2021.10.25

Tmallの「W11」新機能攻略2021

 中国で毎年一大イベントとなる商戦の一つ「W11」ですが、今年、Tmallの機能やアルゴリズムが大きくアップデートされました。

 W11では各店舗が色々な工夫をしてプロモーションを実施します。500万以上もの店舗が一斉に勝負に出るW11で、競合に埋もれることなく売上を伸ばすためにはどうすればいいのでしょうか?

 どんなにいい商品を売っていても、店舗ページまで誘導することが出来なければ、売り上げにつなげることは難しいです。
 いかにECサイトの共通ページで商品を表示させ、ユーザーを店舗ページに訪問させるかによって、その年のW11商戦の結果は変わってくるのではないでしょうか。
 今回のアップデートでは、優良なコンテンツに対して共通ページへの表示を後押しする仕組みになっているようです。

 今年Tmallでアップデートされた新しい店舗設定やアルゴリズムについて、Tmall公式でオンラインレクチャーを行っていたので、私も見てみました。その内容を皆さんに紹介したいと思います。

店舗関連の主なアップデート内容

 店舗に関する主なアップデート内容は大きく分けて4つです。
 ベースとなる店舗ページのアップデートと、3つのコアアップデートがありました。

 まずは、ベースとなる店舗ページに対するアップデートについてご紹介します。これまで店舗TOPはLPのようなページでしたが、今回のアップデートでコンテンツがモジュール化され、各モジュールを組合せて店舗TOPを構成するようになりました。

 様々な商品カテゴリに合わせたモジュールが用意されていて、商品の特徴にあったモジュールを自由に組み合わせることができます。
 これにより、より店舗の個性化を測ることができることに加え、モジュール化したことにより、裏側のシステムでユーザーの行動が数値化しやすい仕組みになっています。

 この「数値化」は今回のTmall機能のアップデートで重要なポイントとなります。

 Tmallは数あるモジュールの中でも「ランキング」、「人気検索」、「クーポン」、「あなたにおすすめの商品」の4つをより効果的なおすすめのモジュールとしているようです。

 また、数値化されたデータをもとに、ユーザーが好みのコンテンツを分析し、モジュールの表示順を自動で組み替えてくれる機能も追加されました。
 この機能を利用するには、指定のURLより申込が必要になるオプション機能となりますが、より効果的にユーザーにアプローチできる機能となります。

申し込みURL:https://survey.taobao.com/apps/zhiliao/27RqDTXM7

コアアップデート

 1つ目のコアアップデートは「Livecard」です。この機能はUX向上の観点から追加されました。これまでは画像がメインでしたが、Livecardではよりユーザーが楽しめるインタラクティブなコンテンツが重視されます。
 360°3Dモデルや、ページ内で遊べるゲームなど、ユーザーが何かしらのアクションを起こすコンテンツは優良コンテンツとして見なされます。

 Livecardも様々なカテゴリに合わせて用意されたモジュールを流用することができます。
 商品に合わせてモジュールを選択し、ユーザーがページに訪れた瞬間に欲しい情報が目に入るように工夫できます。

 2つ目のコアアップデートは「大循環」です。これは、店舗ページ⇔共通ページ間でユーザーを行き来させる仕組みです。共有ページから店舗ページへ、店舗ページから共通ページへコンテンツを掲載し、流動性を高めます。

 店舗ページ掲載のコンテンツは共通ページのおすすめの「店舗カード」「必見店舗」「検索・商品」「神店ランキング」にピックアップされます。これにより、店舗ページへのアクセス数を大幅に伸ばせることが期待できます。

 ピックアップされるためには、店舗内に「宣伝」「商品」「セールス」「インタラクティブ」関連のコンテンツを用意しておく必要があります。

 これは「种草」の期間、つまり、ユーザーへ興味喚起を行う期間に優良コンテンツをピックアップするようなので、早めの準備が勝利へのカギとなってきそうです。

 3つ目のアップデートは「ムービー化」です。
 店铺二楼と呼ばれる機能では、以前からムービーを掲載していました。これまでこの機能は比較的人気の高いブランドにだけが利用できましたが、今年から全店舗が利用できるようになりました。店铺二楼に掲載するムービーの内容も、これまでのハイクオリティの宣伝ムービーではなく、种草(興味植え付け)や带货(販促)寄りの内容が推奨されています。

