2019.09.18

先輩からの「きかほうてん」をお受取りください

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冷知識TIME
中国人なら誰もが知る「葵花宝典」(きかほうてん、拼音: Kuíhuā bǎodiǎn)は、金庸の武俠小説『秘曲 笑傲江湖』に出てくる架空の技。東方不敗はこの技を習得してから、江湖で無敵となり、任我行や令狐冲といった達人4人が束になってもかなわないほどになった。

前回の記事で「中観トリック(套路)」について言及しましたが、トリック(套路)とはなんでしょうか?トリック(套路)は中国武俠小説中のカンフー攻略----「葵花宝典」みたいなものです。仕事の中で「パターン化された業務」や「一定の手順に従い作業を行う動作」を指しています。なぜ「中観」かは最後にお伝えします。

ブランドストラテジーやクリエティブの仕事には様々なトリックがあります。例えば、ユーザの「痛み」と「痒み」を明確にすること、ユーザープロフィール、ユーザーシナリオなどです。本屋には、どのようにユーザー訴求を理解するか、プロダクト戦略を立てる、機能定義、フロー図作成、モック制作、プロジェクト管理、データ分析、案件運営などのトリック関連の本が実は非常にたくさん置かれています。

大手企業はトリックを習得できる絶好の場所だと思います。体系的に特定の強みを持った人材を育てる場合、その会社はある分野で他社より優れたトリック持っていると言えます。例えば、lenovoは営業力が高い、テンセントはプロダクトマネジメントが得意、アリババは運営が上手、Baiduは技術がすごいといった特徴があります。つまり、新人にとって大手企業に入ることの価値とは、価値のあるトリックを学べるということです。トリックはカンフー攻略と同じで、先輩がまとめてくれた有効経験だと思います。

ユーザビリティを例に挙げると、もしあなたがユーザープロフィールやシナリオといったトリックを理解せず、なんとなくの感覚でユーザービリティを考えると、なんとなくユーザビリティの全体に近いものになるかもしれません。しかし、トリックを身に付けると自分で問題を点検することができ、チームとのコミュニケーションも効率的になります。すると、より良いユーザービリティになると思います。

ヒット商品は何のトリックを利用しているのでしょう?

近年、中国ではネットでヒット商品が続出するという現象が起こっています。網紅ミルクティー、網紅ヨーグルト、網紅シャンプーなどです。これらの商品が超人気な理由は、ユーザの「痛み」ではなく「痒み」を捉えたからです。
(網紅とはネットで流行っているもののこと)

「痒み」とはどういう意味?

初めに、数年前人気だった韓国ドラマの「星から来たあなた」について紹介します。このドラマは女優と宇宙人の愛を描いたストーリーです。一見何の変哲もないストーリーなのにどうして人気になったのでしょうか?みんなが何の話題について話しているかネット掲示板で見てみると、なんと600万以上がこのドラマについて議論していました。ユーザーは主人公の表情や眼差し、服、化粧、口紅、コーディネートなどについて話しています。これらは全てユーザーの「痒み」だと思います。「痒み」とは人間の隠れた欲求を満足させるもので、つまりは想像の中の理想の自分なのです。

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我々がアイドルのドラマを見たり、アイドルを追いかけたり、ヒーローストーリーや有名人のゴシップ、起業物語や成功神話を読んだりすることは、彼らを追いかけているからでしょうか?いいえ、思わず関心のあるコンテンツに熱中するのは隠れた欲求で、自分の想像の投影だと思います。

先ほどの中国網紅ECサイトに話を戻すと、実はKOLが仮想の世界でみんなの理想の生活を投影しているということです。KOLの商品を購入し、KOLと同じシーンを体験したら、自分の中に隠れた小さな欲求を一部分実現したと感じることができます。

TaobaoKOLの第一人者----シェリー(英語:Cherie/中文:雪梨)は運営経験について「毎回新しい服を撮影するとき、より良いイメージを表現するために、一週間前からダイエットをします。ファンがWeiboで目にする気軽なスナップは、実は私が十日間撮影を行ってピックアップ&レタッチした作品で、専門的な運営をしているものです。私は写真でファンにスペシャルな生活シーンを提供しています。」と話しました。「私が販売してるのはライフスタイルで、女の子の美しいファンタジーを満足させるものです」とシェリーは言いました。

CherieのWEIBO写真

シェリーのファンはシェリーのコーディネートを丸ごと購入します。これは服が欲しいからや寒いから服を買ったのではありません。シェリーが着ていたから欲しいと思い、彼女がパリで着ていたきれいなコートを着れば、彼女と同じような生活を過ごせるような気がするからです。

これは隠れた欲求の実現方法です。これも網紅商品のトリックだと思います。

なぜ「中観」か

トリック(套路)はトリックなのですが、なぜここでは「中観トリック(套路)」を取り上げているのでしょうか?それは、ミクロ感覚とマクロ能力の間に存在しているものだからです。

ミクロ感覚と中観トリック(套路)とマクロ能力、この3段階で人の能力を判断できます。

マクロ能力とは大戦争をする能力です。いくつかのポジショニングとユーザビリティに似ているプロダクト・サービスの場合、実は戦争を終わらせることはできません。大戦争の勝負はマクロ能力次第です。これはボス達の得意分野なのでここではスキップします。

次は何についてお話しようかな?では、ゲーム中のトリック----「楽しさ」について話しましょう。

ゲーム画面

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