2020.01.03

インバウンド戦略考えるなら最初に私たちが日本出ましょう、という話

はい、ちょっと出落ち感ありますが今回のテーマこれです。当社上海の法人でよくインバウンドのご相談をもらうことがありまして。いろんな会社からいろんな提案してもらうんだけど、結局何が良いかわからないし、予算どれぐらいつけたらいいかもわからないし、費用対効果も説明できないし、、、みたいなお話です。2020年オリンピックパラリンピックもあって、色々考えてらっしゃる。でもなにやっていいかわからないし、提案の良し悪しも判断できない。そんなかたにアドバイスしたいお話があります。

インバウンドマーケティングの前に

このお話の根幹のところで。そもそも日本にはマーケティングという考え方があんまり根付いていないという前提があると思うのです。

インバウンドもやっぱりやってることはマーケティングで、誰に何をどのように提供しよう、っていう基礎的な作戦が必要になるわけです。

日本の中であればその多くが同じ日本人なので、相手のことを調べなくてもなんとなく理解ができる。旅行に行くなら、最初に一緒に行く人と盛り上がっていてどこにいくかは決まってる。で、その地域のどこにいくか?はGoogleで検索して過去にその場所に行った人のブログを見てLINEでそのブログをシェアしながら相談して決めていく、、、みたいな肌感覚があるわけですよね。

なのですけど、インバウンドは外国人に向けたお話なので、やっぱり相手のこともわからないわけです。でも、相手のことを調べてなにかメッセージを作るっていう基礎的な考え方が全くないのだから、調べようとは思わない。だから困ってしまう。

中国本土でウェブサイト作ったほうが良いよって言われたらそーなのかなぁ、、、と思うし、中国人が出てきて、いやいやWeChatだよ、検索なんてだれもしないよ!とか言われると、そうかもしれないなぁ、、、となっちゃうわけです。
そう、私たちは外国人のこと知らないし、知らないことにはなにしたらよいかわからないんだな、という基礎的な認識をしないといけません。

余談ですけどアメリカでマーケティングが発展したのはやっぱり多民族国家だからだと思います。アングロサクソンの人がヒスパニックに広告を打つとき、どんなメッセージにしたらよいかわからない。メッセージによっては大外しして広告費無駄になる。だから顧客を理解してニーズにあった商品やプロモーションを企画する、というのがマーケティングの構造なのだと思います。

おすすめしていること

そこで、いつもおすすめしているのはお客様を知ろう、という。すごい普通のご提案です。例えば観光系のお仕事のかたには、直近でその場所にいらっしゃった方にインタビューしにいくのはどうでしょう?

もちろん会場調査でもたくさんのことがわかりますがおすすめは訪問調査です。ご自宅にインタビューにしにいけばその人のライフスタイルや、ファッション、買い物の嗜好性、どんな家族構成で、旅行に行くならどんなツールを使いながら誰とお話して決めているのかわかります。

ついでに近くの国内の観光地も巡ってみると良いですよ。

そっかー、こういうサービスを提供しているのがこの国の基本なんだー、ということに気がつくと、それに比べて自身の観光地で実現しなければいけないことも見えてくると思います。

さらにお時間が許すのであれば、こちらにいらっしゃる時には何日か滞在して、観光以外のことも見ていきましょう。その国で流行っている施設やブランド、サービス、を見ていきます。実際にはお客様の観光についての理解だけでなく、文化背景全体を理解したほうがやっぱり強いわけです。

あれ、気がつくと中国って○○って体験ってないんだ。それは私たちの観光地で楽しんでいただけるのになー、とか出てくると思います。一昔前だとやっぱり空気が悪かったので、澄んだ青空はそれだけで価値だったわけです。日本にいると当たり前過ぎてわからないですよね。

もしくはこんなに高い商品が中国で売れまくって行列ができてる。それは自分たちの観光地に来れば安価で売ってるけどもしかすると価値を高くして値上げしても喜んでいただけるかも!とか。

意思決定者もぜひ一緒に

もうひとつアドバイスがあって。ぜひ要職者も連れていきましょう。意思決定者を連れてこれたらその企業のインバウンドマーケだいぶ成功確率あがると思います。

それぐらい違います。

日本の偉い人ってやはり年齢も高いことが多いですからよりステレオタイプが強くてなかなか中国理解難しい感じがあるかもしれないんですけど。だからこそ見てもらうとギャップを感じていただけると思います。

担当者がいくら中国を見て色々な上申をしたところで最終的な予算の意思決定の人が肌感覚ないと「どうも自分が思ってる感じじゃないんだよなぁ。その施策」みたいなことになりがちです。

お客様を知って変わること

と、例を書いてみるとなんとなくわかると思うのですけど、打ち手は全然変わってくるのですよね。たしかに言語の練習もとっても大切ですし、母国語で話しかけてもらえることがうれしいのは万国共通です。

でもそれ以上に、「日本人が」「日本で」サービスしてくれることを期待していたりもします。エステサロンなどではせっかく日本にいったのに中国人が出てきてがっかりした、なんてこともあったりするわけです。

ベンダーからの提案を見る目も変わってくると思います。例えばインバウンドメディアのコンテンツ運用してる会社からの提案に対して「私中国で見てきた感じだとウェブでそういうメディア見てる人ってほとんどいなくて。知り合いからの情報か、REDBOOKで攻略法を検索してるかどっちかな感じしたんですよ、どう思いますか?」とかって聞き返すことができますよね。インバウンドメディアを批判する意図じゃなくって議論が深まるって意味です。実際インバウンドメディア見てる人もいるはずで、それは私たちが調査で見てきた人とどう違うのか?そういう知見になっていくわけです。

タイトルに書いた通り、「インバウンド戦略考えるなら最初に私たちが国外に出ましょう」の意図が少し伝わったでしょうか?

さて、この話をすると出てくる話として

・いやいや、そういう調査をしなくても中国のことわかってる知見のある会社に発注したらいいんだよ
・そもそも中国なんて数ある国の1つなんだから何個も調査してたらそれだけで全部予算使い切っちゃうよ
・もうオリパラはじまっちゃうし間に合わないよね?

などあるんですけどどうでしょう。そう思いました?

そんな様々な悩みに対しては色々アドバイスできることがありますので、ぜひお問い合わせくださいませ。

久保山