2022.08.29

2022年7月のウェイボー・ホットトピック厳選

こんにちは。皆様に中国大陸の事情をもっと身近に感じていただきたいという思いから、中国版”Twitter”とも言われる微博(ウェイボー)で話題となったハッシュタグの中から、面白いトピックを厳選して月次でお届けしております。内容に関する簡単なご紹介はもちろん、私たち独自の視点も併せて発信させていただきますので楽しんで頂けると幸いです。第8回の配信になりますが、個別の内容についてもっと知りたいという方、お問い合わせをお待ちしております。

#今年、中国は定年退職のピークを迎えることに#

出典:ウェイボー

1962年から10年間、中国大陸ではベビーブームがありました。1962年の出生数は1961年の2000万人から一気に2450万人にまで増加し、1963年には2943万人に達し、中国成立以来の過去最高値を記録しました。その後も数年にわたり出生数が2700万人を上回り、ベビーブームは1973年まで続きました。

この時期の国民経済状況は徐々に好転していたため、補償型子育ては凄まじい勢いを見せました。統計によると、出生率は30〜40%の間で推移しており、平均値が33%、この10年間の出生数は約2.6億人に達し、総人口の約20%を占めました。彼らの多くは社会の大黒柱として活躍していましたが、来年2023年、1962年生まれの人たちは還暦を迎えることになります。中国では一般的に60歳で定年退職を迎えます。これはつまり、中国大陸において来年から定年退職のピークに突入するということを意味しており、人口構成にも大きな変化がみられるでしょう。

出典:ウェイボー

昨年、中国大陸の60歳以上の人口数が全体に占める割合は18.9%となり、そのうち65歳以上は14.2%を占めています。これは中国が深刻な高齢化社会に入ったことを示す数字でもあります。この先10年、更なる高齢化が進み、労働力の減少、国の年金給付が年々増加するする懸念、不動産価格の低迷期が続くことが見込まれます。その反面、人工知能、ハイテク産業、医療、介護など高齢化社会に貢献できる産業に新しいチャンスが訪れるでしょう。

#「钟薛高」はなぜ若者たちの怒りを買ってしまったのか#

過去数ヶ月間、かつてのネット人気ブランド「钟薛高(アイス)」は「酷評のターゲット」になっていました。

出典:ウェイボー

6月17日、「钟薛高」が2年前に虚偽宣伝を行なったとして処罰された事件の検索数が急上昇しました。そして7月2日、同ブランドは室温31度の部屋に1時間放置しても溶けないアイスクリームの話題で再度炎上しました。ウェイボーハッシュタグ#室温31度の部屋に1時間放置しても溶けない#は192社以上のメディアより報道され、コメント数7.3万、閲覧回数も9.9億回を超え、多くの若者たちの不買対象となりました。どうやら「钟薛高」は若者たちの怒りを買ってしまったようです。では、「钟薛高」どんな過ちを犯したのでしょうか。いろいろ資料を調べてみたところ、その原因は以下2点が考えられます。

1)販売チャネルの選択ミスにより、「アイスクリーム・キラー」のリーダー役に

出典:ウェイボー

「钟薛高」のオフィャルサイトによると、この商品が発売されたのは2018年5月20日、天猫旗艦店のフォロワー数は260万を超え、累計アクセス回数は4億回、2020年の年間出荷数は4800万本以上となりました。過去4年間、「钟薛高」はこれほどまでに疑問を抱かれたことはありませんでした。なぜこれまで順調だったのに、オフラインチャネルに切り替えた後、うまくいかなくなってしまったのでしょうか。

その原因を探ってみました。以前、「钟薛高」はオンライン販売チャネルをメインとし、購買意欲を掻き立てられた多くの消費者はこぞって購入をしました。ブランドをある程度認知しているため、高額なだけに期待値も高いものでした。ところが、各コンビニエンスストアで販売されるにつれ、問題点が浮き彫りになりました。端的にいえば、コンビニでアイスクリームを購入する消費者と天猫旗艦店で購入する消費者とでは、全く別の消費グループであったようです。

前者は夏の暑さ対策としてのアイス購入、コスパを最重要視するのに対して、後者はその社交的属性を重要視しており、自分だけが持っているという満足感と優越感に浸っている方が多いようです。

消費目的及びブランド認知度の違いにより、二つの異なる消費グループが「钟薛高」を手にした際に、全く違うリアクションを見せるのも無理ないでしょう。

新しい体験を求めてコンビニエンスストアで初めて「钟薛高」を購入した消費者は、ブランド及び商品知識がないため、アイスクリームの価格が自分の思う常識の範囲を超えた際、メンツのためやむを得ず支払ったという買わされた感は愉快なものではありません。そういった消費者の怒りは、やがて「钟薛高」ブランドへの敵意に転じてしまったのでしょう。

2)品質と価格の不釣り合いが不信感を招いた

「钟薛高」の価格は決して安いとは言えません。20~30元するものから高いものは50~60元もします。これは多くの人たちがアイスクリームに対するイメージを覆す価格です。消費者にとって、絶対に受け入れられない価格とも言えないものの、高いからにはそれなりの理由が必要です。