 店舗TOPに抖音(TikTok)のように、ブランド紹介や商品紹介、商品特徴に関するムービーを掲載することも、今後はより重視されるポイントになります。
 ユーザーは普段からSNSでムービーコンテンツを楽しむ習慣があるため、それに合わせて、ネットショッピングの際にもムービーから簡単に速く商品情報を理解し、購入に結び付けたいという意図があるようです。
 何の商品を売っているのか?その商品の魅力は何か?が簡潔に伝わることが優良コンテンツの判断基準になっています。

 こうして、優良コンテンツと判断された動画に対しても、共通ページで表示されるインセンティブがあり、ユーザーの好みに合わせて表示されるようになります。

詳細情報関連の主なアップデート

 詳細情報に関するアップデートは大きく3つで、攻略のポイントは商品情報の構造化、商品情報のムービー化、商品タイトルの簡潔化です。

 商品詳細情報ページでは、ユーザーが一目でなんの商品かを理解できることが重視され、店舗側はよりユーザー目線に立つことを要求されています。
 そのため、今回詳細情報のアップデートでは「商品購入までの情報の構造化」が重視されるようになりました。
 注意喚起→興味喚起→購入意欲の喚起→購入というユーザーの心情の変化に沿ってコンテンツを配置することがポイントです。

 微详情(Minidetail)は商品情報を簡単に掲載したページで、商品が縦に並んでいます。ユーザーは、スクロールをして商品を見ながら、直接購入できるような仕組みになっています。これまで商品情報に関する画像を5枚掲載可能でした。

 今回からは、3つまで「ムービー」を掲載できるようになり、5枠の中に掲載できる情報量が増えました。
 「注意喚起→興味喚起→購入意欲の喚起→購入」の流れに沿うように5枠の情報を配置することで、より購入へのCVをあげることができます。
 この時、1枠目に動画を配置し、5枠内の内容が被らないようにすることがポイントです。

 5枠の構成や、ムービーの内容によって優良コンテンツが判定され、数値化されたデータによりおすすめにピックアップされやすくなります。
 微详情(Minidetail)は長期的に改善を繰り返すことが大切です。

 また、これまで商品一覧や詳細ページに出ているロングタイトルは、検索にヒットしやすいように情報が詰め込まれている状態でした。しかし、ユーザーにとっては一目でその商品が何なのかが分かりずらく、煩雑になっていたため、今回から15文字以内の「販促タイトル」も追加されました。
 この販促タイトルに求められることは、何の商品か一目で分かることです。
 その他の説明は、これまで通りロングタイトルに記載できるので、よりシンプルに販促タイトルをつける必要があります。

 ここまでアップデート内容を紹介してきましたが、これらは、9月初旬に画像・ムービー・テキスト素材を準備し、9月中旬から10月にかけて主力商品やヒット商品を設置完了、また、10月中には全ての商品を設置完了しておく必要があります。

 W11の商戦は、11月11日だけではなく、その準備段階からが勝負です。10月20日からアクセス数や優良コンテンツが数値化され、そのデータに合わせてW11商戦期に共通ページにおすすめコンテンツとして掲載される確率が決まってきます。
皆さん、しっかり準備は出来ていますでしょうか?

まとめ

 今回はTmallのアップデート機能について一部をご紹介しました。今年のアップデートでは様々なコンテンツをムービー化したという点が大きかったのではないでしょうか。TikTokにもEC機能が追加されたり、ムービーから購入へつなげる流れは今後の中国のECサイトで主流になってくることが予想されます。
 また、細かいアルゴリズムの変更など、より公式側が定めるルールにのっとった運用が勝負の分かれ道になってくるように感じます。

 個人的には今回のアップデートは、より制作に費用をかけられる大きいブランドや情報をキャッチアップしやすい中国ローカルブランドに有利になったと思います。

 今年のW11ではどのブランドが売上を伸ばしてくるか注目です。

参考:
https://market.m.taobao.com/app/qn/toutiao-live-new/index-pc.html?spm=a223k.24569684.5990499544.7.666d268ewUjSzm#!/interview/10673262