2023.04.06

中国の軽量アウトドアスポーツ業界の現状とトレンドのご紹介


用語の定義

アウトドアスポーツ (広義)
一般的に屋外で行われるすべての種類のスポーツを指します。登山、サイクリング、ハイキング、トレイルランニング、フリスビー、キャンプなどを含むが、これに限らない。

軽量アウトドアスポーツ
ハードなアウトドアスポーツとは対照的に、ランニング、サイクリング、フリスビー、キャンプ、フラッグフットボールなど、運度強度が中強度または低強度、プロフェッショナリズムが低く、参入ハードルが低いスポーツを指します。

本格的なアウトドアスポーツ
参入ハードルが高く、プロフェッショナリズムに対して一定の要件があり、ロッククライミング、スキー、スカイダイビング、​​登山などスポーツ用具に対する要件も高く、比較的伝統的なアウトドアスポーツを指します。


アウトドアスポーツは、ハードコアでニッチな趣味から軽いユニバーサルスポーツへと発展しています。

中国のアウトドアスポーツ産業の発展過程を見渡すと、1990年代初頭中国に参入した際は主にプロフェッショナルスポーツがメインだったため、会場、設備、スポーツスキルに対する要求もそれなりに高いものでした。その結果、当時のアウトドアスポーツは、ニッチなグループやサークルを対象にしていました。近年では、アウトドアスポーツの種類が豊富になり、中国人のスポーツに対する意識が高まるにつれて、その概念も徐々に一般化され、軽量という特徴が現れつつあります。コロナの開放とともに、全国民参加型軽量スポーツの新潮流が幕を開けました。

データ出典:iResearch

アウトドア1.0の時代:
スポーツの種類は少ないが難易度が高く、登山、ロッククライミング、スキーなどのハードコアなスポーツがメインであり、海外のプロブランドがほとんどのシェアを占めていました。取り組んでいる人たちも高学歴、高収入者で、ニッチな人たちがメインでした。

アウトドア2.0の時代:
スポーツの種類はより豊富になりました。サイクリング、ラフティング、ワイルドサバイバル、クロスカントリーランニングなど危険性が中強度のスポーツが増え、中国国内の伝統企業がアウトドアブランドに登場しました。ユーザー群も拡大し、より多くの中流階級の人々が参加するようになりました。

アウトドア3.0の時代:
アウトドアスポーツは全盛期を迎えました。キャンプ、フリスビー、サーフスケート、山登り、ロッククライミングなど、インタラクティブ性が高く、比較的手軽かつ気軽に取り組みやすいスポーツの人気が高まりました。中国の新興ブランドが参入するようになると、利用者層はさらに拡大し、女性や若年層のユーザー数も大幅に増加しました。

アウトドア4.0の時代:
市場はより細分化され、アウトドアスポーツ人気が高まり、レジャー性とインタラクティブ性が増す一方で、取り組むハードルと難易度はどんどん低くなっていくと思われます。そして、多くの国内ブランドだけでなく、衣料ブランドまで市場への参入を試みるなど、今後もユーザー層のさらなる拡大、ライフスタイルへの浸透が期待できるでしょう。

現在、中国の軽量アウトドアスポーツ人口は5億人に達しており、将来的には7.3億人に拡大すると予想されています。

国勢調査データと消費者調査データによると、アウトドアスポーツ人口は約5.4億人、うち軽量アウトドアスポーツ人口が93.2%を占めており、その規模は約5億人に達すると推定されています。また、アウトドアスポーツに参加していない人口のうち、将来的に参加したいと強い意欲を示している軽量アウトドアスポーツの潜在顧客は約2.3億人いるとされており、将来の軽量アウトドア人口は7.3億人に達すると見込まれています。

中国市場における収益規模に関する統計データによれば、2021年現在、中国のアウトドア製品の収益規模は1831.2億元に達しており、今後数年間の成長率は約7%で安定的に推移すると見込まれています。2023年末までに、アウトドア製品の市場規模は2000億元を突破すると予想されています。消費者調査データによると、現在のアウトドア消費者は予算の77.5%を軽量アウトドアスポーツ製品に費やしていますが、将来的にはさらに14.1%増加すると予想されています。

データ出典:iResearch

軽量アウトドアスポーツ参加人口のうち、20歳から59歳の成人が全体の 61.1% を占めており、10人に6人という割合になっています。このうち、男性の割合と都市レベルの高い地域は参加人口が比較的多く、年齢別では、1990年代以降に生まれた人口が主力となっています。中でも子供のいる家庭が高い割合を占めており、キャンプなど家族みんなで楽しめるアクティビティが特に人気のようです。

軽量アウトドアスポーツの消費動向

トレンドその1:シーン別・マルチシーンに対応した商品へのニーズが顕著に

データ出典:iResearch

豊富なスポーツジャンルが増えるにつれて、ユーザーのアウトドアスポーツシーンもさらに細分化されています。細分化されたアウトドアスポーツシーンは日常生活シーンとの融合が進んでおり、その境界線は消えつつあります。このため、多くのユーザ特に潜在顧客の主力である2000年代生まれや女性にとって、マルチシーンに対応したアウトドアウェアとコーディネートへのニーズが高まってきています。

トレンド その2: 多機能型製品のニーズが増加

データ出典:iResearch

多機能型軽量アウトドア製品に対して、安全・安心への配慮はもちろんのこと、アウトドアスポーツの「軽量化」を図るための取り組みも期待されています。

トレンドその3:アウトドア製品のデザイン性、生活感、美的センスへのニーズは依然として高い

データ出典:iResearch

アウトドアスポーツ消費者にとって、スポーツウェアがデザイン性や美的センスに欠けているのは非常に残念なことです。機能性が強すぎると普段着とのコーディネートが難しくなるため、早急になんとかしたい問題です。2000年代生まれや女性の間で特に問題視されています。

トレンドその4:新技術・新素材が製品とブランドの付加価値となり、消費者も喜ぶ

データ出典:iResearch

軽量アウトドアスポーツの運動強度や危険性が低いからといって、スポーツウェア・シューズ、ギアの技術性や素材へのニーズが減るということはありません。安全面、素材の軽量性、透湿性などにおいてはより高い期待が持たれています。

上記は2023年3月にiResearchが発表した「軽量アウトドア産業白書」の一部抜粋です。少しでも中国のアウトドア産業や中国の若者の消費動向にご興味がございましたら、是非ご連絡ください。お待ちしております。