2021.01.12

中国ゲーム事情: 中国マーケットでも人気のMOBA

こんにちは、フロントエンジニアの劉です。この記事ではゲーム事情を通して、中国の消費者情報をお伝えします。

中国中商情報ネットの公開データによると、2020年上半期は新型コロナの影響を受けた巣篭り消費により、エンタメアプリの需要は月々増加の傾向を見せており、ユーザー数も増えてきています。モバイルゲームの売上も右肩上がりでどんどん伸びています。2020年1-6月の間、ゲーム市場における売上高は約1,395億元(約2兆2320億円)に達し、前年同期比22%増となったと報じられています。(https://baijiahao.baidu.com/s?id=1673636935502836329&wfr=spider&for=pc

その中でも、中国で大人気のゲームがマルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(MOBA)です。なぜ中国で人気なのかを考察してみたいと思います。

※ちなみに、マルチプレイヤーオンラインバトル(英: Multiplayer online battle arena; MOBA)とは?
アクションリアルタイムストラテジーゲーム(ARTS,action real-time strategy)とも呼ばれています。
リアルタイムストラテジーゲームのジャンルの一つで、複数のプレイヤーが2つまたはいくつかのチームに分かれ、各プレイヤーが一つのキャラクターを操作し、対戦していくゲームです。
課金によって優劣がつく要素の少ない公平性や、プレイに特別なスキルも求められないことからエントリーしやすいことがMOBAの魅力となっています。

なぜ中国で、MOBA爆発的にヒットしたのか?

社会・市場環境の要因

中国のゲーム産業史を見渡すと、携帯ゲームからPCゲーム、そしてPCオンラインゲームからモバイルオンラインゲームへと変遷してきています。昔は、ゲーム機の制限などが原因で遊べるゲームといえば数える程しかありませんでした。しかし、ネットカフェが発展し、PCゲームが盛り上がり始めると、その後、中国のネット回線のスピードが上がったこと、さらにネットカフェに置いてあるPC設備のアップグレードなどにより、跑跑卡丁车(クレイジーレーシング・カートライダー)や刀塔(SOULCLASH)、地下城勇士(アラド戦記)などのMOBAが流行し始めることになります。そして、スマートフォンの普及とともに、モバイルインターネット時代に突入し、ゲーム人口は爆発的に増加しました。ゲーム市場においてもモバイルシフトが進み、そこで世界的に人気のゲームジャンルMOBAが登場し、中国でも広く普及していきました。

中国では、ゲームが普及してきたタイミングではまだまだ一般消費者の消費水準は低く、新たにゲーム機を購入したり、ソフトを買い揃えたりということは困難でした。また、消費力が高まった後も、コンソール・ゲーム機が禁止され、PCやモバイルゲームが現在まで圧倒的メインストリームとなってきました。

ソーシャルコンテンツとしての一面

MOBAの特徴は、一緒にゲームをする仲間がプラットフォームにたくさんいることです。現実世界での交流が希薄になっていたとしても、MOBAをプレイすることでゲームを通じて人とつながることが出来ます。

中国においても、デジタルネイティブの若年層は、リアルのコミュニケーションが苦手、もしくはリアルなコミュニケーションを面倒と思いがち。また、人と付き合う時も、自分と同じ趣味を持つ人とだけ交流しがち。というような傾向がよく言われます。そんな若年層にとって、MOBAは前提として趣味の合う仲間だけが集まっているグループであり、バーチャルであっても人や社会と直接つながることのできるツールとなっているのかもしれません。

金融市場が熱い視線を向ける

皆さんもご存じのように、中国ではモバイルペイが普及していることもあり、アプリ内課金の仕組みはよりスムーズであると言えます。MOBAはプラットフォームとして多くのユーザーを獲得していることから、”アクセス数+アプリ内課金”によるビジネスモデルを考えると、他のゲームジャンルに比べてもMOBAの収益性が高いことから、金融資本市場から熱い視線を浴びています。

そんな中で、ゲームデベロッパーによる最適化や継続的な改善が行われているため、より優れたゲームへと、MOBAは常にアップデート、進化していきます。

以上、MOBAがなぜ最も人気のゲームジャンルとなったかについて考察してみました。

MOBAに限らずゲーム市場や、ターゲット消費者の話を詳しく聞きたい、という方は、balconiaまでお声かけ下さい。いろんな角度から情報をシェアしたいと思います。