2019.08.21

二百一番目の玉子焼の生きざま

アメリカの監督デヴィッド・ゲルブは「Jiro Dreams of Sushi」というドキュメンタリーを撮影しました。日本で55年間以上寿司職人をしている小野二郎さんが70歳になっても変わらない寿司に対する想いを記録したのもです。

「Jiro Dreams of Sushi」の画面

ドキュメンタリーの中にこういったストーリーがありました。

小野二郎さんの見習いとして店に来た弟子は、最初に手でタオルを絞ることを学びます。そのタオルが熱すぎて、始めは手をやけどするほどです。まずタオル絞りを学ばないと魚に触れることはできません。その次に、包丁使い方や魚を料理することを学ぶことになります。

10年後、弟子はようやく玉子焼を焼くことが許されます。10年間の基本的なトレーニングを通して、ようやく玉子焼を作る資格を得ても、弟子はやはり先生のレベルに達成することはできません。弟子は更に4ヶ月かけて、200回もの失敗を重ね、やっと最初の合格品を作りました。

小野二郎さんは「これが職人のあるべき姿だ」と言いっていました。ついに、職人になることを認められ、弟子はうれしくて泣きました。

ミクロ感覚を体に浸み込ませてやっと得られるもの

もし私だったら、200個の玉子焼のどこがダメで不合格なのか話せません。200個の失敗物と唯一合格品の微妙な違いも分かりません。

小野二郎さんは正確に判断できるーーミクロ感覚が身についているため
なぜ10年かかってタオル握り、包丁使い、魚料理を学ぶのか――精細なミクロ感覚を養うため
ダ・ヴィンチはなぜ卵を描くことを練習するのかーー精細な観察能力と感覚を育てるため

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先月書いた記事――『エンドウ一粒とホモ・デウス』中の「敏感度」ということと「ミクロ感覚」は、実は同じ意味だと思います。普通の人から見れば、卵は全て同じなのですが、すごい画家になるためには、常に練習し、他の人が気づかないようなところまで観察をしなくてはいけません。

天才になるまでの一万時間は、ほとんどがミクロ感覚を立てる過程で、自分の体にリアルな感覚を浸み込ませることで、一瞬で良いか悪いかを判断できます。

細かい動作一つ一つの積み重ねがあなたの生きざまになる

馬化騰(QQの父)さんと張小龍(WeChatの父)さんは両方とも内向的な性格です。しかもSNS障害者に属し、孤独と弱さを経験したことがあります。彼らは見知らぬ人とつながることを訴求し、見知らぬ人とのコミュニケーションの微妙さとプレッシャーポイントについて非常に理解があります。

なので、テンセントは最初からQQとWeChatの表情包(スタンプ)を工夫してきました。今までのWeChatはスタンプがないとほとんどチャットできない状態でした。なぜそんなにスタンプに依存するのでしょうか?それは、なかなか适当な言葉が見つからないからです。スタンプは言葉で伝えることが苦手なオタクに重宝され、気軽に自分の考え方、感覚、感情を伝えるツールになっています。

馬雲(アリババ董事長)さんと雷軍(小米CEO)さんがプロデュースしたチャットツールではスタンプにあまり工夫がされていません。なぜなら、彼らは言葉で伝えることができ、こういった問題にぶつかった事がないからです。

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別の例では、DingTalk(アリババのチャットツール)と米聊(小米のチャットツール)があります。これらのツールはメッセージを送信した後、「送信済」や「既読」が表示されます。

この機能はWeChatにはありません。テンセントの役員はこの機能に関して何日も討論した結果、ユーザに強いストレスをかけないために機能追加をやめました。馬化騰さんはユーザのストレスポイントと訴求ポイントについて非常に強い認識を持ってます。

馬雲さんと雷軍さんは、相手にストレスをかけることをそれほど気にしていません。

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ミクロ感覚をどうやって習得するか

実は神様は公平で、人にそれぞれ違うミクロ感覚を与え、それは隠れた才能とも呼ばれます。楽しくできることでミクロ感覚を育てるべきだと思います。

ある人はサッカー好きで、サッカーは彼のベストなミクロ世界です。ある人は毎日八時間ずっとお茶を飲んでも飽きません。ある人は料理に熱中します。好きなことを見つけて、練習を続けて、しっかりミクロ感覚を育てて、この分野の達人になることができるのです。

優秀な人は敏感、忍耐力がない、最適化能力があるといった特徴があります。

ジョブズさんは100回以上修正を繰り返し1本のアイコンを作ったことがあります。彼のこだわりはエンジニアを狂わせるほどで、彼の理想の形になるまで調整するのです。

稲盛和夫さんは「働き方」という本の中で、彼が「機械の泣き声が聞こえる」と言っていました。

私の母(おとめ座)は非常に優秀な専業主婦で、私の部屋に入ったらすぐ「どうしてこんなに散らかっているのか」と言います。――母はとても敏感です。そして、我慢できずすぐに片付けます。二、三時間後、部屋がきれいになり、洗った果物もテーブルに置きます。母の部屋を片付けたくなる衝動は、ジョブズさんが100回もアイコンを修正する原動力と実は変わらないと思います。

次の記事は「中観トリック」という話をしようと思います。武俠小説中の「葵花宝典(きかほうてん)」、「六脉神剣」、「九陰真経」のようなカンフー攻略について書くのでご期待ください!

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To be continue…

----Memo.K