2021.11.29

マーケティングで求められる「人間理解」スキルアップのために必要なこと

お久しぶりです、インターン生の辻です。前回の記事では日本と中国のファネル構造の違いとそれを理解する重要性について記事を書かせていただきました。
今回はそのファネル構造の違いを生み出す顧客の心理や文化の違いを理解すること(人間理解)をテーマとした記事になります。

インタビュー

a.マーケティングの定義について
辻:それではインタビューを始めていきたいと思います、よろしくお願いします!では、早速なんですが前回の記事のおさらいも兼ねて、マーケティング・ブランディングとは何かを伺いたいのですが、川崎さんよろしいでしょうか?

川崎さん:逆に辻君的にはどんなイメージ?

辻:そうですね、、、僕としては商品やサービスの市場を形成することから、その市場の中で自社の商品やサービスが売れるように認知の獲得をすることまでが広くマーケティングに該当すると思っています!

川崎さん:そうだね、外れてないと思うよ。まぁ色んな人が色んな定義を言ってると思うけど、伝統的に言われる定義だと、「モノを直接売りに行かなくても勝手に売れるようにする仕組みを作ること」だね。

辻:ありがとうございます!

b.ブランディングの定義について
辻:続いてなんですけど、ブランドの定義についても伺ってもよろしいでしょうか?
川崎:ブランドって実物ではないよね、けれどそのモノにそれ以上の価値を与えるものがブランドかな。そしてそれがどこで生まれているかと言うと、人の頭の中、意識の中に生まれているんだよね。例えばAppleって言われたら「かっこいい」とか「クリエイティブ」とかって感じる人が多いと思うんだけど、そういうイメージを意図的に作り上げていくのがブランディング、という仕事かな。

辻:なるほど、ありがとうございます!

c.人間理解とマーケティング・ブランディングの関係について
辻:それでは次の質問なんですが、マーケティングやブランディングにおいて人間理解が重要だよね、という話を以前伺ったのですが、なぜ重要かを改めて説明していただいても良いですか?

川崎:うん、さっき言った通り、ブランドって消費者の意識の中に生まれるんだけど、それを解剖して見たりはできないよね?笑
だからそれを見抜く洞察力みたいなものが必要なんだよね。でその洞察力っていうのは人を理解すること(人間理解)だと思う。

辻:なるほど、ありがとうございます。

d.具体的に人間理解とは?
辻:では人間理解についてもう少し詳しく伺いたいんですが、具体的にどういうことができれば人間理解ができていると言えるんですかね?

川崎:そうだねーこれもよく言われる例なんだけど、誕生日に相手に対して何をプレゼントすれば喜んでくれるかがわかるとか、だね。あとは、もっと日常的な話だと、何をすると相手が腹が立つことがわかる、とかかな。

辻:確かに、怒るってことはその人にとって重要なことな可能性が高そうですよね。

川崎:そうそう、怒るってことはその人にとって大事な何かが損なわれたってことだから、そのポイントを分かってるってことは相手のことをよく理解しているってことになるよね。だから人を意図的に怒らせるのが上手い人とかはめちゃくちゃ人間理解が上手かもね。笑

辻:なるほど、笑。ありがとうございます。笑

e.人間理解がマーケティング・ブランディングに活きた事例
辻:続いて、人間理解が具体的にマーケティングにお仕事の中で活きた事例などがあれば教えていただきたのですが何かありますか?

川崎:大きくは2パターンあって、一つは①商品コンセプトやターゲット総などのブランドの方向性に関わるような(上流の)場面で活きる場合、もう一つは②実際にクリエイティブなどを作る(下流の)場面で、微妙なトーンや表現に反映されて活きる場合だね。
マーケティングとかブランディングを施策に落としていくとプロモーションを行っていくことになる。多くの場合、コンセプト及びコアアイデアを決めて、それをベースに施策を組み立てていくんだよね。で、そのコアアイデアは、ターゲットのインサイトから導き出すとターゲットに刺さるものになりやすい。インサイトというのは、普段口に出したり、意識はしていないけど、人から言われてみると心が動いたり、行動がかわっていくものごとのこと。

辻:なるほど、なるほど。

川崎:例えば昔の紙おむつ商品についてこんな事例を聞いたことがある。昔、日本である海外ブランドの紙おむつがすごいシェアをとっていて、日本のブランドがそれを覆そうとしていた。そのために、消費者にアンケートをしたり、実際にテスト品を使ってもらったりした。そしたら機能性や使い心地では自分達の商品が明らかに勝ってる。でも、海外ブランドの優位性は全く変わらない。。。で、ある時インタビューをきっかけに大きく変わるきっかけが見つかった。それは海外ブランドのユーザーさんがそのブランドに感じていた価値は「海外ブランドの方はスリムで有名。で、スリムなおむつの方が子供のお尻がきれいに見える(野暮ったく見えない)」という価値だったんだよね。子育てするママさんにとって、公園デビューって昔よく言われたと思うけど、その時に子供のお尻がスマートに見えた方が見栄えが良いから薄めの紙おむつを選んでるんじゃないかって仮説が見えてくるよね。で、そういったインサイトをベースにあれば、どういうコンセプトが良いのか、どうやってコミュニケーションすれば良いのかが見えてきやすい、っていうお話。

辻:なるほど、意外な理由ですね!

