2024.05.28

6月1日こどもの日の限定商品は大人がターゲット?

6月1日の子供の日(六一儿童节)向けに、中国のマクドナルドやKFCが毎年限定商品を発売し、大きな話題を呼んでいます。今年も例外ではなく多くの注目を集めました。

今年はマクドナルドが「麦麦对讲机(マックマックトランシーバー)」を限定販売しました。この玩具はフライドポテトとチキンナゲットの形をしており、300メートル以内で通話が可能です。セットメニューに追加で38元を支払うことで手に入れることができます。

一方、KFCはポケモンとコラボし、5種類のポケモン玩具を販売しました。

公式APP/Weiboからの引用

SNS上でも「マクドナルド VS KFC」「六一玩具PK(対決)」などまとめ記事もたくさん投稿されており、毎年注目度が高い話題になっています。今年は人気すぎて発売時マクドナルドのアプリが一時つながらなくなる事態にまでなりました。

六一の飲食玩具セットのまとめや、KFCとマクドナルドの比較などの記事
RED からの引用

毎年注目するようになったきっかけ

マクドナルドとKFCの六一プロモーションは毎年恒例だと思っていますが、このように感じるきっかけとなったのは、2022年のKFC×ポケモンコラボの「コダック」の大流行です。それ以前にもコラボや六一限定商品はありましたが、この商品は子供だけでなく多くの大人も惹きつけ、SNS上では90後(1990年以降生まれ)のユーザーによる大喜利に近い遊び方をした動画投稿で溢れかえりました。その熱狂ぶりにより転売価格も驚異的なものとなり、多くの人がKFCの六一コラボを知る大きな要因の一つになったと感じています。

2022年KFCのポケモンコラボ玩具で遊ぶ投稿例。
右手に「努力したくない」、左手に「お金持ちの女性どこにいるの」という付箋が貼られている。
RED からの引用

今年のマクドナルドの玩具「麦麦对讲机」も大変人気で、元々38元で販売されましたが、現在オンラインでは50元から高いものでは100元超えで取引されています。KFCの玩具も同様にセットで250元以上で売られています。

2024年マクドナルドとKFCの玩具の転売状況。
淘宝と闲鱼からの引用

マクドナルドとKFCの六一プロモーション、主なターゲットは実は大人?

六一プロモーションで転売が話題になるのは主にマクドナルドとKFCであり、その他のブランドはそれほど大きなニュースになりません。もちろん不満の声等が上がっていますが、本来なら「子供向けの商品なのに子供が買えてない!」と炎上してもおかしくない事態だと思うのですが、そこまで大きな炎上が起きていないところを見ると実はメインで欲しがっている層は大人なのではないか?と感じます。他にもそう思うポイントは4つあります。

1.コラボIP(知的財産)が今の大人が子供のころに親しんだIP

現在の子供向けIPといえばペッパピッグなどが人気そうですが、(上海はペッパピッグのテーマパークができる予定なくらい人気です)マクドナルドとKFCはそういった子供向けIPとのコラボはメインでは行っていません。コラボするのは大人が欲しがるIP、今の大人が子供のころに親しんだポケモンやサンリオなどが多いようです。SNS投稿でも懐かしいなどの声も多いです。

2.商品のサイズ感

子供には少し大きい玩具のデザインになっています。例えば今年のマクドナルドのトランシーバーは大人の手でちょうどいいサイズ、2022年の中国探月とコラボしたヘルメットも大人サイズ、今年のKFCのポケモンコラボのゲーム機も子供用というより大人が両手で持つのにちょうどいいサイズです。

(左)2022年マクドナルドと中国探月のコラボヘルメット。
(右)2024年KFCとポケモンのコラボゲーム機。
RED からの引用

3.SNSで発信したくなる遊び方の豊富さ

自分で面白い遊び方を見つけて発信できるような、余白のある玩具に設計されています。例えば先ほど挙げた2022年のKFCコラボではコダックに付箋を貼り付けて究極の二者択一や大喜利で遊ぶ投稿が大流行し、2024年のマクドナルドのトランシーバーも遠隔スピーカーとして使ったり、たくさんの遊び方がSNSで飛び交っています。このように消費者が自発的にSNSで発信するUGC(ユーザー生成コンテンツ)が自然と生まれるような設計になっています。

4.入手困難で高騰している転売価格

そもそも、入手困難な商品で即完売してしまうため、実際に店頭で目にする機会が少ないことから、子供が親にねだるシチュエーションは少ないのではないかと推察されます。そのため、実際に手にしているのは、転売で購入するだけの財力を持つ大人たちなのではないかと考えられます。

マクドナルドとKFCの六一プロモーションが実際に大人をメインターゲットにしているかは明らかではないものの、子供だけでなく大人も巻き込んで熱狂を引き起こしている現状から、間違いなく六一プロモーションを成功させていると言えるでしょう。私も例外ではなく、年々「今年の六一はどんな玩具が出るのかな?」とニュースを期待するようになってしまいました。

最後に、マクドナルドのペット用ハッピーセットをご紹介します。毎年この時期になるとペット用ハッピーセットも発売され、こちらも即完売の人気ぶりです。本当にかわいくて去年はオフィス猫SORAちゃんの為に私も参戦しましたが惨敗でした。「こどもの日だから」とは公式で名言していませんが、時期的に六一に合わせてプロモーションしていることは明確です。暗にペットも家族という意味合いに取れてとてもよいと思います。(勝手に意味づけしてるだけだったらすみません。笑)

2024年ペット用ハッピーセット。ペットがクルーになれるグッズ。
公式Weibo からの引用

このように両社のプロモーションが上手で、日本にいるときはマクドナルドやKFCを数年に1回食べるかどうかという頻度でしたが、今では季節に1回くらいの頻度まで挙がってしまいました。太る一方です。。。