2019.10.22

クリエイティブチーム成熟の4段階

balconia Shanghai総経理の久保山です。

よく経営の本でどんな組織を作るべきか、構造改革はどうあるべきか、そんな話がありますよね。一方で、クリエイティブに関してどのような組織であるべきか議論したものって案外少ないのかなと感じています。さらに私たちのようにお客様にサービスを提供するようなクリエイティブエージェンシーとなるともっと体系的な組織論が少ないように感じています。

そこで、今日は私が考えるクリエイティブチーム成熟の4段階というお話をしたいと思います。皆さんの組織はどこにいますか?

レベル1:フリーランサーズ
レベル2:分業とディレクション
レベル3:全員クリエイティブ
レベル4:リーダーシップとブリーフ

レベル1:フリーランサーズ

この段階は会社でありながら実体としてはフリーランスとあんまし変わらない的なやつですね。

そんな会社まだあるんすか?って思いますよね。中小のクリエイティブプロダクションなどではまだ時々こういうの見ます。タスクの分解もプライオリティも決まっていなく変更管理もなされず、けっこうブラック化しがち。管理職の負担も大きくなります。

レベル2:分業とディレクション

で、そこから脱却したあとに最初に来るのがこの段階。デザイナー、エディター、エンジニア、ライター、ちゃんと分業して効率的に仕事しようー、ということになるわけです。そうすると分業になったそれぞれの職能を横断するディレクションという役割が必要になっています。
私はこれをディレクター勇者論と呼んでいるのですが、ドラクエの勇者が必要になるわけです。戦士、魔法使い、僧侶と色んな職能を協力させながら指示を出し、レベル上げの方針を考えながらラスボスを倒す、というわけです。

こうなると、それぞれの職種同士の専門性も高まるし、工数管理もしやすくなります。
プロジェクトが大規模化するに従ってこうした分業とタスク分解が重要になり、ディレクションスキルがより重要になっていきます。

レベル3:全員クリエイティブ

で、レベル2になると
「エンジニアとかデザイナーも最初からお客さんに話を聞いて一緒に考えたほうが良いものができんじゃね」
「ディレクターが全部顧客フェイシングするのは限界があるんじゃね」
「分業が進むことで色んな職種が知恵を出し合うことを忘れてしまってる!」
みたいな議論が必ず出てきます。

確かにそのとおりなんですね。

勇者さまってのは、戦士より攻撃力も低いし、魔法使いほど強力な魔法も使えないですから。

もっとチームワークを発揮して最初っから全員が参加してものづくりしていけばもっと良いクオリティのものが出来上がる、ということに徐々に気が付きはじめ、全員でクリエイティブを作ろう、みたいな機運が生まれます。

よくクライアント会議に「そこまでは人数いらねぇだろ」っていう数が出てくることあると思うのですが、それは全員クリエイティブを志向しすぎた状態です。

レベル4:リーダーシップとブリーフ

レベル3はたしかにチームのモチベーションも高くて、良い状態になっている、とも言えます。しかし一方で工数が大きく膨らみますし、予算が大きいものでしか良いものが作れない、というジレンマも出てきます。
また、全員クリエイティブはとはいっても、個人としては単能工なんですね。

でも、現在のトレンドは徐々に変わりつつあり、一人ずつの個人が多能工が求められます。

例えば以下のウェブサイト
https://www.awwwards.com/

ウェブサイトのアワードをしてるウェブサイトですけど、デザイナーがJPGでデザインを作って、エンジニアが動かして、、、みたいなプロセスでは出来上がってないものばかりですよね。デザインもフロントエンドの技術もよく理解した人が色々考えて作っていってる。

インスタレーションもそう。エンジニアでありながらクリエイティブ志向も強くよく理解した多能工が集まって作っていますよね。

そうした個人が出てきたときに重要になってくるのは全員クリエイティブではなく、一人の多能工が顧客のビジネスの要件を聞き、咀嚼した上で、会議にはいなかった専門職種に的確なブリーフに落とし、連携し合う、という流れが必要になってきます。

そこには多能工かつリーダーシップの高さが同時に求められますが、より高いクオリティを組織としては低コストで実現していくことができます。

だからこそ多能工に金銭面で還元することができるようになるわけです。

balconiaが目指すもの

皆さんの組織はいかがでしょう?どれかの段階にいるのかなと思っているのですが、これらに当てはまらない形があればぜひお話聞かせてほしいです。

私たちbalconiaはレベル4の段階を目指しているのですが、実は今の段階はレベル2→3の過渡期のように思っています。レベル3を経ることで、結果的に個人の多機能性が養われ、レベル4に移行できると考えているからです。

そうした組織は会社が用意してすぐに実現できるものではなくて、それぞれの個が協力して少しずつ成り立っていくものだと考えています。

きっとそんな文化を作っていく過程も楽しいはず。

同じように感じる方はぜひお気軽にご連絡くださいね。
balconia積極採用中ですー。