2020.12.15

ブランドのトンマナはグローバルで一致させるべき?

総経理の久保山です。本日はブランドのトンマナはグローバルで一致させるべき?というものです。このお題、けっこうわたしたちがよく頂くご相談のひとつなんです。それだけブランドの表現に困ってるブランドマネージャーが多いということだと思います。

わたしたちなりの回答がありますので今日はその点を深堀りしてみましょう。

トンマナとは表現のこと

まず前提として「トンマナ」について理解を深めましょう。トーン&マナー、ブランドによってはTone of voiceと言ってみたりします。要はどんなふうに表現にしていくか、カラーパレットだったり、コピーや写真の雰囲気だったり、ブランドの表現を司るものです。
表現には、その前段階でブランドキャラクター、ブランドがどんな性格か?というものが先にあります。ジャイアンは乱暴だけど仲間思いな性格、だからしゃべると一人称は「おれ」だし、ちょっとぶっきらぼう、という表現、といった具合です。この表現のところをトンマナって呼んでいるわけです。

顧客の知覚が違えば表現も変わる

こういうブランドのお話はやはりP&Gさんの実例は学びが多いです。コロナ前に私フィリピンに旅行に行ったのですが、PANTENEのパッケージには「3 Minutes Miracle」3分間の奇跡と書いてありました。
日本だと「奇跡は1日じゃ起こらない、まずは14日間!」というCMでしたよね?
同じ奇跡をおこす、ていうキーワードを持っているけど、言ってることはけっこう真逆。おそらく日本の消費者は「3分で奇跡なんて起こらないよね?!そんな美味しい話ないよね?!」って思っちゃうんでしょう。ブランドビジネスとは顧客あってこそ成り立つものです。顧客の知覚が違えば、表現も変わらないといけないわけです。PANTENEのフィリピンと日本の表現はこれをよく表しているかなと思います。

知覚を先に知ろう

というわけでここまでのお話をまとめると以下のような概念図になっていることがわかります。図にするとそりゃそうだよね、って感じですよね。

ブランドの表現は、必ず顧客の知覚を通して記憶されます。知覚が違えば、ブランドが伝えたいものとは違う形で顧客の頭の中に記憶されてしまいます。

そう、わたしたちの主張は、知覚ファーストというもの。
表現を統一するべきか、という前に、まず、顧客の知覚はグローバルで同じなの?という疑問が先にあるべきなんです。日本で定義したものと同じように中国の顧客が感じてくれるなら、きっと表現も同じで良いはず。そんな場合にはブランドガイドの中で考え方だけではなくて、クリエイティブ資産も日本のものを流用してもきちんとブランドの価値が伝わっていくはずです。
もし、知覚が違うなら?その場合ブランドが伝えたいことと、顧客の頭の中に作りたい認知の質を同じにするためにはどんな表現が良いか?という視点で改めて表現を作りかえる必要があります。

私たちはこうした表現を現地の知覚に合わせていくことをカルチャライズと呼んでいます。経験上カルチャライズしないでそのまま現地に溶け込めるケースというのはやはりなかなかなくて。ただ表現を現地の言葉に翻訳しただけでは伝わらないことのほうが多い印象を持っています。

ブランドカルチャライズは、私たちが上海で取り組んでいる一大テーマなので、こんなことにお困りでしたらぜひご相談くださいませ。

久保山