2021.01.12

中国における男性スキンケア市場の拡大

こんにちは、balconiaの不破です。今回は中国の男性スキンケア事情について書きたいと思います。今日本でもコロナの影響でメイクやスキンケアをする男性が増えていますが、中国でも男性のメイク・スキンケアのニーズは年々増えています。特に90後、95後のZ世代を中心に「精致男子(美意識の高い男子)」が急速に増え、「他経済(男性経済)」はまさに多くの可能性を秘めている市場と言えるでしょう。

※90後、95後はそれぞれ90年以降生まれ、95年以降生まれを指す

加速する「他経済」

世界第1位を誇る中国の化粧品市場は既に4256億元(約6兆7250億円)に達しています。その内男性スキンケアの占める割合は1%程とまだまだ小さいですが、2010年から2019年の間で約8倍に急成長しており、2019年時点で市場規模は89億元(1406億円)に達しました。

2020年中国男性スキンケア業界の発展状況分析(2020年中國男性護膚品行業發展現狀分析 年輕男士成為線上消費主力軍)によると、スキンケアを日常的に行っている男性は88%で、その内、65%の人が「綺麗な肌の方が魅力的」「毎日のケアで肌状態を保ちたい」という理由でスキンケアを行っています。

前瞻研究院のデータによると、80%近くの90後、95後の男性が大学生になる前からスキンケアの習慣がついており、男性スキンケア市場におけるメインの消費者となっています。また、ここ3年で95後の男性が90後の男性を追い抜く形で増加しおり、今後も若者のスキンケアへの注目度は上がっていくと予想されます。

急成長を遂げている市場とはいえ、男性のスキンケアに対するこだわりや関心はまだまだ女性には及びません。様々な男性スキンケアブランドがありますが、未だにずば抜けて売れているブランドは出てきていないのが現状です。スキンケアに強い関心を持っている人は、ロレアル、キールズなどの海外ブランドを選ぶ傾向にあるようですが、ほとんどの人は「洗浄力がある洗顔、保湿ができる化粧水・乳液」であれば、ブランドには特にこだわりがないようです。

2年間で5億元(80億円)を売り上げたブランド

そんな中で、2年という短い期間で5億元(80億円)を売り上げた中国のブランドがあります。そのブランドが「MARTIN(馬丁)」です。上海で生まれたMARTINは、ヨーロッパの男性向けコロンの香りをヒントに中国人男性向けに作られたスキンケアブランドです。「飾らない、男性が本来持つありのままの魅力は言葉にする必要はなく、内側から放たれ、自由や自信に溢れている」といったコピーで、男性の秘めた思いを満足させることがブランドのインスピレーションになっていると謳っています。

「無需主動」是男性本質散發出來的一種魅力,無需言語交流,無需眉語轉換,由內在散發出自在、輕鬆,有自信的男性特質,對事物擁有絕對的掌控力。

他にも比較的売れている男性スキンケアブランドはありますが、どのブランドもスキンケアを使用した際のベネフィットをメインに打ち出したプロモーションが多く見られます。そんな中、MARTINの打ち出す「男性のありのままの魅力は内側から放たれる」といった情緒的なコンセプトは消費者の印象に残り、また、ヨーロッパをヒントに中国人男性向けに作られた香りにも特別感を感じるのではないでしょうか。

さらに、MARTINはエレベーター広告を出していましたが、契約した広告代理店はオフィスやマンションのエレベーター広告出稿の大半を占めており、200以上の都市をカバーしています。250万を超えるエレベーター内のモニターで、1日で3億人のも人々に広告を見てもらうことが可能となります。中国のTOP100ブランド中81のブランドがこの広告代理店と契約をしているという実績もあるようです。

その他、中国で人気のゲーム「穿越火線」ともコラボし、ゲーム画面をイメージしたムービーのクリエイティブ等も公式Weiboで配信したり、男性における認知度アップに注力しています。 ムービーはこちら

まとめ

近年急速に成長している中国の男性スキンケア市場ですが、まだまだ成熟していないため、今後も様々な戦略をもって消費者を獲得していく必要があります。これまでターゲットにしてきた女性とは好みや購入のプロセスも異なるはずです。国内外のブランド問わず、長く愛される男性スキンケアブランドを築くためにはまだまだ試行錯誤が必要な領域と言えるでしょう。

弊社では定性・定量調査から戦略、それに合わせたクリエイティブの制作までを一貫してご支援しております。中国進出でお困りの方はお気軽にご相談くださいませ。