2023.06.14

2023年都市の商業的魅力ランキング

こんにちは、balconia上海のpuppyです。

先日、経済メディア「第一財経 新一級都市研究所」が8年連続で発表している中国都市の商業的魅力ランキングが発表されました。早速、各都市のデータを速報でお伝えします。

(はじめて「新一級都市」という言葉を聞いた方は、過去の記事:「中国都市の商業的魅力ランキングの紹介」もあわせてご覧ください。)

1、総合ランキング

「2023年都市の商業的魅力ランキング」で、新一級都市に選ばれた15都市は、その魅力度順に「成都、重慶、杭州、武漢、蘇州、西安、南京、長沙、天津、鄭州、東莞、青島、昆明、寧波、合肥」となっています。

昨年と同じく、上位3位までは成都、重慶、杭州と変わらず、急速に魅力度が上昇していた佛山に代わり、昆明が新一級都市へと復活しました。また、二級都市のトップには、元新一級都市であった沈陽、無錫などが含まれています。

データ:2022年と2023年の「中国都市の商業的魅力ランキング」

今回の「2023年都市の商業的魅力ランキング」のデータは、2022年〜2023年初期のデータをもとに算出していますが、コロナの影響で各地域によって数値の変動が大きく、”新一級都市”と”二級都市”で入れ替わりの激しい状態となっています。

以下の図は、2016年から2023年までの都市の商業的魅力ランキングの推移を表した図になります。

データ:各年の「中国都市の商業的魅力ランキング」

10年前、”第一経済”は近い将来多くの二級都市の経済指標は一級都市を超えるだろう、と予想しました。それを受けて、多くの大手企業が二級都市へ参入し、その結果、経済の好循環を促進しました。

10年前には杭州、天津、成都、蘇州、武漢、重慶、青島、南京、沈陽、大連などが新一級都市に選ばれていました。現在、多くの新一級都市は10年前の一級都市よりも総合的な魅力度が高くなっており、中には一級都市に追いついたり、それ以上になった都市もあります。しかし、新一級都市のリストから消えた都市もあります。10年の間に中部地域では予想を上回る多くの新興都市が出現しました、特に成都と重慶が「第四極(GDP4億元以上)」となりました。その一方で東北地方の多くの都市が失速したり没落しています。

出典:https://mp.weixin.qq.com/s/DaEBskTTXSGkAQY1EEUqhA

2、商業資源集積度ランキング

ブランド商業資源は、一級都市から低級都市への流れが主流となっています。特に、都市や経済の発展が危ぶまれる際には、ビジネスの回復を促す安定した基盤となります。新たな一級都市でのビジネス展開に関するデータベースには、200以上の主要な消費ブランドが店舗を展開していることが明記されています。過去5年間、多くのブランドは既に一級都市で安定した市場を築いており、現在は新たな一級都市と二級都市が主要な実験場となっています。
ブランド商業資源は、都市の発展における原動力であり、ビジネスが人々や文化と交わることによって都市の個性や魅力を創り出しています。

3、ハブ都市性ランキング

最近、地理的に不利と考えられていた西南地域、特に雲南・貴州・四川周辺が驚異的な成長を遂げています。これまでは、交通や物流の中心地としては東部沿岸都市や周辺地方が重要視されていましたが、ここ数年は西南地域が注目を浴びています。
雲南・貴州・四川周辺は山岳地帯が広がっており、地理的には不利な条件にありました。しかし、高速道路の建設が進み、地域全体の交通や物流の中心地としての地位が向上しています。特に雲南省では、新たに開通した高速道路の距離が2019年に前年比40.03%増加し、2020年にはさらに18.33%増加しました。2022年には、雲南省の高速道路の総延長が1万キロメートルを突破し、全国で2位に位置しています。貴州省と四川省も、高速道路の建設が進んでおり、全国で3位と4位の地位を獲得しています。

4、都市住民アクティブ度ランキング

コロナ禍での各都市の活発度は、外部との交流ではなく都市の在住者による内部的なものとなりました。
1000万人以上を有する一級都市と新一級都市は、大規模な封鎖などの要因にもかかわらず、都市活動の基本的な基盤を維持することが出来ました。人々の移動は一時的に制限されたにもかかわらず、都市住民の生活を楽しむニーズはなくなりませんでした。都市活動が再開されると、長い間抑えられていた感情が解放され、街は急速に活気を取り戻しました。
どんな状況下であっても、人々のエネルギーと熱量は常に街を発展させる原動力となっています。人々が活発になることによって、都市も活発になっていきます。

5、ライフスタイル多様性ランキング

人々は依然として豊かな生活を求めています。都市での生活には不安が広がっていますが、飲食、娯楽、エンターテイメント、スポーツに対する消費意欲は回復してきています。
オフラインのエンターテイメント施設である博物館、書店、映画館、演劇場などは、ライフスタイルの多様性を生み出すために非常に重要な場所です。新たな一級都市では、重慶、成都、武漢が最も多くの施設を有しており、人口当たりの施設数では、合肥、杭州、郑州、西安が特に多いとされています。
また、旅行に行くなど大掛かりな変化だけでなく、新しいカフェにコーヒーを買いに行く、など日常のちょっとした変化も都市生活に多様性を与えています。

6、未来性ランキング

将来性ランキング上位20位の都市は、依然として「北京、上海、深圳、広州」の一級都市であり、新一級都市として青島が注目されています。青島は若者の消費増加とGDPの向上により、3つ順位を上げました。他の都市では大きなランキング変動は見られませんでした。

都市の将来的な発展の可能性を評価する指標では、産業イノベーション、人材誘致、消費ポテンシャル、都市成長の4つの側面が重視されます。上位都市は人口や資源の優位性を持ち、確固たる地位を築いています。

しかし、大都市がすべての面で有利なわけではありません。住宅価格や生活環境、空気の質など、人々が都市を選ぶ際に重要な要素となっています。

人口密度と経済密度は都市運営の結果であり、将来の発展の上限を決める要素となっています。

都市は資源配分を最適化し、潜在能力を活性化することで、新しい経済環境で成功する必要があります。これはすべての都市が考慮すべき重要な課題となっています。

今後関連するレポートを公開予定です。詳細については引き続きご注目下さい。

2018-2022五年間のGDPデータと人口数をまとめて発表しましたので、ご興味ある方は、下記ページより「2022年中国二級以上都市のGDP纏め」をご請求下さい。
https://balconia.co.jp/ja/business_trend_report/

「中国の2022年新一級都市ランキング」に関して、下記記事からご覧ください。
https://www.balconia.cn/blog/20220624.html