2022.06.24

中国の2022年新一級都市ランキング

こんにちは、balconia上海のpuppyです。
先日、経済メディアの「第一財経」が7年連続で発表している中国都市の商業ランキングが発表されました。早速、新一級都市のデータを速報でお伝えします。
(はじめて「新一級都市」という言葉を聞いた方は、過去の記事:「中国都市ビジネスランキングの紹介」もあわせてご覧ください。)

1、総合ランキング

「2022年中国都市ビジネス魅力ランキング」で、新一級都市に選ばれた15都市は、その魅力度順に「成都、重慶、杭州、西安、武漢、蘇州、鄭州、南京、天津、長沙、東莞、寧波、佛山、合肥、青島」です。去年と比べて、合肥が”新一級”に復帰、瀋陽がはじめでランキング外となりました。それにより、今年の新一級には東北地方の都市が0となりました。

データ:2021年と2022年の「中国都市ビジネス魅力ランキング」

2022年ランキングの各主要指標は、2021年の全年データがベースとなっています。2020年のコロナ禍がはじまったばかりの頃や、オミクロンによる感染再拡大が広まった2022年と比較すると、2021年は中国にとってより安定した発展環境にあったと言えます。

以下の図は、2016年から2022年までの都市ビジネス魅力ランキングの変遷です。
新一級都市の15都市の顔ぶれはだんだん安定してきています。15都市には共通した特徴が見られ、周辺都市とビジネスの結びつきが強い、人口の半分以上がサービス業に従事している、消費意欲が高く自分の生活を積極的に楽しんでいるといった点です。
経済の発展に伴い、商業的な資源や人材も集まって来て、さらに経済が発展する、このような良い循環を生み出していることが分かります。第7回国勢調査のデータをみると、2010年から2020年の10年間で、ビジネス魅力指標が高い都市ではほぼ人口増加率も高い結果が見てとれます。ランキングにある一級および新一級都市の19都市の10年間の人口増加数は平均で303.45万人、平均増加率は29.43%となっています。

データ:各年の「中国都市ビジネス魅力ランキング」

2、商業資源集積度ランキング

商業資源集積度は、その都市における大手ブランド(※)店舗の数、商圏の発達度合いや商圏人口、ECストア拠点や各種レストラン・小売り店舗の数から計算されています。
(※)第一財経によって、国内大手及びグローバルブランドの合計170ブランドが定義されている。
有名なブランド数は、都市の商業的繁栄を示す直接的な尺度と言えます。
第一財経が定める170の主要ブランドの店舗数のデータを見ると、新一級都市における差も比較的大きいことが分かります。ランキング上位の杭州と成都では、170のブランドがほぼ店舗を構えていますが、ランキング下位の都市ではまだ進出してないブランドもたくさんあります。下位の都市では、小売りにとってはまだまだ新しい機会が広がっているとも言えそうです。

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3、都市交通・物流中枢性ランキング

都市交通中枢性とは、ある都市から他の地域までの交通もしくは物流の便利さを表します。新幹線(高速鉄道)でダイレクトにアクセスできる都市数、空港処理能力、物流会社の数、などの項目から成り立っています。
交通データみると、2021年には最も大変な時期を乗り越え、一級都市の空港処理能力はコロナ前の50%程度まで回復しています。重慶と成都は、よりよい状況にあり、空港処理能力は以前の87%と84%まで回復しています。ただし、国際線がかなりとまっていることでこれ以上の回復はまだ難しい見込みです。

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4、都市活発度ランキング

都市活発度とは都市の中にいる人々の生活、仕事、消費、交通、エンターテイメントなどの行動の活発度合いを指します。指標には、消費活発度(デリバリー、ネットショッピング、海外通販など)、コミュニケーション活発度(テンセントSNS利用数、ライフコマス利用数など)、夜間活発度(夜間交通利用数、バーの数、夜の映画数など)の項目があります。
コロナ禍で、2020年には武漢も含め多数の都市でデリバリーが明らかに減少しました。しかし、21年にはほぼ回復出来ていることが見て分かります。
タオバオライブコマースのデータを見ると、杭州、成都、天津、蘇州などの新一級都市では、ライブコマースのライバーとそこで販売される商品の生産地が集まっており、更にライブコマースの視聴者も多く存在するため、需要と供給のバランスが取れており発達が顕著です。

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5、ライフスタイル多様性ランキング

異なる空間やコミュニティ、豊富なイベントなど、生活における選択肢の多さを表したランキングです。現代の都市生活においては、これらの「必須ではない」活動の選択肢が、各個人や都市の独自の記憶を生み出していると言えます。
コロナの厳しい防疫政策で、スポーツイベント、パフォーマンス、その他の集会が随時延期、中断、中止することになりました。都市間もしくは都市内の移動も制限され、人々のライフスタイルや娯楽も変化しました。
2021年、全国の映画館のべ入館数が11.67億で、2019年より5.61億減少しました。一人あたりの消費額はコロナ前を超えてはいますが、頻度が減少し、映画興行収入はまだまだ回復していません。
長距離移動が必要な旅行が減少したことで、公園やキャンプでの活動が人気になっています。
唯一伸びたのは運動業界で、ジムなどを含む屋内運動場の数はトレンドに逆行して増加しています。ランニングをする人も増えて来ており、運動アプリ大手Keepでは、2021年のユーザーの走行距離は2018年と比較して10倍に増加したと発表しています。

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6、未来可塑性ランキング

未来可塑性とは、変化する社会経済環境の中で、リスクに対抗し、健全な状態を維持する都市の能力です。それは、高い成長を維持できる能力とも言えます。起業数や人材の流入、潜在的な消費力、都市の経済・人口成長度合いなどから構成されています。
興味深い変化として、若者が好きな都市の変化が見られ、内陸部の競争力が高まっています。西安、鄭州、長沙はいずれも過去10年間で人口が40%以上増加しており、若者を含め多くの人材を惹きつけていることが分かります。

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以上が、今回の速報の内容となります。
過去のランキングにも興味がある方は、是非これらの記事もご覧ください。

「2023年都市の商業的魅力ランキング」に関して、下記記事からご覧ください。
https://www.balconia.cn/blog/3222.html

2018-2022五年間のGDPデータと人口数をまとめて発表しましたので、ご興味ある方は、下記ページより「2022年中国二級以上都市のGDP纏め」をご請求下さい。

https://balconia.co.jp/ja/business_trend_report/