2020.12.23

郷に入っては郷に従え。ブランド・カルチャライズの重要性

クリエイティブというのは、現実と想像の世界の境界を探り、それを表現することで、心を打ち五感に訴えかけるものです。こんにちは、クリエイティブ担当のAsaです。私は、これまでずっとクリエイティブ関連の業界に従事してきました。今回は、海外マーケティングをする際に重要となるブランドの「カルチャライズ Culturize」について紹介していきます。

 

ローカライズとカルチャライズ

商品やサービスを海外に展開する際、まずその商品やサービス名を現地の言語に翻訳することから開始すると思います。これを「ブランド・ローカライズ」と呼びます。これは一般的に広く使われている言葉だと思います。その中でも、balconiaが大事にしているのが、「ブランド・カルチャライズ」です。
ブランド・カルチャライズとは、ローカルの習慣、文化及び消費者の嗜好性に合わせてブランドの表現を調整し、その現地で消費者から好まれ、信頼関係を構築していけるものにすることです。つまり、単なる「表現」を翻訳するのではなく、その本質的な「意味」を現地化していくことを指します。端的に表現したものが以下の図です。

 

「カルチャライズ」は主に企業やブランドがアウトプットする「コンテンツ」(内容)が題材となりますが、消費者の価値観、伝統的な文化や風習、生活習慣、感性や嗜好などと密接に関わっています。新規市場に進出する際、ブランドエクイティ(ブランドが持つ資産)、商品、プロモーションなどの戦略及び戦術の立案にあたり、「カルチャライズ」の意識を持つことは、とても重要なのです。

 

カルチャライズの事例

プロダクトデザインに関して、特にグローバルに展開するゲーム業界においては、各国のゲーマーのおかれる環境や嗜好が異なるため、それに応じてゲーム設計からコンテンツまでの調整が必要となってきます。
韓国の大人気ガンシューティングゲーム「HIDE AND FIRE」がその良い事例です。
プロトタイプは「黒髪のアジア人」でしたが、日本市場に進出し、日本のゲーマーに対して調査を行ったところ、日本のゲーマーが好きなゲームキャラは「欧米風の金髪の白人」だということが分かりました。
メーカーはこれに素早く対応し、主人公の髪色をシルバーグレイ、衣服も欧米風にデザイン調整を行ったことが日本でも支持を得る一因になったと考えられます。本タイトルに限らず、各国の法規制に合わせてゲーム中のアイテムが修正される。背景が変わる・・・等々、ゲームの世界ではカルチャライズが積極的に行われています。

HIT』は日韓でどのくらいグラフィックが違う?国の文化に合わせたカルチャライズ手法に迫る
https://app.famitsu.com/20180426_1284768/

更に、ブランドエクイティのカルチャライズに関して分かりやすい例をもう1つ。ブランド・ネーミングの事例をご紹介します。
誰もがご存じの「コカ・コーラ」は中国でも最も成功を収めているグローバルブランドの一つです。
中国市場に上市した当初、中国語のブランド名は「蝌蚪啃蜡(ke ke ken la)」に翻訳されていました。中国語の発音を無理やりカタカナで表現すると「クードーケンラ」という雰囲気で、もともとのCoca Colaの発音に遠からず近からずで音的には「まあまあ」という感じなのですが、とにかく意味的には分かりづらいものでした。
1930年代、「コカ・コーラ」は全世界を対象に改めてネーミングの募集を行い、最終的には、蒋彝(ジャン・イー)という学者さんによって提案された「可口可乐(可口可楽)」が採用され、正式名称として使用されました。
「コカ・コーラ」は英語の音節を保持しただけでなく、ブランドのコアコンセプトである「美味しさと楽しさ(Delicious Happiness)」のイメージを見事に表現しています。さらに、シンプルで覚えやすく、スラスラとリズム良く読めます。この中国語名によって、当時ブランドが早く・広く浸透し、且つブランドのイメージを伝達するのに寄与してきたことが推察されます。

初対面の人と会うとき、人は必ず自己紹介しますよね、名前が与える第一印象でその人のイメージも決まります。ブランドネームはブランドエクイティの重要な構成要素であり、その影響力は無視できません。ブランド名変更には莫大な費用と時間がかかるため、失敗してからのリカバリーには多大な労力を要します。

最近では、Airbnbの中国名が「爱彼迎(aibiying)」(中国語で「愛をこめて互いに歓迎」という意味)に翻訳されましたが、中国語の発音に違和感がある、響きもイメージも高級感に欠けているなどと多くの中国のネットユーザーから非難されています。もちろんブランド名の決定には多様な要因が影響するため一概には言えませんが、ネットユーザーからの候補案「爱比邻(aibilin)」が広く支持されています。

 

最後に

「ブランド・カルチャライズ」は”お引越し”のようなもので、引越し先の地域の言語や文化をしっかりと把握しておかないと、うまくコミュニケーションが取れないでしょう。隣人の好みを知っておかないと、受け入れてもらえず、馴染めないかもしれません。引っ越し先の住民の生活習慣や文化を知ることが、成功の第一歩と考えています。

では、どうやって郷に入れば良いのでしょうか? まず、知ることからはじめましょう。

次回の更新をお楽しみに!

 

Asa Chen