2024.06.12

粽子は年々進化している、2024年プロモーションピックアップ

端午節が過ぎたばかりです。毎年この時期になると、ソーシャルプラットフォームで熱い議論が巻き起こります。「しょっぱい粽ってどうやって食べるの?」と疑問に思う甘党と、「甘い粽って何だ?」と驚く「塩党」がいます。このように、人々の食習慣に大きな違いがあることが一目瞭然ですね。

左: 中央テレビ局が実施した「ちまきの味」アンケートに7万人以上のユーザーが回答
(出典:WEIBO)
右:SNS上も「甘塩ちまき議論」の投稿はインタラクティブで多くのいいねを集めた
(出典:RED)

生粋の上海人として、甘い粽を受け入れつつ、子どもの頃から塩粽をよく食べていたため、やはり塩粽のほうが美味しいなと感じています。全く異なる味の粽を受け入れられないコメントに対して、一体何がこのような違いを生んだのか非常に興味を持ったので、もう少し深く掘り下げてみようと思います。

粽(ちまき)の由来

中国では、ちまきの起源は春秋時代(紀元前770~476年)にさかのぼります。祖先や神々へのお供え物として古代の祭祀、儀式で用いられました。晋の時代(266~420年)になると、ちまきは端午節の伝統的な食べ物となりました。今日に至るまで、民間伝承では端午節にちまきを食べるのは、愛国詩人であった屈原を追悼するためだとされていますが、実は、この説には確かな歴史的証拠がないのです。一般的に、ちまきは古代中国社会の祭祀文化、祝祭、習慣、そして飲食文化の発展と変遷に由来しています。

なぜ中国の北部は甘いちまき、南部では塩ちまきが食べられているのか?

南北での甘塩ちまきの味の違いは、飲食習慣、産物不足、地理的環境、文化・習慣、そして祭りの特殊性など、多くの要因の相互作用によるものです。これらの要因が互いに絡み合い、南北のちまきの味の好みに違いが生じたのです。

1. 食習慣

北部の人々は通常、麺類を主食としており、ちまきをデザートとして食べることが多いため、甘い味を好む傾向があります。一方で、南部の人々は主食が米であり、ちまきを主食の一部として食べることが多いため、塩味のちまきを好む傾向があります。

2. 産物不足

北部地域はナツメ等の乾燥果実が豊富であり、これらの甘い食材はちまきの具としてよく使用されていますが、南部地域では塩漬けの食品や腊肉(ラーロウ)が多く、東南沿岸地域は豊かな海産物に恵まれているため、塩味の食材がちまきに使われています。

3. 地理環境と気候

北部の乾燥した気候条件は食物の保存に適しているため、北部の人々がちまきをつくる際、保存が容易な甘味の具材、特にナツメや豆沙(あんこ)を選びます。一方で、南部の湿潤な気候ではより適切な保存方法が必要であり、肉などを含む塩味のちまきは長持ちしますので南部の気候に適しています。

4. 文化・習慣

南部のちまきはさまざまな形状があり具材も豊富です、これは南部の飲食文化の精緻さと多様性を反映しています。一方で、北部のちまきは比較的シンプルなものが多く、北部の飲食文化の粗末さと実用性を重視していることを示しています。

5. 祭りの特殊性

端午節は伝統的な祭りであり、南北での祝い方には違いがあります。北部の人々は祭りのセレモニー感を重視するため、祭りの特別な食品として甘いちまきを選ぶことが多いのに対して、南部の人々は祭りの食事を楽しむことを重視しており、塩味のちまきが味のニーズを満たしているようです。

味の違いはあるものの、南北に共通した習慣もあります。端午節には南北問わず、家族が集まって一緒にちまきをつくります。これは伝統的な祭りを祝うだけでなく、家族団欒を楽しみ、絆を深めるひとときでもあります。また、祝福や気持ちを伝えるための贈り物として、ちまきを友人や親戚に贈ることもあります。

2024年の端午節の限定商品から三つをピックアップして、皆さんと共有したいと思います。

1、bilibili(中国の有名な動画弾幕サイト)

左側は紙製のフォトフレーム
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html
黄色い容器は聚寶盆の様子
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html
ちまき型ストラップ
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html

bilibiliの限定商品には、聚寶盆(中が空洞の入れ物、もともとは道教の神様である財神の寶具)の形をしたアロマディフューザー、2つのちまき型ストラップ、紙製のフォトフレームが含まれています。味覚、嗅覚、視覚が一体となった祝祭の雰囲気を伝えています。

2、李子柒(中国の有名なグルメ短編動画クリエイター)

龍は限定商品のの箱から作られる。
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html

李子柒の限定商品は中国の龍からインスピレーションを受けており、ボックスを用いて、一匹の龍を組み立てることができます。パズルも同梱されており手先の器用さを十分に鍛えることができます。さらに美味しいちまき、グリーン系の香り袋、龍騰東方(東方の龍が台頭しているという意味。力と繁栄の象徴)と文字の入った扇子、さらに大凧も入っており、楽しさ満点で、中国風の要素が満載です。

3、米哈游(「原神」ゲームの制作・発行会社)

出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html
出典:https://www.digitaling.com/articles/1218055.html

米哈游の今年の端午の限定商品は非常に大きく、20インチのスーツケースにぴったり収まるほどです。中にはラゲッジタグ、バッジのブラインドパック、身分証明書のプライバシーカードホルダーのブラインドパックが入っており、さらに3つの独立した収納袋にそれぞれちまきが1つずつ入っています。大きいため、持ち歩く勇気を感じさせる内容です。

毎年端午節になると、各企業が限定商品をだします。上記の例は私が個人的に好きな3つです。全体的に見て2024年の端午節限定商品は、伝統文化の特色を保ちながらブランドの個性と主張を伝えることを目指していると感じています。私は食べていないので甘いかどうかわからないので、機会があれば食べて調べてみてくださいね。