2026.11.02

スマホケースからホットドッグカーまで、趙露思のRDDはなぜ同じブランドだと感じさせるのか?

まず、一見すると何の関係もなさそうなものを挙げてみます。スマートフォンケース、タンブラー、帽子、バッグ、フレグランス、スーツケース、4コマ写真のフォトブース、ホットドッグカー、ポップアップスペース、そしてAIグラスです。利用シーンも購入理由も、さらには製品に求められる性能や技術力まで大きく異なり、従来の一つのカテゴリーには収まりそうにありません。それなのに、今ではすべて同じブランドのものです。

このブランドはRDDといい、中国本土の俳優・歌手、趙露思が設立しました。彼女はドラマや映画、ポップスで中国国内ではよく知られています。RDDは彼女の2匹のダックスフント、Doeと点点をブランドシンボルにし、自らをペットフレンドリーなライフスタイルブランドとして位置づけています。このリストだけを見ると、おそらく、これもまたスターの知名度に乗じて次々と新商品を出すブランドだと思うでしょう。しかし視点を変えると、このブランドは別の道を歩んでいます。特定のカテゴリーを軸に外へ広げるのではなく、日常生活に入り込めるタッチポイントをあちこちで探しているのです。

趙露思と、ブランドの中心的なシンボルである2匹のダックスフント、Doeと点点(画像出典:ROSYDOEDIANブランド公式)

ただし、タッチポイントが増えることは、ブランドの世界観が成立することと同じではありません。

カテゴリー拡大ではないのなら、何を拡大しているのか

まず、私たちにとってなじみ深いパターンから見ていきます。従来のカテゴリー拡張には、たいてい理解しやすい道筋があります。ペット用品ブランドは、リードから食器、ウェア、外出用品へと広げられます。バッグやスーツケースのブランドも、サイズや使用シーンに沿ってラインアップを広げ続けられます。消費者は既存商品から新商品を推測でき、ブランドが積み上げてきたサプライチェーンや、機能面での認知、販路のノウハウも活かしやすくなります。

RDDが歩んでいる道は、それほど整然とはしていません。

その広がりはおおよそ次のとおりです。ペット用品は、ブランドとDoe、点点との関係が最も直接的に表れる部分です。スマートフォンケース、タンブラー、帽子、バッグ、フレグランス、スーツケースは、身につける場面、外出の場面、家で過ごす場面に入っていきます。4コマ写真のフォトブース、ホットドッグカー、ポップアップスペースは、形のある商品を越えて、足を運び、撮影し、シェアできるオフライン体験へと向かいます。AIグラスはさらに、境界をスマートウェアラブルまで押し広げます。

そのため、「ペットブランドが関連グッズを増やしている」というだけでは、RDDを説明するのは難しいでしょう。RDDが拡張しているように見えるのは、ある特定のカテゴリーではなく、消費者が一日のうちにブランドに接する可能性のあるさまざまなタッチポイントです。スマートフォンを手に取る、水を飲む、外出する、旅行する、写真を撮る、あるいはオフラインの空間に足を踏み入れる、といったことです。

RDDの一部製品:タンブラーとスーツケース(画像出典:ROSYDOEDIANブランド公式)

RDDの北京1号店について、オープン初月の売上高が約300万元、Douyin(中国版TikTok)での単品月間売上高が数百万元という話は、現時点ではブランドの自己申告や二次情報の投稿に由来するもので、独立した確認が取れていません。これらの数字は、ブランドがどのような成長ぶりを伝えたいのかを示すかもしれませんが、カテゴリーをまたぐ各商品がすでに安定した需要を形成していることを証明するには十分ではありません。

それらを結びつけているのは、2匹のダックスフント?

答えは今のところ、2つのものに行き着きます。もしカテゴリーがこれらの製品をつなぐ共通の手がかりではないのなら、ひとまずそれらを一つにまとめているのは、趙露思の美意識の体系、そしてDoeと点点が表す人とペットの関係です。

まず、この2匹の犬についてです。2匹のダックスフントは、後から商品に貼り付けられたキャラクターではありません。趙露思が実際に飼っているペットで、RDDのブランドIPでもあります。この関係性により、RDDはペット用品を出発点としながらも、「ペットのために何を生産するか」にとどまる必要がありません。ペット用品は、人とペットが共に暮らす場面に直接入り込み、スマートフォンケース、帽子、スーツケースなどの商品は、利用者がDoeや点点に関わるシンボルを自分の生活に持ち込めるようにします。

北京薈聚のポップアップストア内にある、Doeと点点をモデルにしたダックスフントのIPインスタレーション(画像出典:中国商報)

ここで、話が面白くなってきました。こう見ると、RDDが増やしているのは用途の異なるアイテムだけではなく、同じ美意識と関係性が見られ、使われ、共有される機会でもあります。消費者は、ペット用品を先に買ってからスマートフォンケースでRDDを知る、とは限りません。また、ペットを飼っていなくても、ポップアップスペースに足を運んだり、ブランドのシンボルが付いた生活雑貨を使ったりすることはあります。異なる製品が、それぞれ異なるブランドへの入り口を担っている可能性があります。

ホットドッグカーは、このことを最もよく示す一例です。スマートフォンケースとはカテゴリーが近いわけではありませんが、Doeや点点が表すイメージと雰囲気をオフライン体験に持ち込むことができます。ブランドはもはや、消費者が棚の前で商品を選ぶのを待つだけではなく、立ち止まり、撮影し、シェアできる場面にも自ら入っていきます。

