2021.01.29

ショッピングアプリ「タオバオ特価版」 のご紹介

みなさんこんにちは、フロントエンジニアの劉です。

アリババ傘下のタオバオ(淘宝)をご存知の方も多いと思いますが、タオバオは中国最大のECショッピングプラットフォームとして、その名を知らない人はいないほど有名です。今回は「タオバオ特価版」というショッピングアプリをご紹介いたします。皆様の中国マーケティング活動に少しでもお役に立てればと思います。

「タオバオ特価版」誕生のきっかけ

タオバオ特価版が生まれたきっかけについて、低価格で商品を売りにしているECサイト「拼多多」「ピンドゥオドゥオ」抜きでは語れません。

(出典:Baidu画像)

「拼多多」は20159月に設立され、低価格商品を売りにしており、ウィチャットのソーシャルネットワークの共同購入モデルを活用しているネットショッピングプラットフォームです。(Ps:ウィチャットは中国ソーシャルネットユーザーが最も多いアプリで、そのパブリッシャーのテンセントは拼多多の株主でもあり、提携関係にあります)

拼多多の創設者コリン・ファン(黄峥)の情報によると、早くも2016年に拼多多の月間平均GMV(流通取引総額)は20億元(約322億円)に達したと話しています。2017年になると、100億元(約1610億円)にまで増加したそうです。その当時、この数値はタオバオの4分の1にも届かなかったが、拼多多の急成長ぶりはアリババに危機感をもたらしていました。それがきっかけとなり、アリババは2018年3月15日に「タオバオ特価版」を正式にリリースし、拼多多のライバルになりました。

(出典:Baidu画像。左がタオバオ特価版 、右が拼多多)

「タオバオ特価版」と「タオバオ」の違いはなにか

(出典:Baidu画像)

まず、タオバオの運営ロジックは「十人十色」であり、ユーザーが閲覧する商品情報をもとに情報取集し、商品を推薦するモデルです。ユーザーにできるだけ長く滞在してもらい、取引を成立させてきましたが、やがて低価格ヒット商品を売りにした時代が終焉し、アクセス数も集めにくくなりました。タオバオのコア価値観も、「安物」レッテルが貼られているイメージからの脱出を試み、最適な価格で最適なユーザーに商品を提供するようになりました。

「タオバオ特価版」の誕生はその名の通り、低価格戦略で拼多多のライバルになり、「拼多多」と同様にC2M戦略(Customer-to-Manufactory=顧客とメーカーを直接繋ぐ)を打ち出しました。これは産業のインターネットと呼ばれる新たなビジネスモデルであり、「短路経済」(流通経路の短縮化)とも呼ばれています。これまで流通における中間業者や中間流通コストを大幅に削減することによって、コストダウンを実現しました。

(出典:Baidu画像)

タオバオ特価版の特徴はなにか

タオバオ特価版アプリを開けてみると、その画面は驚くほどデザインがシンプルです。トップページの1番上のコンテンツには「課金センター」、「激安スーパー」「大特価・在庫一掃セール」、「サインアップして宝ゲット」の五つのアイコンしか表示されておらず、以前タオバオを大ヒットさせた「9.9元の商品でも送料込み」のキャンペーンコーナーも2番目のコンテンツにシフトされています。

その中でも、「大特価・在庫一掃セール」というのは大変興味深いセクターです。

”安物買いの銭失い”ということわざにもあるように、 値段が安いものは品質が悪いので、値段が安い商品に対して不安を抱えている消費者が多いのではないでしょうか。「タオバオ特価版」の売り方を覗いてみると、消費期限が近い或いは欠陥品を「大特価・在庫一掃セール」コーナーの「期限間近&訳あり商品」カテゴリーに配置し、全ての商品に「期限間近」や「訳あり」と表記してあります。

これはスーパーマーケットでよく見かける消費期限が迫った商品の特価販売や値引きに似ていますね。

全体的に見て、「タオバオ特価版」のリリースは、タオバオを離脱し、「拼多多」に流れていったユーザーの復帰を促すための施策だと考えられます。

これは「拼多多」に対応した取り組みであり、ユーザー獲得するための重要な手段でもあります。

以上、「タオバオ特価版」に関する紹介でした。皆様の中国マーケティング活動、中国消費市場を知る手がかりとしてご参考になれば幸いです。ご質問などございましたら、ぜひお気軽にお声掛けください。お待ちしております。