空港にも「◯つ星」ランクがあるって本当？

世界の5つ星空港が提供する「ホテル並みサービス」の秘密の迫ります

出張で上海虹橋空港を通りかかったときのことですが、「2024年、上海虹橋空港が5つ星空港に認定された」というニュースが送られてきました。「えっ、空港にもホテルみたいな星のランクがあったの？」と不思議に思い、調べてみることにしました。
すると、2000年から「SKYTRAX」という国際的な評価機関が世界中の空港を評価していることがわかりました。SKYTRAXは空港や航空会社に対して、サービス、設備、清潔さ、効率性、利用者体験などを総合的に評価する独自の星評価システムを持っています。評価結果は毎年公開され、SKYTRAX公式サイトで確認できます。

では、まず最新の2025年ランキングを見てみましょう。トップ10のうち、6つがアジアの空港です。特にシンガポールのチャンギ空港は2000年以来、13回も世界１位を獲得しています。その凄さの秘密は何でしょうか？

2025年 世界の空港ランキング TOP10

1. シンガポール・チャンギ空港
2. ドーハ・ハマド国際空港
3. 東京・羽田空港
4. ソウル・仁川国際空港
5. 東京・成田空港
6. 香港国際空港
7. パリ・シャルル・ド・ゴール空港
8. ローマ・フィウミチーノ空港
9. ミュンヘン空港
10. チューリッヒ空港

出典：https://www.worldairportawards.com/

13年連続で「世界のベスト空港」の座を維持しているチャンギ空港は、究極の空港デザインによって人々がもっと滞在したくなる空間を実現していました。これはまさにインタラクティブなデザインやリアルな場での体験づくりの本質を体現していると言えます。

機能 × 情緒 ＝ 忘れられない体験

・ 高さ40mの屋内の滝：視覚的なランドマークであると同時に、雨水を再利用して自然冷却を行うシステムを導入するなど、サステナブルな美しさを実現。

・ 2,000本の本物の樹木が生い茂る：自然の癒し効果を空港に取り入れ、出発前の待ち時間をゆったり過ごせる空間を提供。

・ ひまわり園内にある喫煙所：健康リスクとみなされがちな空間を社交スポットに変身させたユニークな発想とデザイン。

無料体験で、時間を忘れさせる

映画館からカクテル試飲まで、チャンギ空港は体験型サービスの大切さを熟知しています。

１、エンタメ施設を活用し、待ち時間の不安や退屈を感じさせない。
２、ユニークなシーン設計でシェア欲求を刺激し、SNSなどでの効果的な拡散を実現。
３、楽しい体験が消費意欲を自然と高めてくれる。

一連のサービスを通じて、チャンギ空港は空港を「目的地」へと変貌させ、単なる「通過点」を、記憶に残る場所、すなわち「アンカーポイント」に進化させています。この発想は商業施設やポップアップストアにも応用されており、「時間を忘れさせる」設計こそが最高の体験を生み出すデザインの本質なのかもしれません。

上海虹橋空港｜中国の5つ星空港、華麗なる逆転

2024年、上海虹橋空港はSKYTRAXによって「5つ星空港」に認定されました。まだ世界トップ10には届きませんが、実際に利用してみて「これからもっと伸びそうだな」とさらなる飛躍を感じさせてくれる空港です。今回の受賞の背景には、以下の3つのポイントがあると考えられます。

顔認証による搭乗手続き：まるでファーストクラスのようなスピード感でスムーズに搭乗手続きができます。

空と陸をつなぐインフラ整備：地下鉄やオフィスビル、ターミナルがシームレスに繋がっているのでとても便利です（2025年完成予定）。

屋上のソーラー発電システム：世界的な環境保護トレンドにマッチしており、見た目もスタイリッシュで近未来感があります。

私自身、出張で頻繁に空港を利用する常連客として、虹橋空港を利用するたびにちょっとした感動を覚えます。まず案内表示が分かりやすく、搭乗ゲートも簡単に見つけられます。初めての旅行者でも迷うことなく目的地に辿り着けるでしょう。セルフチェックインから保安検査までの流れはとてもスムーズです。特に顔認証による搭乗手続きはスピーディーでとても便利です。また空港内の飲食店には、老舗から若者に人気のトレンド店まで、幅広く揃っています。ショッピングエリアと休憩スペースの配置もバランスが良く、待ち時間もストレスになりません。

何より素晴らしいのは、ターミナル全体が常に清潔で、慌ただしく歩いているときでも、どこか落ち着きと快適さを感じられます。このような「ちょうどいい」サービスこそが、５つ星空港にふさわしい姿なのかもしれません。

上海虹橋空港は国内線が中心の空港ではありますが、チャンギやドーハといった世界トップクラスの国際空港と肩を並べる水準に達しつつあり、本当に素晴らしいと感じました。

つまり、空港の競争力はもはや広さでも豪華さでもなく、「どれだけ滞在したくなる場所であるか」が鍵になっています。チャンギ空港の「バタフライガーデン」では、忙しい都会生活をしている人々が自然と触れ合える空間を提供しており、ミュンヘン空港では地域文化を体験できるように、地元の特産市をターミナル内に設置しています。こうした細やかな工夫からわかるように、良い空港に求められるのは効率性だけでなく、快適さや楽しさ、そして、思わず長居したくなるような空間であることなのです。

今度空港を利用する際、少し早めに行ってみるのもいいかもしれません。「空港って、こんなに楽しい場所だったんだ！」と思えるような、新たな発見があるかもしれません。