2020.04.30

コロナ禍で変わるブランドマーケティングの力点

新型コロナウイルスの流行が深刻化しています。私たちもマスクを寄付するなど、できることはしていますが、もっとも大切なことは、人命を優先し、自宅で過ごすことだと思います。必死に働いている医療職の皆様をはじめ、政府関係者など、事態の収束にあたる一人ひとりに大変感謝しています。一刻も早い事態の収束を願うばかりです。

さて、他方で私たちマーケティングに関わる人々はコロナ収束後、先のことも考えていかなければなりません。今回のコロナ禍でなにが変わっていくのか。私なりに考えたことを書き留めておきたいと思います。

 

ブランドのミッションを信じきれているか

今回のコロナウイルスが流行し始めた頃、ソーシャルグッドに寄与することを多くのブランドが示しましたよね。

ニューバランスがマスクを作ってみたり。Nikeが「Play inside, Play for the world」としてStay homeの広告を出してみたり。IKEA Spainは自分の自宅があなたに語りかける、という体裁で家で過ごそう、家具を見直そう、という広告を出してみたりしました。

中国でもスターバックスがWeChat上で店舗の衛生措置を発信し、最後に「武漢一緒に頑張ろう」というメッセージを添えて発信したり。

オンラインゲーム大手のネットイースはOOHの広告枠で「この広告を見ないで。今は家にいましょう」というメッセージを発信したりしました。

※このあたりは、ゆいの記事をご参照ください。
https://www.balconia.cn/blog/donot_look_this_ad.html

打算的に言えばPR価値というふうに見えたかもしれませんが、これ経営からするとすごい勇気がいることです。なにしろ不謹慎だと炎上するかもしれないです。これを短期間で作るのも大変だったはずです。

また、経営だけではなく、社員たちが自らこのように発信したり決断したりすることは、自社に置き換えて考えても簡単にできることではありません。

こうした取り組みができた企業に共通することにブランドのミッションがはっきりしている、というのがあると思います。

以前からブランドマーケティングにおいてブランドパーパスが大切だ、ブランドミッションが大切だ、と言われてきたと思います。

今回は形になってその傾向が見えたと思います。

 

独自のファンベースを持つこと

コロナウイルス前にもともと進んでいた現象として、クラスタ化というのがあげられます。

みなさんもSNSをやっていると情報源がそこに集約する感じありませんか?Yahooのトップページからニュースを探すのではなく、SNSに流れてきたYahooニュースの記事を見て情報を知る。つまり皆さんのフォローしている方の属性によって摂取する情報が変わっていく。そのことによって皆さんの周りは似た情報を摂取する人で構成されていく。

コロナウイルスの影響で外出が自粛され、現在はマッチングサービスもオンラインデートを推奨していたりします。もちろんこの後収束を迎えたらこの傾向は変わっていくのでしょうけど、一定程度定着していくと思います。

スタートの起点がオンラインになっていく。ソートされた状態からスタートすれば、よりこのクラスタ化の状況は加速すると考えられます。

ブランドはそうした一つ一つのクラスタにどれだけ入っていけるのか、が大切になってくるのです。だから、独自の大きなクラスタを形成できるブランドは今後強くなっていくと考えられます。

 

インターナルブランディングの重要性が高まる

ひとつめのトピックとも関わるのですが社員発信でブランドを代弁しなければいけないシーンはこれまでよりも増えてくると思います。

さらに、今後リモートワークも進み、社員がいつも同じ場所にいる、ということはむしろ稀になっていくと考えられます。

そのときに大切なのは、リモートにいる社員でありながら、同じ文化ベースを形成できている、ことです。

ブランドの考える哲学を明確にすることはもちろんですが、それだけではなく、どのように哲学への共感度を醸成するかというテーマは重要性を増します。

ただクレドを作る、とかポスターを作る、とかそういうことではなくて、日々の目標管理のあり方だったり、コミュニケーションのあり方であったり、より具体的な業務に近いところでブランドの哲学が体現されていく必要があります。

このあたりは過去に私が書いた以下の記事をご参照ください。
ブランドのミームを意図的に作る「https://www.balconia.cn/blog/349.html」

 

おわりに

今日は3点書いてみました。コロナ禍の中で売上が落ちている企業も多いと思います。今はキャッシュの確保に必死な時期だと思います。

でも、今後回復していく時期に爆発的に売り上げを伸ばすことも別途考えなければなりません。そんなときにはぜひ上述のようなことを思い出してもらえたら嬉しいです。

私たちも戦略ワーク、いくつか先になったものもありますが、今後中国マーケットのプレゼンスが高まることはむしろ明確になっており、中国上市系のテーマのお仕事はあまり停止になっていない印象です。

私たちも今できることをお話させていただきますので、よければこの時期にお声がけいただければ幸いです。

 

久保山