人気アーティストのコンサートチケットを取るほどの熱狂ぶりです。多くのユーザーは、夜校の授業体験を高く評価しており、通常なら500元以上するピラティスのクラスが、夜校では1学期たった900元で受けられる、授業内容は豊富でそのうえ安価、学習環境も良く、体験価値も高く非常に満足していると話しています。

ユーザー体験後の投稿は、ポジティなコメントばかりです。
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夜間学校の魅力は何でしょうか?まず、何よりも手頃な価格です。通常なら数百元から数千元する教育機関の授業料と比べると、夜間学校の公益的な価格設定は1時間半でわずか40元前後、非常にコスパが高いです。次に、これらの若者たちは子どもの頃に「親にやらされた習い事」というような経験を持っている方が多くいますが、今度の夜間学校は純粋に趣味として学び、自分を「育て直す」、自分を喜ばせたいという若者のニーズを満たしています。最後に、夜間学校は若者の社交ニーズも満たしているのです。オンラインゲームやソーシャルメディアアプリとは異なり、そこにはリアルなインタラクティブが充実しており、授業中のディスカッションや授業後の交友活動は、若者たちの積極的な出会いやサークル活動にもつながります。

筆者の考え:若者が自分自身に注意を向け、好きなことにお金を払っていることは言うまでもありません。夜間学校が作り出すリラックスした和やかな雰囲気が若者たちの心を癒し、不安を和らげる効果が期待できることも見て取れます。夜間学校は実利を目的とせず、実際にはあまり実用的ではない知識や技術に焦点を当てた、大人のための少年宮※4と言えるでしょう。また、夜間学校は若者たちの集いの場であり、癒しスポットでもあります。

※4 少年宮:文化活動施設で、政府が市民の子供たちに提供する公共サービスの場所。

以上ご紹介した2つのトレンドは、どちらも若者たちの「ライトソーシャル」ニーズに言及しています。確かに若者たちは社交を必要としていますが、過度なものではなく、興味や趣味などといったストレスを和らげるライトで、程よい距離感が大事なのです。オンラインでもオフラインでも、ブランドは若者たちに「ライトソーシャル」なシーンを提供することができれば、彼らとの距離を縮めることができるでしょう。

今回は以上のようなトレンド情報を共有させていただきましたが、お役に立てれば幸いです。