2019.07.15

スターを育てるには?

balconia Shanghai総経理の久保山です。少し昔話を。インターネットの黎明期のこと。私が最初に入社したのはデジタルのエージェンシー。私が最も尊敬する経営者がずっと語っていて私が大好きなメッセージがあります。「新しい時代が来るとき必ずスタープレイヤーが生まれる。音楽ならつんくさん、ビジネスなら大前研一さん、デジタルにはまだそれがいない。その人を輩出する企業を作りたい」

私たちは今、世界経済の中心が欧米からどんどんアジアに移ってきている、稀有な時代に生きています。この時代の変化の中で、balconia Shanghaiは上海で時代を切り取るスターチームを輩出したい、と思っています。そのために大切にしていることを今日はお話します。

Good jobほど有害なものはない

セッションという映画ご覧になったことがありますか?音楽大学のジャズドラマーの主人公と指導者のお話です。その中のエピソードで私が好きなシーンがあります。(軽度のネタバレなので見たくなかったら1つ見出しを飛ばしてください)

その指導者はどうみてもパワハラだろっていうコミュニケーションで、ときには暴力をふるいながら、ジャズドラマーをどんどん追い詰めます。詳しくは見てほしいのですが、本当にひどい仕打ちで攻撃するんです。

で、ストーリーではいろんなことが起こるのですが、なぜそんなに攻撃するのかを指導者が説明するシーンがあるんです。

彼が言うのはGood Jobほど有害なものはない、というメッセージです。チャーリー・パーカーはなぜバードと呼ばれたのか。それは、イケてない演奏をした時にドラマーからシンバルを投げつけられたからだ、と。そこで彼は死ぬほど練習して1年後、誰も聞いたことのない最高のアドリブをかましたんだ、と。この世の中で有害な言葉はGood jobという2文字だ。これを言ってたらバードは存在しなかった。というわけです。

私がここで強調したいのはそうしたパワハラが素晴らしい、ということではなくてですね。スターと、普通の人は、全く違う育て方が必要だ、ということです。

スターを育てるのは手が届かないような「チャレンジ」

本当に能力のある人は実は簡単にGood Jobをもらうことができます。しかしそれはその人のポテンシャルを大きく毀損している、ということでもあります。本当はもっと高く飛べるポテンシャルがあっても、実力の50%ぐらいの力で他の人よりも200%も高いレベルの仕事ができてしまうからです。その人はいつか、自分と同じような力を持っていた人が厳しい環境で自分よりも遥かにレベルの高いところを飛んでいたら、その時に初めて自分の甘さに気がつくのです。

ポテンシャルのあるスターに必要なのは何でしょう? 私は手が届かなくて不安になるようなチャレンジだと思っています。確かにセッションではパワハラなコミュニケーションでしたが、現実のビジネスではやったことのない高いレベルの仕事にチャレンジすれば、本気以上の力を求められることなんてざらですよね。

だから、私たちは自分に本気で取り組んでもうまくいくかわからないような仕事にどんどんチャレンジしなければいけません。

// もちろん、そのためには、総経理の私が一番難しいチャレンジをし続けなければいけないです。

チャレンジを作るのは精神的な安全性

チャレンジを作るのに必要なのは、精神的に安心できる空気です。これはGoogleの提唱する精神的な安全性で有名になったと思うのですが、私はスラムダンクから1つ挙げたいエピソードがあります。

三井という3ポイントシューターが出てくるんですけど。彼昔は天才3ポイントシューターと呼ばれていたのですが、その後グレちゃって、タバコばっかり吸ってて体力なくなっちゃったんですね。

で、すごい大切な試合で3ポイントが期待される時にもうバテバテで倒れそうになっちゃう。なんだけど、パスをもらうとシュート打ち続けるんですよ。ミスりそうなのに!で、それはなぜかというと桜木という選手がリバウンド取りまくってくれるからなんです。失敗してもあいつが拾ってくれるという安心感があるから思いっきりチャレンジするんです。

同じことは必ず組織にあって。こんな発言したら怒られちゃうんじゃないかな?こんな格好で会社に行ったらみんなに笑われちゃうかな?みたいな小さなことが気になってるような組織からチャレンジをし続けるスターは生まれないのです。

厳しさと優しさの両立

balconia は今ある価値観を疑おう、をコンセプトにした会社です。今ある価値観を疑うようなイノベーティブな仕事には必ずチャレンジが必要で。チャレンジには必ず自分が少しはみ出してもOKという組織への信頼感が先にあるべきなんです。

だから、「あそび」はとても大切にしているし、猫のそらちゃんを撫でている時間だって営業時間で構わない、ということなんですね。

一見すると矛盾しているけど。難しいことにチャレンジする、という厳しさと、「違い」を許容する優しさのどちらも両立することが私たちの哲学です。スターチームはきっとこんな組織から生まれると信じているわけですね。

そんなチームがもし肌に合いそうな方がいらっしゃいましたらぜひ一緒にスターチーム作りましょう。たぶん楽しいよ。

久保山