今中国で話題のAcid Graphics(アシッド・グラフィックス)とは?
最近では、中国の若年層がよく集まるオフラインスポットやオンランコミュニティで、以下のような視覚的デザインをよく目にするようになりました。

詳細は以下をご覧ください:
・ 摩登天空(Modern Sky,独立系レーベル)傘下の視覚クリエィティブブランドMVMと北京朝陽ジョイシティが共同構築したトレンディなテーマタウン「UNI_JOY」の宣伝ポスター。
・ 人気火鍋店―牛骨頭火鍋(浪吧牛)の宣伝ポスター。
・ テンセントビデオがプロヂュース、スプライトがスポンサー協賛するバラエティー、ミュージカルオーディション 「WE ARE BLAZING」の宣伝ポスター。
・ 字节跳动(バイトダンス)技術学院によって開催されたフロントエンドエンジニアコンテスト「HACKATHON」の宣伝ポスター。
このような視覚的なデザインスタイルは「アシッドグラフィック(酸性設計)」と呼ばれています。パワフルなビジュアル効果を実現していますが、パッと見て、何を訴えかけているのかしっくりこないところが特徴だと言えるでしょう。
アシッドグラフィックとはどんなデザイン?
「アシッド(酸)」とは味覚でいう「酸っぱい」ではなく、1960年代欧米発祥のアシッドグラフィックは一種の「情緒」なのです。

アシッド(酸)は昔LSD(リゼルギン酸ジエチルアミドLysergic acid diethylamide)と呼ばれる非常に強烈な作用を持つ幻覚剤であり、人に幻覚作用をもたらします。
また、人間の想像力と現実の衝撃によって生み出された驚異と神秘的な、幻想的な世界に導いてくれます。LSDが氾濫するにつれ、その影響の下、多くの人が幻覚奇妙な世界を「体験」したようです。ある人はその世界の様子を記録するようになり、主観的に感じたことをそのまま表現しようとしたのです。Acid Rock(アシッドロック)、Acid Techno(アシッドテクノ)、そして今日話題のAcid Graphic(アシッドグラフィック)もその成果物です。
これらの作品を醜いと感じている方も多くいらっしゃるかもしれませんが、そのクリエイト手法や創作目標、ターゲットユーザーを研究してみると、意図的にデザインされた、自分たちの美学的視点を持っている作品であることに気づくのでしょう。しかも、化学的刺激がなくてもその美しさを堪能できるでしょう。
アシッドグラフィックはレトロと未来の融合だと言えます。時空にまたがり、今をぶち壊し、強烈的な幻想とそのギャップは、現代主流である“ミニマリズム”と正反対の方向に進んでいます。
アシッドグラフィックにはどのような特徴があるのか?
アシッドグラフィックがもたらす衝撃力とレイヤー感には、次のような要素があります。
■ メタル質感
トライアル的メタルの質感と懐かしさ溢れるレインボートーンの組み合わせは、リキッドメタルの流れるような質感を演出します。灰色のライトカラーに溢れる強烈なコントラストは、一目見ただけで、幻想的な未来へつなぐ渦巻きに吸い込まれてしまいそうになります。
■ 飽和感と反射による質感
メタルガラスは独特な視覚エフェクトを創り出します;
ダークトーンをメインに、蛍光色で全体にアクセントをつけます;
レーザースペクトル効果を組み合わせると、幻想的で煌びやか、不思議な体験をさせてくれます。耳まで引き込まれてしまうような強大なリズム感は、まるで異次元空間へ迷い込んだかと思うほど不思議な感覚にさせられます。
■ 尖っているフォントデザイン
鋭く尖ったエッジライン、ゴシックやレトロなデザインは、強酸で腐蝕が進んだ金属のようで、危機感と刺激感を訴えています。

アシッドグラフィックはどんなデザインに応用できる?
アシッドグラフィックは伝統的な美学の定義にチャレンジし続けており、クリエイティブに新たな生命力を賦与しています。アシッドグラフィックはビジネスにも応用できます。例えば、音楽シーン、映画シーン、ゲーム、デジタル分野など、または個性的で新しい潮流を引率するブランドにも適用可能です。アシッドグラフィックは視覚属性が比較的強く、情報伝達の面において発信力はやや弱いため、セールスタイプのポスターよりもブランドトーンの表現等にふさわしいでしょう。
消費文化が高度成長する時代において、若年層をターゲットにしたマーケティングの主戦場に、テンセントはその舵取り役として、ジェネレーションZの文化トレンド情報や社会潮流の洞察に力を注いできました。2020年に開催されたイベントQQJOY*は、「大胆な潮流」をテーマに、全国で初の「ワンストップ潮流+異次元文化体験館」を打ち出しました。ISUX*はそのデザインプロセスを細かく分析しています。
*QQJOY:テンセントによって開催されたペンギンアニメカーニバル
*ISUX:テンセントの顧客体験設計、コミュニティデザイン
デザインコンセプトから最終的な効果まで、どこからでも感じられる「未来感」、「創造」、「潮流文化」こそが、若者たちに大いに歓迎される要素なのです。話によると、館内は超満員でイベント入場者数は1万人以上、メディア接触、メディア露出件数は10億近くあったそうです。

最後に
このように、デジタルアートは真新しい姿を披露し、自由自在なスタイルを楽しみながら個性的な設計態度で臨むアシッドグラフィックはアクティブになりつつあります。そして、あなたの暮らしの中にもひそかに登場するかもしれません。
これは新しい時代における「パンク精神」であり、主流とされてきたミニマリストにチャレンジし、美しい整ったデザインとは違い、新悦な色彩と幻想的で煌びやかさを五感で体験ができます。そして、人々は若さと無限の可能性に満ちた「未来」を発見できるでしょう。
アシッドグラフィックもやがていつかは他のデザインスタイルに代替されてしまうかもしれません、だからこそ今なのです。アシッドの波に身をまかせ、その魅力を思う存分に楽しんでいただきたい!過去と未来の融合、時代を生きる若者たちの視覚の盛典をぜひご堪能ください。