2023.02.22

2023年の中国市場10+2のトレンド

2022年の年末、レッドブックはDT研究所と連携し「レッドブックライフスタイルトレンド年度報告」を発表しました。レッドブックのノートデータから10個のトレンドを発見しました。私のようなレッドブックチェックが日課であるヘビーユーザーにとって、これはまさにマイライフスタイルの道標のような存在だとしみじみ感じました。

画像出典:レッドブックウェイチャット公式アカウント

1、近隣同士の助け合い

コロナ禍において物資が不足し、人々は同じコミュニティーのSNSグループで物々交換や、チームリーダーによる共同購入などを通じて、お隣さんと初めて知り合った人も少なくありません。そして、コミュニティーの重要性を最認識しました。若者たちはより多くのコミュニティーイベントに参加しようとして、自ら「お隣さん」を捜したに行ったり、近隣関係やコミュニティーの雰囲気に注目したりするなど、積極的にコミュニティー内のショップでの買い物や近隣同士の交流を深めようとする姿が見受けられます。

2、ご当地グルメを楽しむ

惣菜半製品、ネットで人気なレストランなどが街中の人に知れ渡っていますが、地元の人にしか知らない全国各地のご当地グルメが食べられる小さな飲食店が今や若者たちの新しいターゲットになっています。都会に住むストレスに圧倒されている若者たちは、コロナ禍で行動が制限されるため、地方へ行って本場のご当地グルメを楽しみたくても出られない状況でした。そんな中、地元で味わえる各地のご当地グルメの店がその距離感をゼロにしてくれたのです。若者たちは特にスチーム鍋や原生的な雰囲気の店に好感を抱き、例えば、南昌拌粉(南昌の混ぜビーフン)、柳州螺狮粉(タニシビーフン)、海南椰子鸡(ココナッツチキン)などのご当地グルメが人気です。

3、旅行に出かける

コロナで延期になっていた旅行計画を再度計画し直しする人が増えており、旅行に出かけることが人々の新しい一年の目標となっています。大地を歩こうとする若者たちはそのまなざしを遠い彼方に向け、山や川を眺めながらリフレッシュして、普段行かないような場所へ行き、違う風景を楽しみたい人が多いようです。そして、旅行のお誘いや旅行の計画が再度話題となり、遠いところの旅行先が新たな目的地として注目されています。

4、お家でキャンプ

コロナ禍における行動制限を受け、人々はアウトドア活動の場所を近場にシフトしています。都市公園、お家の前の庭、近郊のキャンプ地などが自然と触れ合うリフレッシュの場となりました。リビングルームでテントを張って、寝袋で寝るなど、インドアでの没入式キャンプを楽しむ人もいます。中にはマウンテンパーカーから登山靴、パケットハットまでフル装備にこだわる人など、都市にいてもアウトドアの雰囲気づくりを大切にしています。

5、プチストレス発散

人は自分ではどうにもできないような運命や無力感に圧倒されたとき、とにかく速く、簡単な方法でストレスを解消したいものです。そのため、ストレス解消につながる動画を見たり、ネットに書き込んだり、デジタル木魚を叩いて心の安らぎを取り戻そうとしています。このようなシンプルなことを通じてストレスを発散することは、精神的に疲れた心にハッピーを注ぐ即効かつ有効的な方法であるといえます。

画像出典:レッドブックウェイチャット公式アカウント

6、ミニマムライフ

ここ数年、消費主義に対して社会的な反響が増えてきています。人々の消費行動は自身のニーズが中心となり、ミニマムライフを始めました。例えば、過度なスキンケアマーケティングに反感を抱き始めた人は成分や配合への研究に注目して、問題解決につながるスキンケア用品を買うようにしています。また、服装のコーディネートに関しても「買う量を減らして着回しする」へと意識が変化し、衣服の使用率の最大化を図っています。商品体験や機能性、効果に目を向けるようになり、自分のニーズにあった機能を選び、不必要な部分を切り捨ています。

