2021.01.12

中国の香水市場は個性の時代となるか(前編)

日本に住んでるときは香水はほぼつけず、基本はヘアオイルか柔軟剤、もしくはつけて練香水程度でした。そんな私が中国に来てからは、日本よりも香水をつけている人が多いことが影響し、頻繁に香水をつけるようになりました。

中国の調査会社iResearch(艾瑞諮詢)が2020年11月に発表した「中国香水業界研究白書1.0」によると、51.5%が毎日、15.6%が平日毎日、29.5%が少なくとも平日3日間香水を使用していると回答しています。利用シーンは学校・職場が86.5%と最も多いですが、友人との集まりやデートなどほぼすべてのシーンで使用されているようです。


引用:2020年中国香水業界研究白皮書1.0 http://report.iresearch.cn/wx/report.aspx?id=3690

中国に来たばかりの2016年頃はそこまで盛り上がっているように感じなかった香水市場。近年の香水にまつわる事例を前編後編の二回に分けてご紹介します。
今回は前編で、中国時の香水やフレグランス市場とその伸びをけん引したブランド「Diptyque」についてです。

中国の香水事情と推移

もともと中国は御香などの文化もあり、香りとは結構縁が深い地域です。医薬品としてハーブや他の種類の植物を使用してきた長い歴史もあります。
1920年代からは特に上海で香水が優雅さや富を持つものの象徴として発展しましたが、共産主義の到来により香水などの高級品は資本主義の象徴とみなされ違法となりました。
1978年改革開放後もフレグランス市場は一旦ゼロになってしまったこと、日本と同じく控えめでフレッシュでナチュラルな香りが好まれる土壌、費用で比べるとバッグなど別のもののほうに購買意欲が掻き立てられることから、中国フレグランス市場は鈍足で立ち上がることになります。

しかし近年の経済成長や高級品商材、個性を表現するものとしてフレグランスに年々注目が集まっており、市場は年々増加を辿っています。2000年代に中国でフレグランスが最初に人気を博し始めたとき、シャネルの5番やイヴサンローランのブラックオピウムなど海外の有名香水ブランドがとても売れていました。しかし近年90年代生まれの若者の間で、高級ブランドのフレグランスは街中で多々出会う匂いと見なされ「街香」(文字通り「ストリートの香り」を意味する)と呼ばれ、ニッチな香水を好む傾向が現れています。

このように盛り上がってきているフレグランス市場は、2020年には11億3,630万ドル(1175億6727万JPY相当)に達し、市場は毎年7.1%成長すると予想されている急成長市場です。(CAGR2020-2025)。


引用:Fragrances in China Revenue in million US$ - https://www.statista.com/outlook/70050000/117/fragrances/china

高級ホームフレグランスの牽引者「Diptyque」

中国のラグジュアリー商品の消費者は、香りではなくブランド名やステータスによって香水を購入していましたが、近年、アロマキャンドルやエッセンシャルオイル、ディフューザーなどのホームフレグランス類が、長時間勤務とストレスで疲れた00年代の間で人気を博しています。その中でも、特にDiptyqueは大きな牽引者として無視できない存在です。

Diptyqueはフランスのブランドで、最近中国市場で大きな成功を収めています。フレッシュで軽く絶妙な香りのアロマキャンドルが特に中国のフレグランス愛好者に好まれています。
海外香水有名ブランドと比べるとニッチブランドでありながら、すべての家にマッチする香りの上に、上海限定版のアロマキャンドルが爆発的人気を呼び連日売り切れたため、再販されたほどでした。
中国の消費者にとって懐かしくなじみのある緑茶やオスマンサスなど伝統的な中国の素材を使用したり、中国の伝統的なデザインを取り入れたりなど、中国の消費者に敬意を払う姿勢も、中国の00年代の人気を押し上げる一つだったように思います。

2018年、中国のフレグランス市場の全体的な成長率は約25%でしたが、Diptyqueの成長率は35%を超えていたことからも人気を推し量れます。

参考:Diptyque’s Secret on Growing a “Scented” Business in China - https://jingdaily.com/diptyque-secret-china/

後編では明星(芸能人)影響と香水のニッチ化についてご紹介します。
中国の香水市場は個性の時代となるか(後編)