2020.08.04

私たちが大切にする「教える能力を伴った知識」

総経理の久保山です。前回ブログでイスラム神秘主義のスーフィーの物語をご紹介しました。スーフィーたちは物語で自分たちの教えを弟子に教えていくのですけど、その物語集が非常に示唆に富んでいて。前回は砂の話という物語をご紹介しました。

スーフィーの物語と砂の話:価値観を変える物語との出会い

自分自身が変わることの難しさでした。

さて、今回私がシェアしたいのは「火の伝説」というお話です。

このエピソードは私たちがコンサルティングサービスを提供する上でとても大切な「教える能力を伴った知識」という根本的な考え方を象徴的に伝えています。

 

火の伝説

昔ノウルという火を起こすことができるスーフィーがいて。彼はあちこちに火の起こし方を伝承して回ります。
物語はその100年後。数名の弟子たちで、火の伝承が行われた街をまわっていきます。
ある街ではノウルが神として祀られていました。本来ノウルは神ではなく、火をおこすことを発明したスーフィーだったので、弟子たちはそのことを教えようとしますが、神を侮辱したとして街人たちに殺されてしまいます。
その他の街も、火を起こす道具が祀られていたり、一部の指導者たちが秘技として隠し凍える民に教えなかったり、神話としてしか残っていない、など。多様な形で残っているのですが、真実を教えようとすると、やはり弟子たちは殺されてしまいます。
最後に生き残った弟子にスーフィーの指導者が伝えた言葉が非常に示唆に富んでいます。

これでお前達もわかっただろう。人は教えられる事を望んでいない。したがって、お前達はまず、教える方法について学ぶ必要がある。

その際に肝心なのは、いかにして学ぶかを、教えなければならないということだが、そのためには、まだ学ぶべき事柄があるのだということを、前もって彼らに納得させておかなければならない。

彼らは、自分には学ぶ用意ができている、と思っている。しかし、彼らが学ぼうとしているのは、学ぶ必要があると彼らが勝手に思い込んでいる事柄であり、実際に彼らが学ばなければならない事柄ではない。

このことを理解してはじめて、おまえたちは教える手立てを見出すことができる。教える能力を伴わない知識は、知識でもなければ、能力でもない。

 

(参考文献:スーフィーの物語:ダルヴィーシュの伝承
ご紹介した物語集です。1つ物語はそれぞれ2〜3ページの短編で読みやすいです。中には本当に不思議で何が言いたいのかわからないものもたくさんあります。どこか気持ちの良い場所でのんびり思索にふけってみてはいかがでしょう?既に絶版になっているのですが中古で購入してみてくださいね。
https://amzn.to/2SWCCH9)

教える能力を伴った知識

このエピソードが教えていることは、わたしたちコンサルビジネスに非常に重要なことなのです。コンサルのビジネスは突き詰めると知識の利ざやを提供して、収益をいただく、というモデルになっています。
そのために常に知識をアップデートし、自分たちが新たなレベルにたどり着けるよう研鑽を積むことが求められます。

他方で、それだけでは不十分で、本当に必要な知識とは「教える能力を伴った知識」なのです。

ブランドコンサルのお客様はマーケティングに触れたことがない人、他の専門性を持っている人、もとても多いのです。彼らは自分に必要な知識がなにか?ということも知らない状態からスタートします。

だから私たちは、いきなり必要であろう知識や正解を突きつけるのではなく、「なにを学ぶ必要があるか」を整理し、一緒に考えていきます。

 

コンサルのビジネスで大切なこと

火の伝説面白いですよね。

この物語が伝える「教える能力を伴った知識」は、コンサルビジネスを展開する方の中でも理解が及んでいない人がいらっしゃると感じています。もしこんなことを考えながらサービス提供したいという方がおられたらぜひご応募くださいね。

また、顧客の皆さまには、理解できないことや実現できない戦略にならないように「教える能力を伴った知識」を心がけてサービス提供しています。マーケに詳しくなくても必要性があるなら、ラーニングを深めるところからご一緒させていただきます。

ぜひお気軽にお声がけくださいませ。