7、文房四宝ブーム

Z世代の若者たちは文化に対して強い自信を持っているうえ、伝統文化の認可度も高いのです。彼らの伝統文化に対する態度は好奇心だけでなく、伝統文化はもはや日常生活にまで溶け込んでいるのです。彼らは伝統文化とインターネットを利用した娯楽のコラボに長けています。例えば、emojiを使った書道やジョークを取り入れた対聯(対句をかいた掛け物)、表情スタンプで篆刻するなど、伝統文化はより多くの若者の日常生活に溶け込んでいます。

8、家に仙境あり

コロナ禍が始まって以来、人々のおうち時間が急激に増えました。家は食事や寝るためだけの場所でなく、幸せな気持ちになれる日常生活の重要な一部なのです。出かけなくても家の中で楽しく過ごせるように最適な環境作り、便利なAI体験、そして、最高にチルな暮らし、住宅環境への期待は高まりつつあります。最近では、若者たちはフレグランス、絨毯、プロジェクター、観葉植物を部屋に飾り、おうちをホームシアター、コーヒーショップ、ミニガーデンに変身させています。

9、不用品のリサイクル

エコ観念の普及に伴い、不用品、中古品の売り買いは若者たちにとってごく普通のことになってきています。中古品市場以外にも、stooping*が若者の間で流行っています。これは指定の場所に不用品を置けば、興味を持ってくれる人がそれを引き取るというスタイルです。洋服から書籍、大型家具まで、「引き取る」ことで買わずに済むので、これもまた楽しいことなのです。

*stooping:不用品を引き取って再利用すること。

10、お茶しよう

お茶を飲むことが真新しいスタイルとなり、若者たちの生活に溶け込もうとしています。スーパーでは無糖茶が並ぶようになり、若者たちは水のかわりにお茶を飲み始めています。围炉煮茶*や茶百戯*など、お茶の飲み方もセレモニー感満載です。中華風の茶室は高齢者の集いの場から一変して、今や多くの若者たちが集まり、お茶の香りが漂う空間でおしゃべりしながらのんびりと時間を過ごし、お洒落な写真も撮れる“SNS映え”する場になっています。

画像出典:インターネット

*(左)围炉煮茶:雲南省発祥の新しいレクリエーションスタイルです。まず、室内でお湯沸かしやごはん炊きに使う囲炉裏で陶器を焼いて温め、次に米とお茶を焼きあげます。

*(右)茶百戯:福建省南平市武夷山市発祥の伝統雑伎,福建省の省レベル無形文化遗产の一つとして知られています。水差しで水を垂らして、茶の表面に絵を描き上げる民間芸術です。他の原料を一切使わず、お茶と水だけで文字と画像を描くことができるのが特徴です。

報告書のコンテンツ以外にも、2つほど注目すべきトレンドがあると思うので、あわせてご紹介いたします。

11、「理想の自分」と「現実の自分」

新しい消費グループは、現実の世界の各領域において、多様な表現ルートを通じて「理想の自分」をアピールし追求する一方で、ソーシャルプラットフォームを通じてリアル生活を記録したりシェアしたりしています。しかし、「理想の自分」という視点からは、商品の情緒利益を重要視しているようです。ある特定の市場において、製品競争が同質化を引き起こすと、最終的にはブランド競争によって差別化が実現されるといわれています。今日では、新時代の消費者は「生活のために製品を買う」のではなく、その製品が持つブランド価値と立場にも興味を持ち、ブランドが創り上げているコンセプトを自分たちの友人関係に取り入れることによって「現実の自分」と重ねているのです。

12、共感型の社交スタイル

一昔前の実利型を重要視していた世代と異なり、新しい消費群体の社交スタイルは趣味サークルにシフトしています。趣味サークルはスポーツだけでなく、キャンプ、流行りの遊びといった具象領域から国学、タロットなどのカルチャー領域にまで及んでいます。実利的な社交と違い、厳しい環境におかれている新しい消費者はこのような趣味サークルでより多くの共感と理解、そして、心の安らぎを得ることができるでしょう。

以上、中国の消費品市場で注目すべきいくつかのトレンドについて、簡単にご紹介させていただきました。もっと知りたいという方、ご連絡いただければ幸いです。お待ちしております。