2022.09.02

中国のWEB3.0マーケティング事例のご紹介

次世代のワールド・ワイド・ウェブとして提唱されている「WEB3.0」の話題が、最近中国でますますホットになってきています。まさにWEB3.0のコアとなるコンセンサスが分散化であるため、WEB3.0を厳密に科学し説明する権威あるプラットフォームはまだ出現していないのです。 これは、WEB3.0が魅力的な可能性に満ちていることも意味しています。

しかし、WEB3.0という名称は正確性に欠けていると考えられます。WEB1.0からWEB2.0へのアップグレートと違って、どちらかというと、WEB3.0は転覆と革命という表現がふさわしく思います。では、WEB3.0はなぜ必要でしょうか?これを紐解くには、当初のWEB1.0にまで遡ってお話ししたいと思います。

WEB1.0では、ユーザーはインターネットの情報を閲覧することができました。早期のyahooを例にとると、全てのユーザーが見るのは同じニュースサイトでした。掲載さている情報もエディター達によって決められ、電子化した新聞紙といったものです。そして、WEB2.0になると、facebook或いはWeiboのように、ユーザーは閲覧するだけでなく、コンテンツをアップすることが可能となり、プラットホームはユーザーの好みに合わせて情報の送信が可能になりました。その特徴として、プラットフォームが絶対的なコントロール権を握っているところにあります。しかし、WEB3.0ではこの問題が解決され、ユーザー自身が自ら創造したコンテンツをコントロールできるようになり、それに関わる核心的な技術は「ブロックチェーン」と呼ばれるもので、NFT(non-fungible token)がWEB3.0を構成する基本的な元素になっています。

みなさんご存知のように、中国政府は「仮想通貨」や「NFT」といった類の現象に対して一貫して保守的な態度をとっています。そのため、中国ではNFTは「流通的属性」が失われ、「デジタルコレクション」と呼ばれています。それでも、ブランドにとってWEB3.0分野に参入する可能性がありますので、以下にて2つの事例をご紹介したいと思います。

1.李寧(Li Ning)

スポーツブランド李寧(Li Ning)は、NFTコレクションとして知られている无聊猿BAYC(Bored Ape Yacht Club)#4102番のアイコンを購入し、そのイメージをスポーツウェアに導入しました。また、情報拡散及びBAYCのオンライン潮流スポーツクラブの開設などによって、自社ブランドの半製品メタバース空間のアクセス数を増やしています。

画像出典:
https://nftevening.com/chinese-sports-brand-li-ning-licenses-bored-ape-nft-for-fashion/
https://finance.yahoo.com/news/li-ning-x-bayc-4102-081000487.html

NFTのホットIPであるBAYCを一旦購入すると、それに関わる全ての知的財産権を手に入れることができると規約に記載されているため、BAYCの使用及び二次開発するにあたって権利や権限が付与されているとみなされ、コラボ製品の創造が可能となります。他のIPとのコラボに比べて、価格的な面においても非常にリーズナブルです。

2.奥利奥(Oreo)

ブランド「オレオ」は自社製品を「デジタルコレクション」にしました。実物が世の中に存在していながら、バーチャルの世界でも存在することができます。周杰伦(歌手、ジェイ・チョウ)の国風音楽が加勢して、オレオは黒と灰色をベースに、5,000ものデジタルクッキーによって構成された「千里江山図」を制作し、世界初のデジタル水墨絵巻とプロモーション動画をリリースしました。クッキー、デジタルコレクション、国風の三者連携を実現しました。

画像出典:
https://crypto001.com/metaverse/12961.html
https://www.dachanggongguan.com/article-81431.html

以上2つの事例から、「デジタルコレクション」は完全なNFTとは言えないかもしれませんが、気軽に入門できて且つ実用性と今後の実験的空間を兼ね備えていると言えるのではないでしょうか。実際の応用にあたって、上記2つの方式はいずれもバーチャル的な手段等と併せて応用されており、ターゲットユーザーをブランドメタバースに集める接点の一つとして注目されています。

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