2021.02.09

タレントの購買力を見る「星数」と熱狂ファン度を見る「明星权力榜」

ブランドを扱っている方であれば、プロモーションにタレントを起用する際、「この人はこのブランドやプロモーションに最適なのか?」という懸念が必ずあると思います。


例えばイメージに合っているか、ネガティブな噂や炎上はないか、リスクはないか、旬度はどれくらいか、他社と契約していないか、などなど考えることはつきません。日本のブランドで日本のタレントを起用する際でも考える項目はたくさんあるのに、中国でプロモーションを行うとなったら日本人担当者がその判断を行うことはさらに難易度があがります。

今日はそんな中「このタレントは本当に人気があるのか」ということをざっくり確認・参照するためのツールCBNData「星数」、Weiboの「明星权力榜」とともに、ランキング上位のタレントをご紹介します。

アリババの消費者データを基にCBNDataが開発した新しい指標「星数」

「星数」は、アリババの消費者データを基にCBNDataが開発し「著名人の消費者への影響力」を測定しているツールです。ブランドに最適なタレントを正確にマッチングさせることを目的としています。

総合/人気/効果総合指数はもちろん、世代や都市ごとのランキング、Weiboや小红书などのSNS上でのモニタリング、7大消費財の人気商品トップ3などを見ることができ、さっと人気を確認したいときにとても便利なツールです。

全国のランキングを見ると、一位は「余文乐」となっていますが、都市別で見てみるとややランキングに変動があり、広州は全国と近いラインナップになってますが、上海は全国とやや異なったランキングになっていることが分かります。

2020年10月-12月の総合ランキング。
引用:星数 -https://www.cbndata.com/star-rank/ranks/city?selected_id=250&city=shanghai

上海と广州の比較。総合ランキングと見比べると、上海が全国と少し異なる状況であることがわかる。

上海一位の「王一博」と全国一位の「余文乐」の個人データを比べてみると、余文乐は安定した人気のタレントで国民的人気があるのが推察されるのに対し、王一博はやや特徴あるグラフをしており、2018年頃になにかブレイクする出来事があったこと、かなり熱狂的なファンを有するタレントなのではないか?ということが推察されます。

2020年10月-12月の総合ランキング一位の「余文乐」個人評価。人気は8位だが、購買をもたらす効果は2位。
タレント消費指数もほぼ安定しており、トレンドグラフ(趋势图)も数年ほぼ横ばい。

2020年10月-12月の総合ランキング三位の「王一博」個人評価。人気は1位だが、購買をもたらす効果は3位。
タレントと同じものを買う率(明星消费转化率)と群衆購買率への影響(影响人群购买率)が低いが、その他が特化してること、トレンドグラフ(趋势图)から近年熱狂的なファンがついたタレントではないか?と推察できる。

また、定期的に記事を出しており、時間がない人は記事を読むだけでもざっくりトレンドが分かるようになっています。2020年4Qのまとめ記事では、年代別の推移、新しく台頭してきたタレントなどを紹介しています。
先ほどの全国一位の「余文乐」は80年代に人気ですが、90、00年代ではTOP10には入っていません。このことからも流行タレントではないことが推察されます。

引用:明星最新带货排名揭晓:比杨幂还带货的80后女星是谁?-
https://www.cbndata.com/star-rank/information/131760

2020年は『乘风破浪的姐姐』という番組が大ヒットし、ユーザー調査でもよく耳にする一年でした。出演していた万茜、张雨绮、宁静、金晨などがランク上昇していますが、特に金晨が躍進し90年代でもTOP10入りしているのはもちろん、代言人契約数が急増していることや、「up主(配信者)」として躍進を遂げた王霏霏はRituals、VEROMODA、HomeFacialPro(HFP)、斯凯奇の代言人となり、そのうちHFPの化粧水が最も人気のある美容製品となり、美容部門でトップ1の座を獲得したことなどが紹介されています。ちなみに王霏霏は『乘风破浪的姐姐2』に出演しており、今年も目が離せない番組となりそうです。

他にも星数では出演作の流行具合や、有料でタオバオ系列での売り上げ力なども確認することが可能です。このように、三ヶ月単位で詳しくランキングや数値が確認できるため、ざっくり確認するにはとても適したツールだと思います。

一日3票の結果が毎日反映される「明星权力榜」

「明星权力榜」は、投票による人気を毎日部門ごとに可視化するサービスです。

一般の人は1日1人1部門につき1票、1部門につき3人のアーティストまで投票でき、毎日ランキングが変わっていく日本でいうAKB投票システムを毎日行っているような感じです。

投票には実名認証が必要なため、このシステムではお金を大量につぎ込めば推しているタレントを上位にあげるということはできず(もちろん人を大量に雇えば別ですが)、有名だけど人気がないタレントは上位に来ることは出来ない仕組みになっています。

また、年末の累計投票数上位20組のアーティストを対象に、各カテゴリーリストの累計投票数が最も多かったアーティストに「年間人気賞」、各カテゴリーリストの累計投票数が最も多かったアーティストに「年間人気賞」を授与されます。

