2021.01.08

中国クリエイティブの目利きをする前に知るべきこと

総経理の久保山です。日本の予算を使って中国でプロモーションを行う、ということは多々あるかと思います。特に進出初期は日本人マーケターが中国の広告代理店の提案を目利きしながら進めていく必要があると思います。異国のクリエイティブの良し悪しを判断するってのはなかなか難しいものです。そんなときにちょっと前提として理解しておきたいことをご紹介します。

ファネルの違いを理解する

最初に押さえておきたいポイントなのですが、大きくファネルが異なる、ということがあります。日本でプロモーションを行うとき、お客様との最初の接点は、テレビ、雑誌、Youtubeなどになり、そこからリスティング、アフィリエイトに落ち、最後にオウンドメディアに入ってくる、というようなファネルになっていると思います。振り返ってみると中心には「ブランドが作るクリエイティブ」があることがわかります。ですから広告代理店の提案もクリエイティブが中心になりますし、メッセージやビジュアル、映像の質が大きく効果を左右するわけです。

他方で、中国においては、ライブコマース、有名人の口コミなどで知り、KOL/KOCの口コミを参照して、最後にタオバオなどECに落ちる、というようなファネルで設計することが主流です。(もちろん交通広告やYOUKUのバンパー広告なども存在しそこで認知をする方もいらっしゃると思いますが消費者調査をしていてよく聞く話はこちらのジャーニーが主流です)つまり「ブランドが作るクリエイティブ」は中心ではないわけです。ライブコマースなんかだと、下手するとブランドのクリエイティブに一切触れずに購入まで行ってしまうこともある。中心は「どういう口コミを作るか」です。

中国で求められるクリエイティブ

そのようなファネルの構造もあり、中国で求められるクリエイティブには違いがあります。クリエイティブも最上位のブランドを表現するクリエイティブから、セールスよりの下位のものまでレイヤーがありますので上位のクリエイティブから説明します。

最上位のブランドクリエイティブは店頭VMDやECモール、WeChatコンテンツなどで訴求したいものですし、ブランドのトンマナを左右するところでもあるので、開発は必要になります。ただし、大事なのは捕まえる系のインパクトを作る必要はない、というのがあります。日本のテレビCMは相当インパクト重視にしなければいけないし、全員が理解できるように作ります。中国ではブランド理解やベネフィット理解に寄せた形で作っていくことが大切になります。アイテムをヒーロー化した映像も重要です。

下位のクリエイティブに関しては、商材にもよりますが日本に比べると動画コンテンツの重要性が高くなります。メディア側がtiktokなど動画中心になることもありますし、今はどのモールもライブコマースに力を入れており、動画のほうがコンバージョンが高いことが既にわかっているため、モール側から動画の広告を多く要求されるということもあります。そうした背景もあり今はムービーを作るのが得意なKOLみたいな人もけっこう存在して、小さい予算でムービーを作るぐらいならその人たちに発注してクリエイティブ+情報発信までしてしまったほうが良いぐらいのクオリティだったりします。最上位のクリエイティブとはまた別の作戦でクリエイティブを作りこむ必要があります。

まとめ

というわけで、日本と中国ではクリエイティブの出目となるメディアの設計が随分異なります。実は日本でマーケターたちが議論を戦わせるほどは「ブランドが作るクリエイティブ」ってのはお客様には届かなかったりしますので、議論の中心はよりブランド・エクイティをどう構築するか、になっているべきかなと思います。

どういうクリエイティブがウケるの?どういうタグラインを開発すべきなの?という話題に関しては当社のクリエイティブが別で色々記事を書いているので見てみてくださいね。 中国のブランド育成は得意な会社なのでクリエイティブに困ったらぜひご相談くださいませ。

KOKI