2021.05.18

中国で最も人気のあるアニメのご紹介

 みなさんこんにちは。今回は、中国でホットなアニメーション映画やテレビアニメについてご紹介していきます。また、中国のアニメ産業に対して自分なりに考察、分析してみましたので、あわせてシェアさせていただきます!中国マーケットの動向を知る手がかりとしてご参考になれば幸いです。

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 前瞻産業研究院の「中国アニメ産業発展展望予測投資戦略計画分析レポート」によると、中国国産アニメーションの生産総額は2013年の888億元から2019年の1941億元までだんだん増加しています。2015年に大ヒットしたアニメ映画「西游记之大圣归来(西遊記 ヒーロー・イズ・バック)」は9.56億元の興行収入を記録し、2019年に公開された「哪吒之魔童降世(ナタ〜魔童降臨)の興行収入は50億元を超えるなど、中国アニメ映画の新しいステージの幕開けとなりました。

 また、2019年には海外アニメ映画を含むアニメ映画全体の興行収入のうち、国産アニメ映画の興行収入が62.25%の割合を占めており、中国国産アニメを好む人が増えてきていることが分かります。

近年、中国で人気の高いアニメ作品

 今回は中国でもよく利用されている「豆瓣 Douban(映画情報を提供するソーシャルネットワークサービスプラットフォーム)」の人気ランキング上位作品と個人的にお気に入りの作品をいくつかご紹介します。

哪吒之魔童降世(ナタ〜魔童降臨) (3D映画)

 「哪吒之魔童降世(ナタ〜魔童降臨)」は中国の伝統的な神話に登場するナタを描いた物語です。ナタは陰謀により生まれながらに魔王となる宿命を背負ってしまいましたが、運命だと諦めることなく、“我が運命は我がもので有り、天が決めるものでは無い”と信じ最後まで戦い抜き、村人を救う英雄になったストーリーです。

白蛇(White snake):縁起 (3D映画)

 「白蛇:縁起」は日本にも馴染み深い中国の民間伝説「白娘子传奇(The Legend of White Snake)」をベースに改編され、ヒロインの白蛇と許仙が出会う前の、白蛇と許仙の前世許宣を描いた美しいラブストーリーです。

一人之下(The outcast)(2Dテレビアニメ)

 中国本土の文化がたくさん盛り込まれた国産作品です。中国の道教文化を題材とし、道教の価値観が全体に浸透した「異人」の世界を中心にストーリーが展開していきます。

秦时明月之天行九歌 (3Dテレビアニメ)

 「秦时明月之天行九歌」は中国の戦国時代末期に存在した韓国の有名人である韓非の物語です。そんな内憂外患の苦境にあった韓国で奇妙な事件が発生しました…

なぜ、これらのアニメが注目を集めているのか

 上記で紹介したアニメを見ても、中国の歴史や中国文学及び中国の伝統的な物語を改編して作られているアニメが高い人気を得ていることが分かります。その多くは3Dアニメーションなのですが、なぜこれほど注目を集めているのでしょうか。理由として考えられることをまとめてみました。

・ 中国人は教育の中で、中国文化、歴史、伝統的な物語に対して学びを深め、自然と好意を抱くようになることが多いです。急速な中国経済の発展で、中国人は文化が失われてしまうと感じていましたが、中国文化を題材にした作品が台頭し、文化的アイデンティティーを取り戻し、人気が一気に広がったといえます。

・ 中国アニメ制作技術のレベルアップ。昔は技術力や資金力が十分ではありませんでした。近年の中国映画産業におけるアニメーション産業のレベルアップや、これまでゲームCGで蓄積してきた技術力により、制作レベルはぐっと高くなりました。

・ テンセント、光線传媒などの大手企業が牽引し、アニメ産業に参入する企業が増えつつあります。企査査が公開した融資データの状況から、参入している企業は、投資ラウンドがシードPre-A からシリーズA+までのエンジェル/シードレベルのアニメ制作企業が多いことが分かります。それぞれ32%と30%を占めており、トータルで全体の62%にも達しています。このことから業界内の多くの企業がまだ発展段階にあることがわかります。アニメ産業は投資の増加により、急成長を遂げています。

最後に

 中国アニメの強みはなんといっても中国文化の特色です。反対に、アニメ産業がまだきちんと形成されているとは言えず、優秀な脚本家や声優人材が少なかったり、公開方式の制限やIPの運営経験がまだ浅いことが弱みです。ノウハウの蓄積、模索にはまだまだ長い時間が必要と言えるでしょう。

 個人的には、中国アニメ産業は奥深い中国文化を発掘する方向に向かっていくのではないかと思います。いずれ中国文化が世界に広がっていくといいなと思いますが、中国文化は難しく分かりにくいものも多いため、海外に受け入れられるには文化面でのハードルが高いだろうとも感じています。

まずは日本を見習い、中国独自のカルチャーブランドを打ち出し、多くの支持者を育てていく必要があると思います。

以上、中国アニメ産業に対する私見です。ご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声掛けください。お待ちしております。