直近2020年のTOP20は以下のような感じでした。

先ほどご紹介した「星数」とは異なり、ファンが頑張って推しタレントをスターダムにあげたランキングということでランキングの中身ももちろん異なりますが、ファンの熱量が全く異なります。

星数全国ランキング1位だった余文乐は明星权力榜TOP20に入っていません。このことからも余文乐は熱狂は少し冷めており、すでに殿堂入りしたような国民的タレントなのではないか?ということが考えられます。逆に王一博はこちらでもTOP3に入っており、今かなり熱量が高いファンを抱えるタレントだと推察されます。

このランキングは熱量が高いファンが多いほど上位に食い込む、と考えると铁粉(ガチファン)疯狂粉(病的なファン)脑残粉(やらかしファン)を抱えているタレントほど上位に来ると考えることも出来るかもしれません。例えば1位の「肖戦」を見てみましょう。

明星权力榜TOP1の肖戦

肖戦は中国重慶市出身の俳優兼歌手で、「燃烧吧,少年」という一般公募のオーディション番組から芸能界入り、9人組の男性アイドルグループ「x玖少年団」のリードボーカルとして2016年デビュー。中国時代劇ファンタジードラマ「陈情令」で広く注目を集め、その他代表作には「诛仙I」、「狼殿下」などがあります。2019年Forbes中国アンダー30エリートリストに選出され、2020年にはシングル「光点」をリリースし、発売から24時間以内の売り上げが2,548万枚を記録し、最もセールススピードの速いデジタルシングルとしてギネス記録に認定されました。

ここまでだとすごいタレントだなぁ、というくらいの感想だと思うのですが、熱狂的ファンがいそうだなとおもうエピソードがいくつかあります。

・彼をスターダムにあげた「陈情令」。実はカップルを演じた肖戦と王一博で「博君一肖」というカップル名で呼ばれ、本当に付き合っていると囁かれている。

・「光点」はさらに2020年10月上旬までの売上総額が1億3000万元(約20億円)を突破。特に彼の誕生日(10月)にお祝い課金するファンが多く、5万枚以上を購入したファンもいた模様。

・二次創作サイトで博君一肖の作品が上がっていたところ、その作品を快く思わないファンたちがその二次創作サイトを閉鎖に追い込んだため、二次創作サイトを使用していた博君一肖とは関係ない人たちがカウンターとして肖戦が代言人している商品は不買運動するなどし、大騒動に発展。彼自身も代言人をキャンセルされたりなど被害を被ることに。

このように熱量が高いタレントにはマイナスにも振れてしまう面があり、「粉丝行为,偶像买单(ファンの行動がアイドルの責任になる)」という言葉が肖戦ファンには付きまといます。

明星权力榜TOP5、7の朴灿烈边伯贤

TOP5、7の朴灿烈と边伯贤は2012年に韓国で結成されたEXOという中国人と韓国人の男性アイドルグループのメンバー(両名は韓国人メンバー)。日本でも人気のあるBoA、東方神起、少女時代らの後輩にあたります。

2013年に発売された『Growl』はアメリカビルボード誌の「Best K-Pop Songs of 2013」で1位に選出され「K-POPの中でも特に注目すべきアーティスト」となりました。

結成当時12人でしたが、2014年に鹿晗と吴亦凡、2015年に黄子韜などの中国人メンバーが脱退し、現在は9人で活動しているようです。

先ほどの星数に戻って総合ランキングを見ると、朴灿烈と边伯贤はどちらもTOP100にランクインしておらず、逆に吴亦凡は総合8位になっています。

海外女性ランキング1位2位の世界的に有名なIUやLISAも星数のTOP100にはいませんが、彼女らの票数が大体50万弱というのを見る限り、朴灿烈と边伯贤の票数が人気や実力から大きくかけ離れているのでは?と考えられます。

韓国でも中国でも有名なIUやLISAが30-40万票に対し、朴灿烈と边伯贤は500-600万票を獲得している。
男性3位の吴世勋もEXOのメンバーだが70万票と急に桁が変わる。

少し調べてみると、どうやら朴灿烈と边伯贤は付き合っていると思っているファンがいるようです。先ほどの「博君一肖」と同じく、男性カップル推しファンのエネルギーが中国は絶大なようです。上記の内容と全体のランキングを星数と照らし合わせて鑑みるに、明星权力榜の主ユーザーは90、00年代の女性ではないか?と推察されます。そうするとTOP7位まで全員男性だという事実も納得できるランキングかと思います。

このようなタレントととてもイメージが合うブランドがあれば、これ以上ないプロモーションとなるランキングでもあるかと思われます。

タレントの購買力を見る「星数」と熱狂ファン度を見る「明星权力榜」を掛け合わせて使うことにより、ファンの熱度、全国に受け入れられている度合いなどが推察され、プロモーションや代言人の提案にぴったりなツールになるかと思います。

中国はエンタメ業界は近年オーディション番組も多いことからかなり流行の移り変わりが激しいです。このようなツールを駆使して最適なプロモーションや代言人選びの一助になれれば幸いです。