2023.05.05

「スラムダンク」が打ち立てた中国映画史に残る輝かしい功績と、予想を上回るIPの影響力

画像出处:百度

当時の名ゼリフ「行こうぜ!今度は全国制覇だ!」を残して、視聴者を20年以上も待たせました。2023年4月20日、映画「スラムダンク」は中国本土で公開され、待ちに待った「全国大会」がついにやってきました。

劇場版アニメ「スラムダンク」は、井上雄彦氏の同名作漫画をアニメ映画化した全国大会で対決する湘北高校バスケ部と山王工業の激闘を描いたストーリーで、2022年12月3日に日本で公開されました。観客や映画評論家から高い評価を受け、8週連続日本週末興行成績で1位になり、累計興行収入は107.75億円(人民元約5.49億元)を記録し、アニメ映画の中で興行収入が最も多い作品の一つとなりました。

中国本土で公開される前日、深夜チケットの先売り販売を含む全体の興行収入は22.37億円(人民元約1.15億元)を突破し、中国映画史上、海外アニメ映画のトップとなりました。深夜チケットの興行収入も4.17億円(人民元約2143 .2万元)を突破し、中国映画市場深夜チケットの興行収入のトップ 10 にランクインしました。そして、公開初日の累計興行収入は22.18億円(人民元約1.14億元)、観客数も291万人に達し、中国映画史上で二つのトップを獲得した日本アニメ映画となりました。

画像出典:猫眼プロフェッショナル版、レッドブック

4月25日現在、上映後5日間の興行収入は77.83億円(人民元約4億元)に達し、中国のネット上では関連ワードの検索回数が急増し、大変な盛り上がりを見せています。劇場内外において、この遅れてやってきた青春物語をめぐって人物像の議論もあれば、盗撮行為への非難もあり、いろんな意味で賑わっています。熱い気持ちにお金を払うべきか、それとも一作品として受け止めるべきか、ほぼ毎日さまざまな話題が飛び交っています。

画像出典:ウェイボーアカウント・映画「スラムダンク」

では、なぜ「スラムダンク」は中国本土で熱狂を巻き起こしたのでしょうか。 なぜこのIPは約20年近く経った今でも、その魅力は色褪せないのでしょうか。

まず、「スラムダンク」は不動の地位を誇る名作漫画であり、コンテンツの表現方法が非常に優れているだけでなく、情熱的で教育的な効果をもたらすストーリーテーリングやリアルなディテール、コア・ストーリーなどが高く評価されました。絵コンテから輝かしいキャラクターまで、あの時代においては漫画業界を牽引するカリスマ的な存在でした。当時の中国国内のアニメ環境を考えれば、『スラムダンク』が観客に与えた衝撃は言うまでもなく、新しい世界への扉を開いたのです。

次に、『スラムダンク』は原作者である井上雄彦氏本人が監修・脚本を務めていたため、原作を忠実に再現し、品質が保証されています。このアニメ映画は、トゥーンレンダリング技術を用いており、三次元データから漫画、イラスト風にレンダリングすることで、3Dモデルを2Dっぽく見せています。この手法は井上雄彦氏が求めるアニメ映画版「スラムダンク」のイメージに合致したのでしょう。正直なところ、最初に新しい画風を見たとき、僕も思わず冷や汗をかいてしまいました。昔のアニメ版の画風と大分かけ離れていたので、やや「硬い」感じがしました。しかし、実際に映画が始まると、冒頭シーンに出て来る良田(リョータ)兄弟のスムーズな動き見て、当初の不安は一気に消え去りました。

最後に、「スラムダンク」はファンの長年の期待に応える完結編で、「湘北vs.山王工業」戦の最後がつい明らかになり、高校卒業後の主人公たちの未来まで描かれていました。完結してない漫画やアニメを残念がるファンの人にこの上ない感動と満足感を与えたことでしょう。名作漫画「スラムダンク」は完璧なエンディングを迎えただけでなく、ファンにとって大変貴重な青春の贈りものでもあります。

公開前の4月15日、北京大学の邱徳埔体育館で開催された「スラムダンク」プレミア上映会は大きな注目を浴びました。数千人の観客が体育館に押し寄せ、まるで全国大会の決勝戦を観戦するかのようでした。

