2019.08.26

アリババパーク見学記

 こんにちは、balconia Shanghaiのpuppyです。

 まず初めに質問を一つしたいと思います。淘宝(タオバオ)、天猫(テンネコ)、支付宝(アリペイ)、飛猪旅行(Fliggy Trip)、猫眼電影(Maoyan Movie)、餓了麼(Ele.me)、菜鳥物流(ツァイニャオ物流)、阿里云(アリクラウド)、盒馬鲜生(Hema Fresh),以上のブランドの共通点は何でしょうか?

 中国市場に興味を持っている皆様はすぐ気づくと思いますが、これらのブランドは全部アリババ傘下の会社です。

 アリババ社は1999年9月10日に設立し、創立からまだ20年経っていなかった2018年の商品流通総額(GMV)は4.82万億元と、サウジアラビアの一年間のGDP額に相当しました。

 どのような文化でアリババは作られたのでしょうか?タオバオや天猫が日々進歩しているなか、今後の5〜10年間でアリババはなにか新しい戦略を考えているのでしょうか?こんな疑問を持って、私はアリババの杭州本社ーーアリババパークの見学に行ってきました。

アリババパークの概況

 アリババパークは杭州の西にある西渓湿地公園の近くにあり、有名な西湖まで17kmほどの距離です。上海からだと車で約3時間かかります。

 これはアリババ社の杭州本部であり、29万平方メートルの敷地に、オフィスビルが8個と駐車場が2つあります。2008年に建設を開始し、2013年に正式搬入しました。

 現在、本部管理部門以外に、タオバオと天猫の小二(昔中国で店舗スタッフを小二と呼んでいました。アリババのスタッフは、商家達と平等な関係を維持するために、みんな自分のことを小二と呼んでいました)はここで仕事をしています。

 アリババパークを見学するには、小二さんの招待が必要です。今回、タオバオの小二さんは”タオバオ貿易”のスタディツアーを開催しました。私の親友はタオバオの店舗を持っていたので、このツアーの参加資格がありました。私は親友の店舗スタッフとして招待状を貰いました。

 朝9時20分にパークに到着しました。入り口の右側に入場カードを作成する部屋があり、人が沢山いました。機械に招待番号と携帯ナンバーを入れると入場カードが印刷できます。入り口でバーコードをスキャンしてアリババパークに入りました。

アリババ社の企業文化は何でしょう?

 ビルに入ると、一番に大きいディスプレイが目に入りました。画面の上には“让天下没有难做的生意(To make it easy to do bussinese anywhere、世の中の難しい商売をなくす)と表示され、下には1999年から2018年のタイムラインと会社を設立してからの出来事をムービーにしたものが流れていました。

 小二さんが“世の中の難しい商売をなくす”というスローガンは、1999年アリババ社を立ち上げたときの会社使命で、今も変わってませんと紹介しました。そのためアリババのインターネットビジネスは、社員が潜在能力を発揮し、十分な創造力を持っている必要があります。内部管理では、会社スローガンは“快乐工作,认真生活(楽しく仕事、真面目に生活)”と設定されています。

 パーク見学時に、どこでも文化の“場”を感じます。オフィスの中も外も至る所に彫像や写真、ポスターなどが飾られています。

 アリババの社員の8割以上を80、90年代生まれの社員が占めています。若い世代のチーム管理は多くの企業で非常に大事な問題になってます。アリババは酒文化を模倣し、“一年香、三年醇、五年陳”の理念があります(社員の成長を酒の熟成に見立てた表現)。

・ 入社一年目の社員は“一年香”と呼ばれ、一年間で365日の勉強で、美味しいお酒のように静かに自分の香りを撒き散らしています。この日、社員は今後も一緒に楽しく努力していこうという意味の笑顔のバッジを貰います。

・ 入社三年目の社員は“三年醇”で、会社の価値観を完全に理解し、会社の方向性を受け入れたうえで、なにをやるべきか、なにを切り捨てるか、一発で本質を見抜き、内から輝ける人。この日、社員はアリババと一心同体の三年成人という意味の白玉のペンダントを貰います。

・ 入社五年目は“五年陳”です。会社は5年間で働いた社員に対して、その社員がこれまでの成長経験という宝物を他の社員にもシェアし、他の社員の成長も促すことを期待しています。この日、社員はオーダーメイドの指輪を受け取ります。この指輪がアリババへの誠実さを表し、この文化を伝承していくことが最高の恩返しとなります。

 今回私達にガイドしてくれた小二さんは“五年陳”のスタッフです。色々なアリババの文化を紹介してくれて、彼が会社に対する熱情を感じました。

アリババの次の成長戦略は?

