好機とコントロール力が共存、小米(Xiaomi)はどんな流量運用術で売上向上を実現したのか
現代社会では、流量は成功への近道として、エンターテインメント業界だけでなく、社会のあらゆる分野で活用されています。中国にも流量の大物と呼ばれる人物がいます、小米(Xiaomi)グループのCEO雷軍氏です。
小米は2010年に設立された中国のテクノロジー企業で、スマートフォンや消費電子製品など知名度が高いです。3年前に自動車市場に参入した小米は、わずか3年で初の新エネルギー電気自動車「小米SU7」を発表し、流量マーケティングを通じて新エネルギー車の発表会で受注台数の記録を更新しました。小米がどのように流量を活用して売上向上を実現したのか、そのストーリーをご紹介していきます。
価格を秘密にし、世論形成を図った
2023年秋、雷軍は約3時間にわたって小米SU7の初の新製品発表会を開催しました。この発表会でポルシェに匹敵する外観と性能を持つ高級電気自動車のスポーツカーが紹介されました。車両の構成や性能について詳細に説明されましたが、価格は公表されませんでした。その後、この策略は幅広い議論を引き起こし、製品自体を超えたホットな話題となりました。
不確定要素を増やし、流量に刺激を与える
人々は小米の新モデル車に対してコスパの良い価格設定を期待していましたが、雷軍はインタビューで価格が9.9万元又は14.9万元を下回ることはないとほのめかし、小米の車の性能はテスラのモデルSに匹敵すると話していました。市場では同クラスの車が40万元※1を超えるものもあるため、ネット上で大きな反響を呼び起こし、特に価格が高くなる可能性に対する懸念が浮上しました。競合他社の高価格帯モデルが存在しているにもかかわらず、小米のコストパフォーマンスイメージは、人々により低い価格への期待を持たせました。また、一部のブロガーはこの話題に乗っかりパロディやクリエイティブ作品を投稿するなど、注目を集めようとしました。
※1 データソース: https://www.sohu.com/a/763685196_790382
TikTok、Bilibili等のプラットフォームで拡散された小米SU7に関する面白いコンンテンツは車愛好者だけでなく、一般市民の関心も引き、製品の知名度が著しく向上しました。これは雷軍チームが意図的に行ったマーケティング戦略であったと考えられます。
突発的なリスクが発生するも、動じずに冷静に対処
2024年、年明け早々に競合のBYDが価格戦争を仕掛けました。主力モデル「秦」の価格を大幅に引き下げた※2のです。この動きにより、他の自動車メーカーもパニックに陥り価格を引き下げました。このような状況に直面した小米は慌てず焦らず、SU7の価格を公表せず、事態の進展を見守ることにしました。その結果、SU7に関する議論はさらに激化し、わずか数か月で小米SU7への3度目の関心が爆発的な高まりを見せ、流量も他の自動車メーカーを遥かに上回りました。
※2 情報参照: https://36kr.com/p/2656478833851524
鉄は熱いうちに打て!オンライン流量を活用してオフライン流量を増やす
オンライン流量が急増する中、大規模な試乗キャンペーンを始めました。試乗車を多数準備したにもかかわらず、小米SU7の高い知名度から試乗希望者が多く、店舗前には長蛇の列ができており、1台の車に複数のお客さんが同時に試乗する事態も発生しました。これが再びニュースとなり、オフラインでの知名度も上がり、普段あまり車に関心がない人まで小米SU7のことを尋ねてくるなど、驚きが絶えません。
小米は流量と知名度を向上させたと同時に、高級感のあるイメージを浸透させながら製品をアピールし続けていました。そして遂に、小米は価格設定に必須な条件をすべて整え、あとは最後の一手、価格発表の時がやってきました。
価格発表!大きなサプライズで売上激増!
小米SU7の価格は21.59万元からと発表されました。雷軍は3か月にわたる価格議論とテスラ等の基準を参考にした結果、敬意を示すために3万元の値下げを決定しました。この驚きの価格設定は、人々の不安を一気に和らげ、強い購買意欲を喚起しました。小米SU7発売開始後、24時間以内の注文数は88898台に達し、当時販売台数ランキング1位※3だった華為M9の4万台を上回り、中国国内の自動車業界で最も人気が高い車種となりました。
※3 情報参照 https://www.dongchedi.com/article/7336881769259582006
総じて言えば、小米は話題作り、世論の導き、リスク管理、そして多様なチャネルを利用する策略など、流量の活用を通して製品の売上向上を実現しました。この事例が販売につながるヒントとなり、流量を活用することも選択肢の一つになればと願っています。この記事がご参考になれば幸いです。