例えば、アイスクリームの原材料にこだわりがあるとか、ナチュラル或いは機能性添加物が配合されているとか、使用されているマーガリンは植物性か動物性のよってコストが違ってくるため、その分価格に反映される等といった理由なら、価格と食品成分表にある程度知識を持っている消費者であれば、受け入れられないこともないでしょう。

或いは、そのアイスクリームは文化という付加価値が高く、観光名所が発売するカルチャーグッズ(例:さくらアイス、故宮アイス)であるとか、明確な付加価値をアピールするものなら、消費者にとって納得がいくかもしれません。

ですが、残念ながら「钟薛高」にそのようなアピールポイントは一切見えず、その上虚偽宣伝で処罰されたという過去まで持っており、マーケティング手法だけで注目を集めたネット人気商品のアイスクリームが酷評を受けるのも致し方ないでしょう。

#中国の単独世代が1.25万戸を超える#

一人で暮らし、一人で食事して、一人で旅行するというように、単独で生活をしている人は増えつつあります。2021年の中国統計年鑑によれば、2020年全国49416万戸のうち、単独世代は1.25億を超え、全体の25%を占めています。二人暮らしは1.46億を超え、三人暮らしは1億を超えています。地域別にみると、単独世代は広東省が最も多く1410万以上、2位が四川省で883万以上、3位が浙江省で771万以上となっています。

このような社会現象の原因は、生活のプレッシャーがほとんどだとされています。また、とても手が届かない住宅価格、結婚にかかる莫大な費用、会社による無制限な搾取、やがて健康上の問題を引き起こすなどがあります。
情報出典中国国家統計局:http://www.stats.gov.cn/tjsj/ndsj/2021/indexch.htm

#周杰伦(ジェイ・チョウ)が新曲リリース#

周杰伦「真なるアクセス数獲得マシーン」。今年の始め、周杰伦が新曲をリリースするとの情報がネット上で拡散されていました。周杰伦本人もSNSでファンの方とアルバムにまつわるインタラクションをしていました。昔からのパートナーである方文山もウェイボーに「最新アルバムはすでに制作中だ」と書き込むなど宣伝に協力しています。

出典:ウェイボー

最後にリリースされたアルバム「周杰伦的床边故事(Jay Chou's Bedtime Stories)」から既に6年が経ちました。今回の新アルバムは15枚目のアルバムになります。直近2週間、「周杰伦」は検索キーワードにランクインした状態が続いており、発売前から新アルバムが話題になりました。

7月6日正午、周杰伦の新アルバム「最偉大的作品」と同名のリード曲のMV「最伟大的作品 / GREATEST WORKS OF ART」が公開されました。公開後30分間で約1500万件のコメントが殺到し、QQ音楽ではリリースから2時間足らずで再生回数が600万回を突破し、コメント数ものべ12万回を突破しました。トップMVランキングでは1000万レベル認証を達成し、QQ音楽のMV日別データ記録を更新しました。

しかし、音楽作品自体をめぐって意見が分かれました。「中国音楽において周杰伦はなくてはならぬ存在だ」と大半が評価しているのに対して、「心がこもってない」「失望した」「江郎の才尽きたり」といった声も上がりました。業界内からは、今回の新曲は確かに以前の作品と類似しているが、それが彼の音楽スタイルであり、大きな変化を無理強いすることはないとの意見がありました。

#新疆に全国からの観光客が殺到#

夏休みが到来し、新型コロナ情勢の好転を受けて、旅行業界の供給状況に回復が見られました。例年なら、新疆の旅行オンシーズンは6月から10月頃でしたが、7月になって#新疆に全国からの観光客が殺到#の話題がひそかに人気検索ランキングインし、今年は特に猛烈な勢いで旅行最盛期を迎えました。新疆文化旅行庁のデータによると、5月の全区域内5A級の観光スポットの1日あたりの観光客受入数はのべ1.90万人となり、6月にはのべ5.73万にまで上昇し、前期比増加率は201.09%となりました。そして、7月に入ってから更に激増し、一日当たりの観光客受入数はのべ11万人にまで突破しました。

出典:ウェイボー

オンライン旅行プラットフォームを見ても新疆の観光データは右肩上がり、同程旅行のデータによると、6月下旬に入ってから、オンライン予約数が増加しつつあり、新疆の人気が上昇する一方でした。そのうち、乌鲁木齐(ウルムチ)、伊犁(イリ)、克拉玛依(カラマイ)、博尔塔拉(ボルタラ)、喀什(カシュガル)等の地区においてホテル予約数が最も多かったようです。観光スポット別では、7月の予約数は同月比295%上昇しており、赛里木湖(サリム湖)、天山天池、火焰山が最も人気な夏スポットとなりました。

新疆は中国の西北部、ユーラシア大陸の中心部に位置しています。美しい風景、土地が広大で人口が少ないという特徴があることから、ディープな旅に適しています。また、近年の緩和政策に加え、コロナ禍で多くの人が海外旅行に行けない等の原因で新疆は観光に理想的なロケーションとなり、人気が爆発したのでしょう。

出典:ウェイボー

しかし、観光客の急激な増加に伴い、移動、宿泊、食事のことで悩む方も少なくありません。渋滞、高価なホテル、物価が高いなどの話題にも注目が集まっています。

今回の内容は以上です。ご質問等ございましたらお気軽にご連絡ください、お待ちしております。