「五一」労働節大型連休中、無形文化遺産展が人気急上昇
最近、人民網で「五一連休(五月一日からの大型連休を指す)期間における無形文化遺産(非遺)関連の展示会が注目されている」という記事を目にしました。専門家によると、旅行は単なる観光地巡りではなく、今や歴史文化、技術・芸術などといった全面的な体験へと変化しており、無形文化遺産の伝承において、文化観光との融合はこれまで以上に重視されているということです。
実は、ずいぶん前から一部の高級ブランドは中国のさまざまな無形文化遺産とのつながりを築いているのです。例えば、2021年初にFerragamoは世界中から選ばれた若手アーティストを招待し、地域の伝統文化要素を独自の現代的手法で解釈するコラボレーションを展開しました。上海で開催されたイベントでは、Ferragamoは国家級無形文化遺産「灯彩」の伝承者である黄宏宇大師とコラボし、Gancini要素を巧みにランタン製作に取り入れました。
無形文化遺産「非遺」は非常にニッチで、自分にはほど遠い文化領域だと思っていました。その多くは都市部から遠く離れた地域にあり、私自身も「非遺」や高級ブランドのターゲット層ではありませんでした。しかし、最近では無形文化遺産が没入型体験やデジタル技術を用いたアート展などの形で一般市民に広がりつつあることを実感しています。
実際、20世紀末から21世紀初頭にかけて、中国は無形文化遺産を重視し始めていたのです。たくさんの法律や規則がありますが、例えば以下の二つは大きいです。
2003年:中国は国連教育科学文化機関(UNESCO)の「無形文化遺産の保護に関する条約(Convention for the Safeguarding of the Intangible Cultural Heritage)」に加盟し、国際的なレベルで無形文化遺産を保護することに対してコミットメントを示しました。
2011年:中国は「中華人民共和国無形文化遺産法」を制定し、これは中国の無形文化遺産の保護における重要なマイルストーンとなりました。この法律は非無形文化遺産の保護、伝承、管理のための法的基盤となっています。
現在では、中国政府は無形文化遺産の保護と普及を持続的に推進し、立法、資金支援、教育普及、国際協力など様々な形で、人々の無形文化遺産の価値に対する認識力を高め、社会各層の参加を奨励しています。
今年の五一連休中には、上海、広州、江西の景徳鎮で無形文化遺産展示会が同時に開催されました。以下簡単にご紹介したいと思います。
上海:一梦华胥(華胥の夢)——中国皮影光影芸術展
これは伝統的な影絵芸術と現代のマルチメディア技術を組み合わせた没入型展示会です。中国の影絵劇を基にしており、演劇、音楽、美術など多くの芸術手法を組み合わせた伝統的な表現形式で展示されており、ユネスコの無形文化遺産にも認定されています。
インスピレーションは「黄帝梦游华胥国(黄帝が夢見た華胥王国への旅)」という神話伝説から得ており、理想の境界への追求を象徴しています。デジタル技術による再創作を通じて、伝統的な影絵芸術を没入型光影体験に変換し、観客は影絵によって構成された夢の国を体験することができます。
この展示会は、中国伝統文化のイノベーションのアピールだけでなく、無形文化遺産の保護と伝承における積極的な探求でもあります。現代技術を用いて伝統芸術に新たな息吹を吹き込んだと同時に、観客に独特の文化体験を提供しています。
広州:白鵝潭大湾区芸術センター無形文化遺産館
広州では五一連休中に「白鵝潭大湾区芸術センター無形文化遺産館」がオープンしました。この展示館はジャンルの境界線を破り、嶺南(広東省全域、広西チワン族自治区、海南省を含む)文化の空間に無形文化遺産を再現しました。静的展示、動的展示、無形文化遺産の伝承者を招待してリアルなパフォーマンスや現場でのインタラクティブな教育など統合的な取り組みを通して、「人を見る、実物を見る、生活を見る」という無形文化遺産の理念を十分にアピールしています。
景德镇:古窯民俗博覧区
江西景徳鎮では5月1日、古窯民俗博覧区において「窯神童宾祭祀」大型没入型情景劇の台本をもとに、無形文化遺産の窯の神様である童宾※の祭祀儀式が行われました。文化博物館の研究員である景徳鎮古窯文化研究院の院長、無形文化遺産の伝承者はゲストと共に聖火台に点火し、観光客は現場で薪を継ぎ足しました。。このほかにも、観光地では専門家や無形文化遺産の伝承者を現場に招き、観光客にインタラクティブな体験を提供していました。
※童宾とは、明代の万暦年間に活躍した窯業の職人で、皇帝用の青花大龍壺を焼くために身を捧げました。それ故に民間では窯の神様として崇められるようになりました。
2024年4月、国家発展改革委員会は六つの部門と連携して新たに改訂された「文化保護伝承利用工程実施方案」を発表し、デジタル技術を活用して優れた伝統文化の保護とアクティブな伝承を促進することを提案しました。現在、各地における一連のイノベーションを経て、デジタル技術と個性的なデザイン等モデルを通して、多様な主体が無形文化遺産文化伝播のエコシステムの構築に取り組んでいます。観光者一人ひとりは無形文化遺産技能の伝承者や生産者であると同時に消費者でもあるのです。今後、このような無形文化遺産関連商品やグッズ、体験サービスがますます増えていくと予測されます。