川崎:そうそう、普通に考えたら、商品の機能がどう良いとか、そういうポイントにフォーカスしちゃいがちだけど、消費者のホンネとしては全然違うところにあった。そういうことを見抜ける人間理解力があると適切なマーケティングを行えるんだよね。

辻:なるほど、けっこう日常的な気づきが事業レベルで影響を与えたりするんですね、すごい、、、

川崎:もう1つのクリエイティブへの活かし方についても同様で、例えば同じ「肌に良いおむつ」という特徴やベネフィットをクリエイティブで表現する場合でも、その背後にあるインサイト、ニーズによって表現方法は変わってくるよね。

辻:確かに、キャッチコピーもビジュアルも変わりそうです!

川崎:もう少し微妙な差異に関してもあてはまる。例えば、ターゲットは「明るい元気な子」です。って言われたらどういう人が思いつく?

辻:なんとなく、ジャンプの漫画に出てくる主人公のような。。。

川崎:うんうん、そうだよね。でも、元気にもたくさんあるよね。実は暗い性格で、毎日を明るく過ごそうと必死になってる「明るい元気な子」もいれば、もともと性格的に社交的であんまり細かいことに気にしないような「明るい元気な子」もいる。多くの場合、それぞれのタイプに対して響くキャッチコピーやイメージは変わってくるはずだよね。

辻:言われてみればそうですね!同じように見えても、考えてることや好きな雰囲気は全く変わりそうです!

f.人間理解をスキルを高める方法とは?
辻:ここまでで人間理解のスキルの重要性を理解したのですが、ところでこのスキルはどうやって身に付ければ良いのでしょうか?

川崎:そうね、これはけっこう悩みどころなんだけど、まず才能によるところはあるかもしれない。笑

辻:へぇ~そうなんですね?!

川崎:でも世の中のマーケターの方たちはみんな実践されているから、スキルとして身につけれるとは思う。で、それは仕事を通して、というより普段の生活の中で身につく方が大きいと思う。

辻:あぁ~そうなんですね!

川崎:うん、普段から自分とは違う立場の色んな人と交流があって、多様な意見・考え触れる機会が多いと、様々な視点が得られると思う。さらにそれを自分の中にも見出せるとより理解が深まる気がする。結局、人の気持ちや意識って、違うように見えて、みんな共通するものがあると思う。例えば、人より良い生活をしたい、とか、誰かの注目を得たい、、、とかそういうもの。そういうことを自分自身と対話できるようになると人間理解が進むと思う。ごめんね、なんか抽象的で。笑

辻:いえいえ笑つまり完全に事象として捉える、というよりは自分の感覚として理解できるか、その経験を多く積めるか、っていう感じなんですかね?

川崎:うんうん、自分はそういう感じで理解してるかな。だから調査とかしてて、すぐ自分の知り合いにあてはめて理解したりとかするんだよね。例えばあーこれ高校の時の同級生の○○君っぽいなとかね笑。そうすることで、急に腹落ちしたりすることも多い。

辻:あーなるほど!それは面白いですね!質問は以上になります、川崎さん、インタビューに回答いただきありがとうございました!

まとめ

以上がインターン生によるインタビューとなります、今回の重要な部分を最後に僕なりにかみ砕いて見たいと思います。
1、マーケティング・ブランディングの重要な特徴として、ブランドや製品のイメージは消費者の頭の中(意識の中)に作られる
2、この一見中身の見えない頭の中に意図的にブランドイメージを作るためには、消費者の頭の中を想像したり、見抜くための洞察力が必要
3、この洞察力は他者は理解する、「人間理解」の能力に依存する
4、よってマーケティング・ブランディングにおいて、「人間理解」の能力は重要である
5、この「人間理解」のスキルを磨くためには、他者の日々の言動や社会の出来事に関心を持ち、それらについて深く考えることを癖付けると良い

いかがでしたでしょうか?僕自身、今回のインタビューを通じて日々触れる情報に対してもう少し思考を巡らせる時間を多くしたいなと感じました。ニュースやSNSなど、現代人は触れる情報量自体は過去に比べて増えていると思いますが、逆に一つ一つの情報に対して割く時間は短くなり、洞察力は薄まってしまっている、なんてこともあるかもしれませんね?

今回の記事は以上となります、最後までお付き合いいただいた読者の皆様、ありがとうございました!何か皆様の役に立てば幸いです。