私はオンラインで電子小豚を育てています(前編)
みなさん、こんにちは!Evelynです。今回も私の日常エピソードをシェアしたいと思います。
みなさん、電子小豚をご存知でしょうか。初めて聞かれた方は、たまごっちのような可愛らしい電子ペットを想像されるかもしれませんね。
私は子供の頃からペットを飼ったことがないので、これは人生初の「ペット飼育」経験ということになります。では、なぜこの「電子小豚」がこれほどまでに私を惹きつけ、成長を見守るようになったのか、その魅力についてお話ししたいと思います。
電子小豚とは何か
最初に電子小豚に出会ったのは、なんといっても万能なビッグデータのおかげです。私は朝空腹の状態で有酸素運動をするのが好きで、特にパメラ※1のトレーニングをしながら食べる配信動画をよく見たりしています。すると、ビッグデータはそんな私にちょうどよいタイミングで「電子小豚」の動画を推薦してきたのです。
※1パメラ・ライフ:ドイツの人気フィットネスインフルエンサー
そう、電子小豚は各種動画配信サイトの「食べる配信動画」から生まれたのです。
近年、ネット上ではさまざまな「食べる配信動画」が話題になっています。普通のグルメ動画以外にも、大食い動画や、奇妙な形状をした食べ物を食べる動画、氷などを食べて独特な咀嚼音を出すASMR動画など、細分化されています。中でも、体重100kg以上の大柄な人が大量の食べ物を次々に頬張る動画が人気です。
不思議なことに、これらの動画には「ダイエット」や「自律」などといったタイトルが付けられており、その滑稽なギャップや矛盾がかえってダイエットや自律を求める視聴者に好奇心を抱かせ、思わず動画を見てしまいたくなるのです。
この類の動画の配信者のほとんどが大柄な体型で、過度な肥満により顔に脂肪がつき、食べているときの顔や表情がひどく歪んでおり、とても美しいとは言えません。口いっぱいに食べ物を詰め込み、食べ物や油などが口の端からこぼれ、不快な音を立てて咀嚼するなど、視聴者に不快感を与えるシーンばかりです。彼らが食べているのは量が多い上に脂っこく、見た目も悪い食べ物がほとんどで、決して伝統的な意味での美食とは言えません。このような動画を見ていると、普通のグルメ動画のように「おいしそう」と感じるどころか、むしろ食べ物に対して嫌悪感を覚えるくらいです。その結果、食欲を抑制する効果をもたらすと言われています。
動画のコメント欄には、ただ本能に従って大量に食べ、食事を楽しんでいる様子がまったく見られない配信者たちに対して批判が集まっており、「まるで豚が餌を食べているのを見ているようで、全く食欲がわかない」という感想が多く寄せられています。こうして、食べる動画の配信者たちはネットユーザーに「電子小豚」と呼ばれ、これらの動画を視聴する行為を「オンラインで電子小豚を育てる」と呼ばれるようになりました。
しかし、最近では、電子小豚を「育てる」ことがフィットネスやダイエットにつながり、多くの人々の新たな趣味になってきています。
なぜ「電子小豚依存症」になってしまうのか?
電子小豚の食べる配信動画には、ある種の魔力があります。それは、美味しい食事を楽しむ快感を与えるのではなく、むしろ食べることへの嫌悪感を引き起こすものなのです。これはまさにフィットネスやダイエットをしている人々にとって、食欲を抑えたいというニーズにぴったり合致しているのです。
ダイエットをする上で最大の敵は食欲です。「少食・多動」によってカロリーを消費することがダイエットの基本ですが、「少食」ができなければ、いくら運動をしても効果は出ません。最近、ネット上では食欲を「豚欲」と呼び、流行っています。この「豚欲」を抑えるために、ダイエットをする人々はさまざまな手段を使っています。例えば、低カロリーで満腹感のある食品を食べて脳を騙したり、食欲抑制サプリを購入したりしています。そして、電子小豚を育てることも、食欲を抑えるための新しい方法の一つとなっています。あるネットユーザーは、この類の動画は自分の「サイバー版セマグルチド※2」だと冗談めかして言っています。
※2セマグルチドとは、もともと2型糖尿病患者の治療薬ですが、食欲抑制効果から「ダイエットの神薬」として話題になっています。
このような特殊なニーズが生まれた背景には、近年、健康への関心が高まっていることに加えて、ネット上で広がっている「色白で若くて痩せている」ことが美しいという美的感覚、外見やスタイルへの不安が影響しているようです。
調査によれば、REDでは「ダイエット」に関連する話題の閲覧数が100億回を超えており、TikTokでは「ダイエットと運動」の一日の検索数指数が1800万回を突破しました。現代人が外見やスタイルを追求していることを示しています。
また、中国では男性の肥満率が高く、女性のほぼ倍あるにもかかわらず、女性の方が「美」を追求する傾向が強いのです。現代の主流である美的感覚として、「痩せているほど美しい」という認識がほぼ常識となっており、その進化版ともいえる「色白で若くて痩せている」という美的基準が多くの若者に浸透しています。このような美を追求するために、肥満ではない多くの若者までが「まだ不十分だ、もっと痩せないと」と感じ、無理な食事制限を行うなど、少しでも主流である美的基準に近づこうとしているのです。
そのため、外見に対して不安を抱えている人たちは、明らかに肥満で食欲をコントロールできない人々を無意識のうちに見下している傾向があります。電子小豚の動画のコメント欄には「まだ150kgに到達してないの?停滞期※3に入ったの?」や「もうすぐお正月だし、150kgになったら出荷※4できるね」、「食べる音がうるさいなぁ、圧力鍋に入れたら静かになるよ」など、笑えるコメントが多くありました。これらのコメントは一見ユーモアで笑いを誘いますが、実際、コメントした人たちは「痩せている」=「美しい」「自律している」と認識しているため、「自己管理ができない」「醜い」と見なした人たちを揶揄し、批判する権利があると感じているようです。
※3停滞期:ダイエットを続けていると、ある時点で体重が減らなくなる、もしくは減少速度が大幅に遅くなることを「停滞期」と言います。
※4出荷:中国の伝統ではお正月用に豚を殺す風習があり、太った豚は年末に出荷されることになっています。
このような美的感覚が病的かどうかはさておき、社会的な流行の影響を受けて電子小豚の動画は日々増加しつつあることは確かです。脂っこくて不快な食べ物を、食べる本能に支配されるままに、動物のようにひたすら食べ続けている電子小豚の姿を見ていると、まるで誰かが耳元で「今、夜食を食べたら、あなたもこんな風になっちゃうよ」とささやいているかのように感じます。このような強烈なビジュアル「警告」が、この類の動画を何度も繰り返し見続けるきっかけとなり、ダイエットや体型維持へのモチベーションを保たせてくれるのです。
さらに、電子小豚が動画の中で日々「成長」する姿は、自分自身が「自律」を保てているという証拠にもなり、それが「電子小豚依存症」になった原因なのかもしれません。
では、ネット上で次々と「出荷」される電子小豚たちは一体どのようにしてここまで大規模な成長を成し遂げたのでしょうか?そして、そのビジネスモデルはどのような「富の秘密」を握っているのか、今回は長くなったので、ここまでとなりますが、もっと知りたい方は、次回のブログもぜひご覧ください!次回は電子小豚の背後にある産業チェーンついてさらに深掘りしていきます。私の推しである電子小豚も合わせてご紹介しますので、新しい世界への扉を一緒に開けましょう。