館外には「湘北五虎」*の巨大ポスターが掲載され、弾幕、写真撮影スポットからバスケットゴールの配置まで、セレモニー感満載でした。さらには、1993年TVアニメ版で桜木花道と流川楓の声優を務めた于正升氏と官志宏氏の復帰に伴い、すでに日本語吹き替え版の先行販売を申し込んだ視聴者のうち、すぐにでも国内版第2版を購入すると決意表明する人もいました。

*湘北五虎:中国のファンがつけた湘北スターティングメンバーの名称。

この映画を輸入した路画影视(Road Pictures)の総裁である蔡公明氏は、「よく情熱を失ってはいけないといいますが、熱い思いを外に出すトリガーも大事なのです。大ヒット映画の究極なセレモニー感を演出できてこそ、ファンの熱意に火を付けることができるでしょう。」と述べていました。

画像出典:ウェイボーアカウント豆瓣ムービー
画像出典:ウェイボーアカウント豆瓣ムービー

今回のプレミア上映会はWeChatモーメンツで絶え間なく投稿された。独特な体験だけでなく、多くの人たちにとって数十年前の記憶が蘇り、「スラムダンク」という世紀を超えたIPの影響力が再び人々の注目を集めました。

このように、「スラムダンク」は爆発的な人気を呼ぶ土台を築いたのです。パッションがあるところには必ずビジネスチャンスが潜んでいると言われているように、劇場はこのチャンスをうまく掴みました。ファンの人に映画を観てもらおうと入口には各種周辺グッズ、派生物、販促資料が展示され、上演時間によっては声を出せる「応援上映」を実施するほか、周辺グッズやポスターの買取サービスも提供しました。ファンの人は独自制作したオリジナルグッズやオフィシャルポスターを掲げて劇場の前に集まり、人気スポットで撮った写真をSNSにアップして「青春時代はもう戻ってこない」とつぶやきを投稿する人がたくさんいました。

画像出典:レッドブックアカウント上海新天地 & レッドブックアカウントraul7
画像出典:レッドブックアカウントネットお隣さん & レッドブックアカウント李斯丹妮

映画の人気が爆発するにつれて、周辺グッズも一時売り切れとなり、国内外のネットユーザーから商品の再入荷に関する問い合わせが殺到しました。このような状況の中、東映アニメーションの天猫関係者は「親愛なる皆さん、本当に申し訳ない、売り切れです!」とわざわざ投稿したそうです。どうやらプロデューサーは中国本土のファンの購入意欲を過小評価したようです。というより、本土における「スラムダンク」IPの影響力を過小評価していたのかもしれません。

画像出典:ウェイボーアカウント鳳凰ネット

猫眼電影(映画のチケット販売サイト)のデータによれば、「スラムダンク」のチケット購入者のうち、30歳以上が全体の60%以上を占め、30歳から34歳が25%で最も高い割合を占めており、ホワイトカラーの割合も高く64%となっています。成熟したファンたちは購買力があるだけでなく、過ぎ去った青春時代の情緒的価値を得るためにお金を払い、クリエイターたちの思いをより包括的に理解できるのです。その結果、「スラムダンク」のビジネスの可能性を広げ、世論を喚起することができたのではないでしょうか。

画像出典:猫眼プロフェッショナル版

「スラムダンク」は今でも勢いよく盛り上がっています。4月24日現在、12項目もの記録を更新しました。ネット上では、クチコミプラットフォームで高得点を獲得し、記録の更新が続いています。猫眼は「スラムダンク」の興行収入が7億元になると予測しており、クチコミと人気度の両方で空前のバズりを見せています。

映画興行市場の競争も争奪戦であり、気になる結果は最後まで見ないと誰にもわかりません。「スラムダンク」は最終的にどのような成績をおさめるか、みんなで見守っていきましょう。

画像出典:ウェイボーアカウントスラムダンク & 猫眼プロフェッショナル版

如何でしたでしょうか。アニメIPにご興味をお持ちでしたら、ご連絡いただければ幸いです、お待ちしております。