密かに最新トレンドに成長しつつある「グカ(咕卡)」

この間何気なくレッドブックを開いてみたところ、8.1万もの「いいね!」を獲得した女優の祝绪丹さんのスレッド「没入型グカ」に目を惹かれました。評価エリアをチェックしてみると、「子どもだけかと思ったら、お姉さんたちも遊んでいるんだ」「うちの8歳の息子も気に入っている」など、大変興味深い書き込みがありました。「グカ」とは一体なんだろう?と私の好奇心が掻き立てられました。

「グカ」って何?
「グカ」とは装飾シールでデコレーションする遊びのことです。韓国発祥の韓流ブームであり、日本では「トレカデコ」と呼ばれ、好きな韓流アイドルや俳優のトレーディングカードにシールでデコレーションする遊びです。中国のインターネットで拡散され、今では若者たちの新しい社交スタイルとなりました。グカのアイテムはアイドルトレーディングカードからアクリルチャーム、キーホルダー、携帯ケースまで、さまざまなグッズに「シール」を貼り、デコレーションすることが可能です。
グカの人気ぶりは?
Baiduインデックスによれば、グカのキーワード検索は2022年初めから増加しつつあり、今でも増加トレンドが継続しています。その検索ピーク値は何度も「盲盒」(ブラインドボックス)を抜きました。TikTokのハッシュタグ「グカ」の動画再生回数が18億回を突破し、レッドブックでは、「グカ」の関連ダイアリーは55万件を超えました。大きな宣伝がなされていないにも関わらず、グカはいろいろなサークルで育まれ、上昇の勢いを見せています。


「グカ」って、どんな人が遊んでいるの?
グカは当初の1990年代生まれの主流層から、今では2010年代生まれから2005年代生まれまで、若年化していることが伺えます。また、TikTok、快手においては、グカクリエイターの多くが小学生です。動画の製作者にはお姉さんや一部のお兄さんもおられるようですが、ユーザーIDの登録は比較的新しく、最近になってからグカテーマの作品をアップしているようです。実際、グカテーマは2005年代生まれや2010年代生まれによって盛り上げられ、注目を集めています。その結果、より多くのオンラインパーソナリティがアクセスユーザー獲得のため話題として取り上げているようです。

「グカ」って、何がおもしろい?

◎創作の楽しさ
当初のグカは、アイドルのトレーディングカードがメインでしたが、その後「時代劇ファン」の出現により、グカの創作対象は時代劇の主人公「甄嬛」や二次元の人物など、奥様方に人気の「好大儿」(ビッグベービー)から「玲娜贝儿」(リーナ・ベル)、さらには「纸片人老公」(ペーパー旦那、二次元旦那)まで広がりました。今では自撮り、ビューティー、個性、思い当たるもの全てがグカの対象となっています。価格と関係なく、創作すればするほど楽しくなってきます。
◎癒しの一時
創作をすることは心を癒すセラピーにもなります。可愛らしいシールを使って素敵な作品を作り上げたとき、美意識と楽しさを得ることができます。また、ピンセットでシールをサッと剥がした瞬間、その音にも癒されるのです。そして、何度も貼ったり剥がしたりしているうちに、リラックスできるだけでなく、リフレッシュにもなります。TikTokと快手でアップされた多くの動画作品には、あえてそのサウンド効果を入れているのもこれが原因なのでしょう。
◎ソーシャル活動の対価に
手帳をDIYするプレイヤーと比べると、グカはハードルが低く始めやすいです。シールとグカさえあれば創作を始められます。SNSでは、グカ関連のホットなコンテンツに作り方やマニュアル、コンテンツシェア、DIYグカなどがアップされています。プロ級プレイヤーよりも、グカ製作者の多くは「サークルアイドル」という位置付けになっており、自分たちのフォロワーを対象に、継続的な「植草」(購買意欲の植え付け)活動に熱中しているようです。「植草」という新しい遊び方、新しいツール、新しいデザインやスタイルなどを通して、グカは自己実現だけでなく、プラットフォームで注目を集めるためのSNSツールなのかもしれません。このうち、グカプレイヤーもいれば、グカショーしている人もいるようです。

グカは新しい流行トレンドになれるのでしょうか?
まだまだ流行っているブラインドボックスと比較すると、グカにも「ストレス解消、癖になる」といった魅力的なポイントがあると思われますが、文化イノベーションという観点から見ると、ブラインドボックス同様に、IPの版権やメンテナンス、オフラインブランド化の運営などといった難点にも直面するでしょう。最終的に、ブラインドボックスの「泡泡玛特」(POP MART)のようにトップカルチャイノベーションを果たすことができるのでしょうか。それともDIY手帳のように、ニッチなサークルに止まってしまうのでしょうか。
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