 午前中の見学が終わり、昼休憩の後、今回のスタディツアーのメインとなる午後の説明会が始まりました。

 初めにアリババの2019年4月〜6月の売上は前年度より42%増、純利益は54%増だったことを紹介し、さらに8月15日、アリババは中国越境ECで2位のシェアを誇るネットイースコアラを買収することを発表しました。インターネット業界は、弱肉強食の世界です。これから、アリババは天猫国際+ネットイースコアラで、中国越境ECの6割以上を占めることになるらしい。

 説明会でタオバオ貿易業務を担当する小二さんは、今後の5〜10年間のアリババの戦略は、クラウド計算、農村タオバオ、国際化と紹介しました。

 クラウド計算と農村タオバオに関しては数年前からすでに開始され、去年増加した3400万人のタオバオのユーザーの内、8割以上が農村タオバオのユーザーらしです。このほかに、アリババは2036年に世界第五経済大国になることを目指し、そのうち、海外からの売上は半分を占める見込みです。去年から、アリババはタオバオ貿易プロジェクトを開始しました。主に現在の中国タオバオや天猫の店舗をalibaba.comのプラットフォームにもオープンし、彼らの商品を世界の中小型バイヤーに売ります。これに合わせて、アリババは商売中の問題に対して、以下のサービスを提供しています:

1、翻訳サービス

 海外とのやり取りで、一番の問題はコミュニケーションだと思います。タオバオや天猫を運営する方は、英語などの外国語を話せないことが多いです。これを背景に、アリババはオンライン翻訳サービスを提供してます。簡単にいうと、こちらが中国語で入力したものが相手には英語などの自分の第一言語で表示されます。逆も同じです。オンライン翻訳で、貿易の一番の懸念点である言語問題を解決します。

2、貿易の決済返税サービス

 言語問題以外に、これまでの貿易業務では決済や返税などの金融的な処理も専門者が必要でした。この問題を解決するために、アリババはオンライン決済用プラットフォームを構築し、バイヤーが送金後、店舗はプラットフォームで申請するだけで決済返税が完了し、売上額は口座に入ります。これで貿易業務の売上回収期間が長く、手続きが複雑な問題を解決しました。

3、物流サービス

 商品を海外に発送するときに、集配費用も高くつきます。アリババは強い交渉力で、多数の物流会社と低集配費での集配を契約しました。さらに、アリババは全国にいくつかの集配倉庫を設立し、店舗は商品を倉庫に郵送し、アリババがその商品を海外のお客様まで直接発送します。

4、バイヤーを集める

 ここ数年、アリババは積極的に各外国政府と協議し、いろいろ国際展示会に参加しました。その結果、現在欧米や東南アジア、アフリカからの中小型バイヤーがalibaba.comのプラットフォームで商品を仕入れ、自分の国や地域で売っています。

 今後5〜10年間で、国際化プロジェクトはアリババの次の大きい成長ポイントとも言えます。中国市場に参入したい皆様もこのチャンスを利用して国際市場を開拓しませんか?

最後に

 私はタオバオ愛用歴11年のヘビーユーザーです。アリババは私の日常生活から仕事(balconia Shanghaiの会社サイトもアリクラウドサービスを利用しています)まで完全になくてはならない存在になっています。今回の見学で、私は会社管理から未来の戦略まで、改めてアリババについて認識することができ、色々勉強になりました。皆様の参考になる情報が提供できていれば、幸いです。

 最後まで読んで頂きありがとうございました。これからも中国の色々な情報をたくさん提供いたしますので、引き続き、皆様の応援をよろしくお願いいたします。

puppy