2024.07.23

あなたは「I人」それとも「E人」?中国は「S人」が多い?!

皆さんこんにちは。インターン生のMEIYOUです。

突然ですが、皆さんは「I人」「E人」という言葉を聞いたことがありますか?
2023年あたりから中国のSNSを中心にバズりはじめ、今では知らない人がいないほど良く使われる言葉なのですが、由来は性格診断のMBTIの「外向型(E型)」「内向型(I型)」から来ています。

今回の記事では中国における「MBTI」の流行と、また性格属性にまつわるマーケティングについて紹介していきたいと思います。

「MBTI」とは

MBTIとは、人の性格を16種類に分けることができる性格診断法です。
MBTIでは、人の性格を以下の4つの側面から判定し、16の性格タイプに振り分けます。

1.外向型(E)と内向型(I):興味関心の方向
2.感覚型(S)と直観型(N):物事の捉え方
3.思考型(T)と感情型(F):意思決定の仕方
4.判断型(J)と知覚型(P):物事の進め方

中国では2023年までに、抖音(TIKTOK)上において#mbtiに関連するトピックの閲覧数は22.8億に達し、REDではMBTIに関連した投稿が40万件以上にも上りました。
また中国のみならず、日本、韓国、アメリカ、カナダなど様々な国で流行になり、SNSの自己紹介欄に自分のMBTI性格タイプを記載する人を多く見かけます。
日本においては、16の性格タイプにおけるそれぞれの特徴を表したわかりやすい見取り図などがSNS上で広がるなど、大きな話題を呼びました。

写真:MBTI見取り図
出典:鷹の爪リリカのサイト (pairs.pink);X@ririka_rrk

少し余談ですが、中国人のMBTIと他国の人のMBTIを比較した統計結果によると、世界に比べて中国は「S型(感覚型)」の割合が多いようです。「N型(直感型)」は空想や妄想が好きで、未来に起きることを鮮明にイメージできるのに対し、「S型(感覚型)」は、現実のイベントと過去の経験をより重視するのが特徴です。目の前にある課題を正確にこなし、予想よりも過去の体験を土台に行動するタイプが挙げられます。

図:中国と世界のMBTI指標比較
出典:16Personalities, China Personality Profile

「你是I人还是E人?(あなたはI人それともE人?)」

MBTIの流行を背景に、中国で自らの性格タイプを表す「E人(=自分は外向的である)」「I人(=自分は内向的である)」や、「J人(=自分は計画を立てるタイプである)」等といった流行語が誕生しました。
REDの投稿でも、「E人とI人の違い」や「日常生活においてのJ人・P人の特徴」等のような投稿が頻繁にみられるようになりました。

写真左:I人とE人の違い
写真中央:J人とP人のアイスクリームを食べる時の違い
写真右:J人とP人がストレスを感じた際の行動の違い
出典:RED

また日常会話においても、頻繁に使われています。友人同士で「你是I人还是E人?(あなたは内向型それとも外向型?)」という会話をよく交わすようになったり、先日友達とご飯の予定を立てていた際も、「さすが予定立てるの早いね」と送ったら「私J人だがら」と返答が来るなど、自分の性格を表す新たな手段として適応されています。

マーケティング分野での活用

MBTIの流行、「I人」「E人」等の流行語に便乗し、様々な産業で企業がマーケティングの戦略として活用し始めました。その中でも有名なものをいくつか紹介していきます。

1.Luckin Coffee

中国有名チェーンのLuckin Coffeeでは、各MBTIの消費者におすすめの飲料メニューを提案するサービスを展開しました。たとえば、人々の幸福を願う寛容で人当たりが良い特徴があるENFJの消費者には、まろやかなココナッツミルクとコーヒーを合わせたメニューと組み合わせています。この戦略には、消費者が商品に興味を出すのみならず、消費者が商品に対して所属意識を生み出すことが期待できます。

写真:MBTIを利用したLuckin Coffeeの広告
出典:RED

2.海底捞

有名火鍋チェーンの海底捞は、マーケティング戦略として、顧客の前で派手なパフォーマンスを行っています。しかし、目の前でパフォーマンスされると気まずさを感じたりする顧客もいました。そこで海底捞は、I人(内向的な)顧客とE人(外向的な)顧客に分けた席を提供し、2つのタイプに合わせて接客の内容を変えるサービスを始めました。

写真左:海底捞にてI人とE人に分けられて席写
真右:海底捞でのパフォーマンス
出典:RED

3.HUAWEI

HUAWEのIFreeBuds Pro 3イヤホンの広告では、I人、E人、J人、P人などの異なる性格特性に基づいて、異なる使用シーンを作り出しています。たとえば、I人は内向的で、一人で音楽を聴いてリラックスするのが好きなので、その情景と商品を組み合わせた広告イラストを展開しています。一方、E人は共有することを好み、社交的で、他人と一緒に音楽を聴くことを楽しむので、その情景をイメージしたイラストを展開しています。
このように、異なる趣味や性格の消費者と商品を結びつけることで、異なる人々に感情移入をしやすい製品体験を提供しています。

出典:RED

4.レストラン

レストランにおいては、カクテルなどとMBTIを組み合わせた飲み物メニューを展開し、ユニークで面白いとSNS上で話題になりました。

写真:MBTI別のカクテル
出典:RED

5. 混果汁

混果汁はI人の特徴を組み合わせた「I人情蔬」シリーズのポスターを展開しました。このシリーズでは、果物と野菜の風味をI人の内向的な特徴を持った口調と組み合わせて、消費者に健康でフレッシュである特徴をアピールしています。これにより、I人の共鳴をよび、消費者と感情的なつながりを築き、消費者の心を掴むことができると期待できます。

写真:「I人情蔬」シリーズポスター例
出典:RED

まとめ

今回は、中国におけるMBTIの流行と、MBTIを利用したマーケティング事例について紹介させていただきました。このように企業がMBTIタイプに分けて製品を細分化することは、消費者のアイデンティティの認識を強化し、消費者と製品をより緊密に結びつけることができます。
日本においてもMBTIはとても人気ですが、中国のようにマーケティング戦略としてMBTIと組み合わせた広告や商品を出したりしている企業は現状ほとんど見かけません。このようなユニークな組み合わせは日本でも話題を呼ぶのではないかなと思います。