RDDのホットドッグカーのポップアップインスタレーション(画像出典:西安万象城の公式小紅書(RED)アカウント/搜狐(Sohu))

RDDはファンとペットを飼っている人の両方を同時にカバーし、人とペットが共用する製品を通じて2つの消費者層をつなぐことを望んでいますが、現時点では、2つの層が実際にこの想定どおりにブランドへ入ってきていることを証明するユーザー調査や販売構成はありません。Doeと点点ははっきり見分けがつく入り口になっていますが、この入り口が、趙露思個人の人気から独立したブランド認知へ持続的につながっていくかどうかは、まだ分かりません。

認識できても、買うとは限らない

しかし、結びつけられるものにも限りがあります。棚が広くなったからといって、すべての商品カテゴリーがすでに定着したわけではありません。生活のタッチポイントに沿って拡張すれば、ブランドは従来のカテゴリーの境界をひとまず越えられますが、リスクもまさにここにあります。異なるタッチポイントの背後には、多くの場合、まったく異なる消費判断があります。

理由は、ごく日常的なことです。スマートフォンケース、タンブラー、帽子を選ぶとき、消費者は外観や情緒的なつながりをより重視するかもしれません。一方、スーツケース、フレグランス、AIグラスを選ぶ際には、機能、使用習慣、技術力、アフターサービスといった要素が判断に影響します。すべての製品を同じビジュアルシステムでまとめられたとしても、それだけをもとに、消費者が同じ理由でそれらを購入すると判断することはできません。

さらに、もう一段細かな点があります。RDDは製品を一つの色と質感にそろえてはいません。多色で柄も多様で、カテゴリーごとにそれぞれ表現しています。これにより、新しいタッチポイントごとに記憶に残るポイントを作りやすくなりますが、その代償として、「ひと目で認識できること」はあの2匹のダックスフントにいっそう依存することになります。ファンにとっては、これはおそらく問題ではありません。シンボルだけで見分けがつくからです。一方、そうした前提を持たない人にとって、頼れるものは目だけです。見た目で見分けてもらうという点で、無印良品はほぼ逆の順序をたどっています。まず色、素材、形を絞り込み、そのうえでカテゴリーを加えていきます。RDDのこのやり方は、見落としというより、拡張期ならではの取捨選択に近いものです。タッチポイントがまだ少ないうちは、まず一つひとつを目に留まるものにすることが先決です。その先、棚がさらに広がり、IPの熱が落ち着いたあとも見分けてもらえるのか。それが、RDDがこれから向き合う課題です。

そのため、AIグラスはどこまで広げられるかを試す、興味深い試金石になっています。RDDの美意識を新しい日常の場面に持ち込み、ブランドが描く暮らしの世界をさらに強化する可能性がある一方で、別の問題を露呈させる可能性もあります。機能面での信頼がより強く求められる製品で、Doe、点点、統一ビジュアルは、どこまで購入を後押しする役割を担えるのでしょうか。関連する新製品がすでに正式に発売されているのか、ユーザーがすでに受け入れているのかについては、現時点で確認できる販売データやユーザーデータはありません。現段階では、さらに離れたカテゴリーへと手を伸ばす試みに近いものです。

同様の試みは海外でも行われています。RDDがバンコクでのコンサート期間中にポップアップを実施し、タイのTikTokでも展開を始めたことは、ブランドがこうしたタッチポイントを海外にも持ち込もうとしていることを示しています。ただし、テストが実施されたからといって、美意識がすでに海外市場に定着したわけではありません。コンサート期間中の注目、趙露思個人の影響力、RDD自身のブランドの魅力は、現時点では明確に切り分けることができません。

ROSYDOEDIANがバンコクに掲出した屋外広告(画像出典:ROSYDOEDIANブランド公式)

ですから、この道がうまくいくかどうかは、一つのことだけを見れば判断できます。RDDの拡張がブランド資産として定着し得るかどうかを見極めるうえで鍵となるのは、それがあとどれだけ商品を打ち出せるかではなく、消費者が異なる商品を通じて、同じ一つのことを繰り返し認識できるかどうかです。それは、「犬と一緒に暮らす」ことが、このブランドに覚えてもらいたい姿だ、ということです。

RDDが今回増やしたのは、新しいカテゴリーへの参入というより、「犬と一緒に暮らす」姿を目にしてもらえる日常の場です。スマートフォンケース、タンブラー、ホットドッグカー、ポップアップスペースは、どれもRDDを初めて知る場所になり得ます。本当に問われるのは、ここからです。趙露思本人から離れたとき、これらのタッチポイントを同じブランドのものとして見分けてもらえるかどうか。

もしあなたも、一つの商品からライフスタイルへと広げたいブランドを手がけているなら、次の問いを念頭に置いて見てください。タッチポイントを一つ増やすたびに、ブランドの軸になっている関係(RDDなら人と犬の関係)は、少しでも具体的になっているでしょうか。スマートフォンケース、ホットドッグカー、AIグラスはもちろん、同じブランドの中にあって構いません。ただ、それらの間に最後には似たビジュアルしか残らないなら、棚が広くなるほど、人に認識してもらうべきその一つのことはかえって根づきにくくなります。